その、いきなりモヤシの話なんだが、モヤシは一袋10円で売られている。スーパーで手に取りながらモヤシ農家に思いをはせるのである。いったいいくらで卸されているのだろうかと。モヤシ栽培の様子を想像してみたが、いまひとつわからない。ウドのように暗いところで栽培されているのか。生産地はどこなのか。高級モヤシは存在するのだろうか。モヤシの種にも価格決定はされるわけだし。価格の弾力性の高い商品であると思われるので(ようするに付加価値がすくなく、価格が1円でも安い農家が価格を決定する)。需要と供給のバランスにより当然のごとく10円と決定されたわけだが、生産者には不満はないのだろうか。1年でどのくらいの栽培をすれば生産者として成り立つのだろうか。ちょっと、そこの奥さん!あなたはそんな疑問を持たれたことはありませんか?
じつは、最近までたまごについても同様な気持ちを持っていた。たまごの価格はこの40年ほど変わっていなかった。養鶏業者の利潤追求の苦労を感じたのである。だが、たまごは昨年末に高騰した。理由は鳥インフルエンザの影響でニワトリが少なくなり、ヒヨコがたまごを生むようになるまでの数ヶ月間、供給が不足したのである。
そういえば、“毎度、おなじみのちり紙交換でございます”の軽トラが姿を消して何年経ったのだろうか。古紙の下落により商売としてなりたたなくなった。狂乱物価だのインフレだのといわれた昭和48年頃が懐かしい。
農業や工業は価格決定は安かろうが高かろうがとりあえず決まる。しかし、相談業務というのはどのようにサービス利用料が決まるのだろうか。とりあえず、私の仕事というのはタダなのである。婆さんが虐待されているのを発見して婆さんを安全な場所へ移し、虐待する娘にコンコンと諭そうが、死後何日も経った爺さんが硬直してトイレの前につっぷしているところを見つけて警察に通報し、現場検証に立ち会わされようが、日本刀をもってぶっころしてやる!と騒ぐクレーマーのおっさんのところへ気持ちをおさめに行こうが、すべて無料である。きちんとマネジメントをしたがゆえに怒られることもある。施設やケアマネージャーへの調整には結構なスキルを要するし、個人情報の流出には気を使うし、職場の代表電話を取っているので取次ぎだけでも大変だ。しかしながら私の年収は24歳当時と同じなのである(業種がちがうが)。
遠くアメリカ合衆国においては私の仕事にはけっこうな報酬がある。ミドルクラスといってよいだろう。クライアントのワーカーに対しての認知が違う。ときどき、「先生」と呼ばれることがあるが、先生がこんな給料でよいのだろうかと思う。そして私はスーパーでモヤシを手に取りながら、生産農家に思いをはせてしまうのである。
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