芥川龍之介『侏儒の言葉・西方の人』
~新潮文庫、2012年70刷改版~
1923年1月の『文藝春秋』創刊号から1925年11月の第3年11号まで連載された「侏儒の言葉」、遺稿となった「侏儒の言葉(遺稿)」、そして1927年7月の服薬自殺後に、同年8月・9月の『改造』に掲載された「西方の人」「続・西方の人」4編を収録する作品集です。
「侏儒の言葉」は箴言集です。思わず付箋を貼ったのは、「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦々々しい。重大に扱わなければ危険である」(28頁)という言葉。一つひとつの言葉は短くても、物語ではないので、しぜんと読むのがゆっくりになりました。
後半2編はキリストをモチーフにした作品。特にキリストを「ジャーナリスト」として描くのが印象的でした。
日本近代文学がご専門の神田由美子先生による詳細な注解、そして、海老井英次先生による解説も勉強になります。
新潮文庫から出ている芥川龍之介作品7冊を、ようやく読破でき、良い経験になりました。
(2024.03.09読了)
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