2029134 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2024.02.23
XML


北山猛邦『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』

~創元推理文庫、2021年~

 名探偵音野順シリーズの短編集第2弾です。
 探偵の音野さんと、作家で音野さんの助手でもある白瀬さんについては、第1弾​『踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿』​の記事をご参照ください。
 さて本書には、第1弾同様に5編の短編が収録されています。
 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。

―――
「密室から黒猫を取り出す方法」ホテルで、憎い上司を密室状況で自殺にみせかけることに成功した男。ところが、仕掛けの最後のところで、部屋に黒猫が入り込んでしまい、そのまま密室が完成してしまう。
「人喰いテレビ」雪の上で、上半身裸で殺されていた男は、その前日、ロッジの中で、テレビに食われるような状況だったのを目撃されていた。そのロッジでは、過去にも人が食われるような状況が目撃されていて…。
「音楽は凶器じゃない」音楽室で、教師が殺され、生徒もケガを負っていた。犯人は窓から逃げたと思われたが、疑問点も多い。一方、ほぼ密室状況だったその現場からは、凶器が発見されなかった。音野がたどり着く真相とは。
「停電から夜明けまで」血のつながらない強欲な父を殺そうと計画する双子の兄弟。しかし、計画を実行しようとした停電した夜、思わぬ客が訪れ、事態は意外な方向へ…。
「クローズド・キャンドル」白瀬が気になっていた広い敷地の中にある家で、大量のろうそくが並べられた密室状況の中で首吊り事件があった。名探偵を名乗る男は、自殺ではなく殺人だと言い張り、遺族に真相を明かすため高額な金額を要求していた。それを措置するため、白瀬は音野の協力を求めるが…。
―――

 これは面白かったです。
 物語は基本的に白瀬さんの一人称で進みますが、地の文でも会話でもユーモアにあふれていて大好きです。二人ともルールをよく知らないまま進めるチェスや、「絶対に負けられない戦いだ」など、本当に楽しく読み進めました。
 表題作は殺人の密室のほうは冒頭から描かれますが、主眼は密室状況から消えた猫の謎で、最後まで興味は尽きません。「人喰いテレビ」はタイトルから引き込まれますね。凶器をめぐる第3話はややホラーなテイストもありますが、好みの謎解きでした。第4話はかなりの異色作。第5話は奇妙な密室状況という魅力的な謎に加えて、名探偵を名乗る男との戦いも目が離せません。
 本書ではまた、青崎有吾さんによる解説も素敵でした。解説が青崎さんというだけで嬉しかったのですが、そのタイトルだけで少しぐっときて、また末尾あたりでは涙が…。疲れているのでしょうか…。
 全体を通してとても楽しめた一冊です。良い読書体験でした。

(2023.08.29読了)

・か行の作家一覧へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.02.23 16:45:16
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(か行の作家)] カテゴリの最新記事


Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

My favorites♪ torezuさん
姫君~家族 初月1467さん
偏った書評ブログ mnmn131313mnmnさん
海砂のつらつら日記 kaisa21さん

Comments

 のぽねこ@ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.