2053403 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2021.02.04
XML


泡坂妻夫『奇術探偵 曾我佳城全集(下)』
~創元推理文庫、2020年~

 若くして引退した奇術師・曾我佳城さんが活躍する短編集下巻です。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――
「虚像実像」映像をたくみに操る奇術を行っていた最中、客席からあがってきた何者かに殺された。しかし、舞台にあがった犯人がどのように舞台から逃げたのか誰も見ていなかった。
「花火と銃声」花火が行われた夜、マンションの一室で男が殺された。動機をもつ人物は屋形船に乗って花火を見ており、完全なアリバイがあった。
「ジグザグ」奇術の手伝いをした女性が、奇術後に男に声を掛けられ驚くような表情を浮かべた。その後、彼女はジグザグの奇術道具に入り、体を切断された状態で発見される。
「だるまさんがころした」様々な奇術道具をつくるイタリア人作家の作品を持ち帰った男は、日本で凶悪な犯罪事件が起きるたび、「だるまさんがころした」という怪文書が届けられていることを知る。「だるまさん」は彼の知る有名な奇術師と思われたが…。
「ミダス王の奇跡」秘境の温泉宿に多忙な男が泊まった翌朝、いっしょに宿泊していた撮影クルーのメンバーが温泉で死んでいた。雪には、宿から露天風呂に向かう1人分の足跡しかなかったが…。
「浮気な鍵」家族に内緒のマンションの一室を借りていた男。ある日、その部屋で女性が殺されているのが発見された。男は、鍵をかけていたはずであり、また決して自分は犯人ではないと主張するが…。
「真珠夫人」有名な真珠を手にしたことで有名な女性が奇術のアシスタントにたった。彼女の指輪が奇術でパンから出てきたとき、ハトがさらっていってしまい…。
「とらんぷの歌」相手が思い浮かべたトランプを瞬時にトランプの束から抜き出すという奇術師が殺された。雑誌に紹介されていた種を知っているメンバーは違和感を抱かなかったが、死亡した彼の手元にあったトランプの並びには不自然な点があると佳城は指摘する。
「百魔術」奇術師たちが集まって順番に奇術を披露する「百魔術」を開催していた中、1名が毒殺された。誰にも彼に毒を盛る機会はなさそうだったが…。

「おしゃべりな鏡」大道芸を得意とする3人の少年が串目匡一たちの奇術を見に行った日、3人を招待した男が、奇術師たちへ渡す写真を取り違えた理由とは。
「魔術城落成」曽我佳城が長年かけて準備を進めていた、奇術道具などを集めた建物「佳城苑」がついに完成。アメリカで活躍している多忙な奇術師も訪れていたが、彼らの息子と恋人のことをめぐり、親子間では軋轢があり、場には険悪な空気が流れる場面も。そして奇術師は部隊の大ゼリに落ちて命を落としてしまう。
―――

 「真珠夫人」「魔術城落成」が印象的でした。
 とりわけ「魔術城落成」は衝撃的でした。20年間にわたり雑誌で掲載されたこのシリーズですが、これはやられました。
 また、米澤穂信さんによる解説も秀逸です。「いわば、江戸川乱歩の『類別トリック集成』を実際の作例で編み直すような、畢生の大事業である」(504)とのコメントはまさに的を射ているように思います。(『類別トリック集成』は未読ですが、様々なトリック・趣向が詰め込まれたこの作品集を読めば、なるほど!と感じるコメントでした。)
 亜愛一郎シリーズも良い読書体験でしたが、今回『曽我佳城全集』を読めたのも良い体験になりました。これは面白かったです。

(2020.10.11読了)

・あ行の作家一覧へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.02.04 22:45:31
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(あ行の作家)] カテゴリの最新記事


Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

My favorites♪ torezuさん
姫君~家族 初月1467さん
偏った書評ブログ mnmn131313mnmnさん
海砂のつらつら日記 kaisa21さん

Comments

 のぽねこ@ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.