関田涙『名探偵宵宮月乃5つの謎』
~講談社青い鳥文庫、2009年~
マジカルストーンを探せ!シリーズの主人公、小学5年生の朝丘日向さんと宵宮月乃さんが活躍する短編集第2弾です。
今回は、日向さんのいとこ―健ちゃんの大学の先輩でくせのある村崎先輩が登場。月乃さんが前回のミステリを解いたのがまぐれだと言い張り、新たな倒叙ミステリを執筆して挑戦を挑んできます。一方、月乃さんが今までに解決した謎に、自分も挑戦すると言い出して…。
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「Case6 おとめ座のイタズラ」お母さんの美容院で働くすみれさんが、絵のモデルになることとなります。カンナさんたちとそのアトリエを訪ねると、アトリエのまわりには黄道十二宮をモチーフにした彫刻が並んでいました。アトリエは回転し、彫刻を順番に見ることができるというのですが、最初にみたおとめ座の像を再びみたとき、彫像にイタズラがされていて…。
「Case7 3枚の写真」月乃さんが入院していたときの友達、火渡ほの香さんが横浜に遊びに来ました。月乃さん、日向さんと3人で買い物を楽しんでいた中、ほの香さんが行方不明になります。そして月乃さんには、ほの香さんをあずかったというメール、そしてヒントとなる3枚の写真が送られます。果たしてほの香さんはどこにいるのでしょうか。
「Case8 名探偵VS天才少年?」体育祭の準備を一緒にする約束をしていたのに、男子の片本くんとモリケンくんは約束の時間に現れません。片本くんはつかまりましたが、モリケンくんは「忘れているわけではない」と言いながら、一人であちこち動き回っています。果たしてモリケンくんは何をしようとしているのでしょうか。
「Case9 クリスマスの魔法」5年生になってから付き合いが悪くなったといわれる宮下くんは、しかし何かを気付いてほしいのではないかと月乃さんは言います。病院にいたのを見たという情報を手掛かりに、日向さん、片本くんが宮下くんを尾行してたどり着いたその先は…。
「Case10 勇者のホコリ」レアカードを入手するため、さぎまがいのことをした中学生を懲らしめるため、月乃さんが考えた「絶対に勝てるゲーム」とは。
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「Case7」は、『炎の龍と最後の秘密』の前日譚。刊行順では、『火の龍…』より先に本書が出ていますが、私はマジカルストーンシリーズ本編を読み終えてから本書を読みました。もちろん、それでも楽しい1編です。
本書の中で一番好きなのは「クリスマスの魔法」。タイトルから感動するのは分かりますが、素敵な物語でした。クラスメイトの面々の活躍や、白魔導士ルナの「魔法」も素敵です。
クラスメイトの中でも、特にお調子者のモリケンくんにフィーチャーする「case8」も嬉しいです。おばかキャラのイメージですが、ある意味すごく賢いのでは…。
また、『名探偵宵宮月乃5つの事件』末尾で関田さんが出すなぞなぞが本作で再登場するのも嬉しかったです。月乃さんに感謝です。
楽しい作品集でした。
(2023.09.01読了)
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