テーマ:ショートショート。(1084)
カテゴリ:創作
「やあ、高橋さん。おはよう」
「山崎君おはよう。今日もとってもセンス・オブ・ワンダーな面ね」 「意味が分からないよ」 「高橋さん。この映画、どうだった?」 「悪くなかったわ。センス・オブ・ワンダーな感覚がちりばめられていて、すごくセンス・オブ・ワンダーだった」 「へえ」 「いい曲だと思わない? 私、大好きなんだ」 「ええ。センス・オブ・ワンダーね。この旋律なんか実にセンス・オブ・ワンダーだわ。センス・オブ・ワンダー」 「だよね」 「高橋さん。この料理、私が作ってみたの。食べてみてくれない」 「から揚げは少ししつこいわね。もう少し、調味料を薄くしたほうがいいわ。それに、下味を漬けこませる時に、パパイヤや林檎をすりおろして入れると、もっと肉が柔らかくなるわ。米は、もう少しかためが好きね。まあ、これは個人的な趣向だから、問題はないけど。味噌汁はよくないわ。沸騰させたおかげで風味が飛んでいるし、味噌と水の量があってないから少し濃すぎるわ。この味噌なら、分量は水240ミリリットルに対して、味噌12グラムがベストね。あと、センス・オブ・ワンダーだわ」 「勉強になるわ」 「彼氏に振られちゃったよう。もう、生きていたくない……」 「バカ! そんなんだからあなたはセンス・オブ・ワンダーなのよ! そのセンス・オブ・ワンダーな彼氏を見返すような、センス・オブ・ワンダーな女になろうと思わないの? 確かに、辛いことがあるととてもセンス・オブ・ワンダーになるのはわかるわ。でも、センス・オブ・ワンダーな気持ちだからこそ、センス・オブ・ワンダーになって、センス・オブ・ワンダーに生きないと駄目なのよ! それが嫌なら、一生センス・オブ・ワンダーでいなさい!」 「高橋さん……。ありがとう! 私生きるよ! センス・オブ・ワンダーに生きるよ!」 「さあ、顔を上げて! センス・オブ・ワンダーな朝日が待ってるわよ!」 「やあ、高橋さん。おはよう」 「山崎君おはよう。今日もとってもセクシャル&ダイナマイツな面ね」 「高橋さんは今日も元気だね」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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