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柊リンゴ

柊リンゴ

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2009/08/18
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僕が勝手に決めた退職日
上司が不満ありげな顔をしていた

出て行くんならさっさとしなさい
上司がつぶやいたのはキレのいい言葉だった

朝礼でいつもどおり皆の前に立つ
そして
いつもどおり社訓を読み上げて終えるところを

僕は退職の挨拶をした
そんなつもりはないのに涙がこぼれてしまった

すると目の前のきみの肩が震えているのに気付いた

ともに頭を下げ
「お世話になりました」と告げた僕の声も震えていた

どうしてきみが泣くんだよ
きみはいつも笑顔でそしてクールな子だったのに

どうしてきみが泣くんだよ
僕はそんなに酷いことをしていたのかと思い知らされた

きみの気持ちを聞いたことはなかった
そんなことを聞かなくても 距離感なんてなかった

それなのに僕は辞めることをきみに話していなかったんだ

出て行く僕を見送る人の中に きみはいなかった
少し安心して 少し残念な気がして
暗い夜空を見上げながら これでいいんだ と僕は歩き出した

冬の空
今にも雪が降り出しそうな強い北風にコートの裾をあおられながら
僕はもう2度と失敗をしないぞと思ったんだ






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Last updated  2009/08/18 04:10:40 PM



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