乾くるみ『スリープ』
~ハルキ文庫、2012年~
乾くるみさんによるノンシリーズの長編です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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2005年、《科学のちから》という番組に出演し人気を博した、当時中学2年生の羽鳥亜里沙が、突然番組に出なくなり、翌年も継続が予定されていた番組も打ち切りになった。
彼女の行方についてはいろんな憶測が飛び交ったが…。
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番組収録のため、《未来科学研究所》に訪れた亜里沙たち。厳重なセキュリティに守られたその施設では、冷凍睡眠装置を可能にする研究が進められていた。最高度のIDを付与された亜里沙は、好奇心にあらがえず、地下の実験室に足を踏み入れる。そこで彼女が目にしたものとは…。
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30年後。ノーベル物理学賞を受賞していた戸松鋭二は、アリサを救出するために重ねていた研究を、ついに完成させ…。
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やや内容紹介が書きにくいですが、SF要素の強い作品です。が、そこは乾くるみさんの作品、単なるSFではなく、ミステリ的な驚きも味わえます。
特に戸松さんが研究を完成させたのちに繰り広げられる逃走劇(追跡劇)は手に汗握ります。《科学のちから》出演者たちが、思わぬかたちでつながりをもっていきます。
楽しく読めました。
(2020.10.23読了)
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