カテゴリ:社会の一こま
私はいま、夕べから今日にかけて、敵対的な株式公開買い付け(TOB)
の恐怖にさらされています。 国内製紙業界最大手の王子製紙が業界5位の北越製紙を敵対的な株式公開買い付け(TOB)を宣言発表したのは昨夜のことでした。 私はこのニュースを、日曜日だったのでゆくり風呂につかりながらラジオのNHKニュースを聞いていて知りました。 ビックリ仰天!すぐさま風呂から飛び出た次第です。 何を隠そう。私が定年まで40年以上働いていた会社が「北越製紙」なのです。 今の仕事も、その北越製紙に必要な資材を主として製造加工して収めている会社に勤めております。 北越製紙は昭和39年の新潟地震をモロに受け、大きな被害を出し、倒産一歩手前の状態に陥りました。 私はその頃20代で勤務しており、もうこれで転職かなと覚悟したくらいでした。 でも立ち上がりました。皆が必死になって。 大勢の解雇。2年間は賃上げゼロ、ボーナスも雀の涙程度。 その甲斐あって、北越製紙は大きく改革され蘇生しました。 今では年間売り上げ高こそ王子製紙の10分の1の1000億円台(王子は1兆円台)ですが、利益率では業界トップを走る優良企業という評価を得ていました。 王子製紙が、その北越製紙に統合話を持ちかけてきたのが今年になってから。 そしその提案回答期限が24日だったのです。 しかしこれからも自主独立路線を進みたいという方針の北越製紙は、その統合提案を拒否したため、今回の大きな報道に発展したというのが真相です。 決して北越製紙が経営に行き詰まりをきたし援助を求めていたわけではありません。 とにかく技術力販売力抜群の北越製紙を、金の力で何としても自分の傘下におさめたいという王子製紙のなりふりかまわぬ野望としか思えない暴挙に映ります。 最新のニュースでは次のように伝えています。 『王子製紙から敵対的な株式公開買い付け(TOB)を宣言された北越製紙は24日、三菱商事を引受先とする第三者割当増資と同社との業務提携を撤回しないと発表した。王子製紙には同日午前、こうした方針を伝えた。経営統合案にあらためて拒否姿勢を示したことで、王子と三菱商事による北越製紙争奪戦になる可能性が一段と高まった。 北越製紙は、三菱商事への第三者割当増資で得られる約300億円を新潟工場(新潟市)の塗工紙生産設備の増設に充てると説明。「当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に必要」と訴えている。業務提携についても「三菱の国際的な信用力と取引基盤を活用することで、当社のさらなる成長につながる」と強調している。』 もし、王子製紙が半数以上(50.1%)の株式を取得すれば、北越製紙は王子製紙に乗っ取られることになります。 もはや、王子製紙の意図のまま経営権が委譲され、これまでの北越製紙の方針は皆無に帰すでしょう。 先週末の株価が630円台出したが、それを公開買い付けでで860円で買うというのです。 1000株持っていれば黙っていてもその差だけで20万円台の儲けが出ます。 何も関係のないひとは、喜んで手放すでしょう。 私も北越の株を持っているひとりです。 いつ売ろうかと以前から思案していましたが、まさかここで売ることは北越を王子に売り渡すことになりとても道義上出来ないことです。 弱肉強食の現実を目の当たりにして、TOBという制度の恐ろしさをいま体験し始めております。 この先どうなるかわかりません。 もし王子製紙に吸収されたら、私の工場の存続だってどうなるか。 しばらくは、ことの成り行きを息を殺しかたずをのんで見守るしかないという窮地に立たされております。 北越製紙の万全なる対抗策が功を奏し、王子の乗っ取り失敗を切に祈るだけです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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