1392818 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

柊リンゴ

柊リンゴ

Calendar

2006/04/18
XML
指輪よりも、携帯のアドレスを教えて欲しかったな。

そんなセンチなことが頭をよぎりました。びっくりです。
送ってあげる。と言う冬至を断わって、ひとりふらふらと歩きます。
夜の街の喧騒が耳に遠く聞こえます。
ぼんやりしていますね。
通り過ぎるコンビニの明るい照明がまぶしいです。
はあ。とため息をつきました。

無意識におなかのあたりを触っていました。
お昼から何も食べていませんが、何か食べたい・・こともないのです。
なんだろう、この感じは・・。

<性欲が満たされないから食欲に走るんだ、お前は。>

担任の声を思い出して。はっとしました・・。
しばらくはまっすぐ歩けませんでした・・。


「ぼっちゃん。なんでした?さっき電話くれたでしょ。」
「・・・おまえ。どこにいるんだ!」
冬至がかけなおした立秋の携帯番号に、くぐもった男の声がしました。
「だれ?あんた。ぼっちゃんじゃないの。」
「俺は真夏の担任だ!」
ぷち。

「あ!きりやがった。」
「・・・生徒の携帯に黙って出るからですよ。しかしドアを開けないなあー。」
「おい学年2番。本当にここが・あの猫目の住むマンションか?」
「どうしてですか?」
「人の声どころか。住んでる気配もないぞ?」
ぴんぽーん。
ぴんぽーん。
「違うかも知れませんね?」
「じゃあどこだ!」
「知っていたら最初から案内していますよ。将軍また引越ししたのかな。」
マンションのドアは開く気配がありません。

「・・もういい。送ってやるから。乗れ。」
「先生のことを信じたいところですが・・変なことだけはしないでください。」
「絶対・しません。」



夜の街は昼間とは違う顔です。
しかも。
「どこだっけ・・。」
よく知らない街なら、なおさらです。
「だから携帯の・・・。」
知っていたらかけましたか。
真夏は家に帰ることよりも、なによりも、・・心細くてなりませんでした。
今もし携帯に冬至から連絡が入ったらどうしますか。

なんでしょうか。この置き去られるような気持ちは。

忘れられたら、嫌なのです。
なのに、今一緒にいないのです。

真夏は<不安>を初めて知りました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/04/18 02:43:33 PM



© Rakuten Group, Inc.