カテゴリ:障がい福祉
![]() 知的障害者雇用を成功させる8つのポイント ウイークポイントを配慮した職場立ち上げから定着管理まで ![]() 【中古】 よくわかる!聴覚障害者への合理的配慮とは?—『障害者差別解消法』と『改正障害者雇用促進法』から考える ![]() ![]() ![]() 改正障害者差別解消法の施行日が2024年4月1日に決定しました。これとともに、民間企業における合理的配慮の提供も、努力義務から義務へと変更されます。合理的配慮の義務化とは何か、具体的な合理的配慮の提供例とともにお伝えします。 合理的配慮の提供義務、2024年4月1日から 2021年5月に成立した改正障害者差別解消法の施行日を2024年4月1日とする政令が、2023年3月14日に閣議決定されました。これにより、民間企業の障害者雇用はもとより、飲食店や小売店などでも障害のある方に対する合理的配慮の提供が義務化されます。 合理的配慮の提供について理解するには、「合理的配慮を提供しない状態」を見ておくとよいでしょう。たとえば、次のような対応は、合理的配慮の提供義務に反する行為となります。 「障害のある方は入店できません」と入店を拒否する 「補助犬を連れている方は入店できません」と入店を拒否する 「障害のある方は、ご家族や介助者と一緒にいらしてください」として、サービスの提供や入店を拒否する 障害があるということのみを理由に、サービスの提供を拒否したり対応を後回しにしたりする 「先例がないから」という理由のみで障害のある方の利用を断る こうした拒否や後回しを行わず、障害のない方が得られる機会と同等の機会を障害のある方も得られるようにすることが、合理的配慮の提供となります。 ただし、どのような対応が合理的配慮の提供になるかは、個々のケースでその都度判断しなければなりません。障害種別や特性によって一律に定めることはできませんので、障害内容と取り得る対応策への理解を事業主や従業員それぞれが深める必要があります。 合理的配慮とは? 基準と建設的対話 障害者雇用の促進では「合理的配慮の提供」という言葉をよく耳にするでしょう。しかし、事業主や支援者、障害のある人が働く職場の管理職以外の方にとっては、耳慣れないかもしれません。 そこで、合理的配慮とはどのような配慮なのか、どのようにして実現していくのかなどを、ここであらためて確認しておきましょう。 合理的配慮の目的・基準、「過重な負担」、具体例 障害のない方には問題なく利用できる施設やサービスでも、障害のある方には利用が難しいものがあります。障害のある方が利用できなければ、その方の生活や仕事などの活動が制限されてしまう場合があるでしょう。そうしたバリアを取り除くために行われるのが、合理的配慮の提供です。 合理的配慮の提供にあたっては、以下の3つを満たしていなければなりません。 <合理的配慮が満たすべき3つの基準> 必要とされる範囲で、本来の業務に付随するものに限られる 障害のある方が、障害のない方と同等の機会の提供を受けるためのものである 事務・事業の目的・内容・機能において、本質的な変更には及ばない 合理的配慮は提供者にとって「過重な負担にならない範囲」提供するものであることも、重要なポイントです。「過重な負担」とは、合理的配慮を提供する側が「常に障害をもつ方の要望どおりに対応しなければならない」という事態を避けるための観点だからです。「過重な負担」にあたる場合は、要望どおりではないけれど実現可能な代替手段をとることができます。 「過重な負担」の具体的な基準は、以下のとおりです。 <「過重な負担」の基準> ※ケースごとに判断する 事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か 物理的・技術的、人的・体制的に実現できるか否か 費用・負担の程度 事務・事業規模 財政・財務状況 たとえば、業務として食事介助を提供していない飲食店で、障害のある方に食事介助を求められたとしましょう。このとき、「本来の業務に不随するものではない」という点から、食事介助を断っても違反にならないなどがあり得ます。 また、スーパーマーケットなどで混雑している時に、視覚障害のある方から「買い物に付き添って補助してほしい」と要望が出た場合に、人的に大きな負担となることなどを理由として「店員が買い物リストを書きとめ、商品を準備する」といった提案をすることも、合理的配慮の提供となり得ます。 合理的配慮と「建設的対話」 合理的配慮の提供にあたって「何ができて何ができないのか」を決定するために欠かせないのが、障害のある方と配慮の提供を行う方との「建設的対話」です。建設的対話は、どちらか一方が意見を押し通すのではなく、解決すべきバリアを確認し、実現可能な手段について、お互いが持っている情報や見解をもとに話し合うことを意味します。 合理的配慮は、具体的に目の前にあるバリアを解消するために提供されるべきもの。そのため、 「前例がないからダメ」 「万が一のことがあっては困るので、認められない」 「特別扱いはできない」 といった理由で一律に判断することはできません。 もし「前例がない」ことで対応を迷う場合は、あらためて今の状況を確認し、合理的配慮の提供を検討する必要があります。 「万が一のことがあっては困る」という場合、具体的にどのようなリスクがあるのか、そのリスクを解消または軽減するには、どのような手段を取り得るのかを考えるべきでしょう。 「特別扱いはできない」については、「合理的配慮の提供は、障害のある方を特別扱いすることではない」「障害のある方もない方も、同じように機会を得られる状況を整えるための対応である」ことを理解して、検討を進めなければなりません。 こうした視点のもとで、「どのような合理的配慮なら提供できるか」について、意見を出し合いながら検討していきましょう。 合理的配慮の検討には事例の活用も 具体的にどのような合理的配慮の施策を取り得るかは、障害のある方の状況、施設の状況、サービス等の内容、人員、資金的な問題など、複数の要素から判断されます。忙しい現場では、なかなかじっくり話し合う時間を作れず、「一体どうすれば解決できるのか」と頭を抱えることがあるかもしれません。 は、掲載されている事例が比較的少ないものの、障害種別だけでなく性別や年代も含めた検索が可能です。具体的にどのような検討を経て対応に至ったのかも分かりますので、今後の建設的対話における観点や進め方のヒントになるでしょう。 「合理的配慮サーチ」は、合理的配慮に関するさまざまな情報を検索できます。事例集、アンケート調査結果、各都道府県のガイドブックなど、まとまった情報を得る際に役立つはずです。これらの事例を参考に、事業所や店舗・施設での対応例を作成しておくと便利です。 繰り返しになりますが、どのような対応が合理的配慮の提供になるかは、個々のケースによって異なります。「○○障害だから」とカテゴリーで決めつけるのではなく、従業員と担当者、お客様とスタッフの間で建設的対話を行い、そのときの目的を達成できる実現可能な解決策を見つけていきましょう。
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Last updated
2024.04.02 17:07:31
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