こだわりの『恋のうぐいす』
フランソワ・ク-プラン作曲の『恋のうぐいす』は、もとは『クラヴサン曲集』第3巻、第14組曲(1730)の第1曲です。もともと“Le rossignol en amour”という原題が付けられていて、訳して『恋の夜鳴きうぐいす』あるいは簡略して、『恋のうぐいす』と呼ばれています。あとから付けられた名前ではなく、もともと付いていた名前なのです。 クープランの作品の中で最も重要な作品といえば、4集、220曲からなる《クラヴサン曲集》です。この「クラブサン曲集」は 鳥の鳴き声、仮面舞踏会や宮廷の人々、草花の描写など当時の宮廷生活や農民の生活を音楽で表現した作品で、いわばクープランによる心のクラブサン日記とでも評すべき作品群です。その中の1曲、『恋のうぐいす』は、 切ないうぐいすの鳴き声を思わせるメロディーがこころに残る素敵な作品です。雄うぐいすが、雌を求めて、一生懸命鳴くのですが、最初はなかなかうまく鳴けません、毎日毎夜、一生懸命鳴く練習をして、日増しに上手になってゆく様が、見事に旋律に描かれていて、最後のくだりは、「うぐいすの谷渡り」をほうふつさせる逸品です。私はこれをト長調で、テナーG管で吹いています。もとはクラヴサン(ドイツ語)、つまりハープシコード(英語)、チェンバロ(フランス語)のための曲なのですが、もっぱらフルートで演奏されることが多く、私はピエール・ランパルの演奏を、モデルにしています。一応オカリナ用に変曲したものを、更にランパルに近付けるように自分で変曲して、楽しんでいます。今日あらためて、ランパルの演奏を聴きなおして、いちばん最後のクライマックスの部分、つまり『うぐいすの谷渡り』を、ランパルのフルートどおりに、オカリナで更に華やかに、仕上げ直してみました。テナーG管もこのあいだ良く調整したもので、とても気持ちよく吹ける『恋のうぐいす』となりました。 4月18日の岐阜大学病院『さわやかコンサート』で、演奏の予定です。