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カテゴリ:ヨーロッパ
つづき…
わからないと余計に何としても知りたくなる性格を持った私は、画家ゴッホの墓参り を兼ねて(格好よく)巡礼の旅に出ようとしていたのである。 とはいえ、実はすでに南仏のアルルからサンレミーの方は訪れてしまっていたのであ る。(この話は別の機会に「南仏の奇跡」とかで…) パリから60kmあたり北のAUVERS-SUR-OISEにさっそく出かけることにした。 当時はマイカーがあったので、それでいけば良かったものの、パリに出かける気持ち のほうが勝って、タリス超特急の払い戻し、変更の一切きかない格安チケットを購入 した。なんどもパリには出かけているので慣れたものだったが、夏の季節はやはりぶ らぶら人が多い。しかしどうしてもあの教会が描かれた時期に行きたかったので混ん だ時に無理して断行した。 ところが、パリから郊外電車に乗る際になって、初めて気がついたのだが、直行車が 無いという事である。つまり、途中で乗り替えなければならないのである。パリから 約一時間とたかをくくっていた私は、この乗り継ぎ事情の悪いフランス国鉄の線路に 投げ出されたかのように、真夏のじりじりの太陽(その夏は格別の暑さ)を避けるひ さしも屋根もめぼしいものは何にも無い無人のような駅にまるまる一時間半、乗り継 ぎで足止めをくったのである。 「これじゃ帰りは3時間かかる」とパリに戻る最終の連絡ダイヤを確認した。あまり に暇で、他の電車も通らない、何度も何度も時刻表を見つめたせいで殆ど、上がりと 下りも全部暗記してしまった。 やっとのことで降りた駅には、何のそれらしき標識「ゴッホの記念館はこっちで す。」がなく、ただ出口が線路の両サイドにあるだけ。とにかくまばらな人が行く方 向に進んだ。そして、間もなく「ゴッホの記念館」の標識を見たのである。 向かいのツーリスト事務所に駆け込んで(昼休みに入る直前)で簡単な地図をもらっ てひとまず、記念館に行った。しかし、午前の最終グループはすでにスタートしてい た。「午後からだとパリにはヒッチハイクしかない。」と心の中でつぶやくと、切符 売り兼記念品売り場担当のお姉さんが、「今は皆スライド室だから途中ではジョイン ト出来ないけど、終わるの待てばええんよ。」と裏口から入れてくれたのである。ス ライド室の扉の横にゴッホの部屋というのが目にはいった。誰もいないからいいか~ と、シャッターを切ろうとしたが、止めて、そろりとそこに入った。中は狭く何にも 飾りもなく、ベッドの枠だけおいてあった。壁に触りながらなぜか私は感動してしま い、シャッターどころではなくなったのである。その時隣から椅子が動く音を聞いた のでまたそっと部屋を出た。 他のツーリストたちとお決まりのコースを回り、最後に最初のスライドを見るために またあの部屋の前に舞い戻った。次のガイドさんが、ゴッホの部屋の前で説明してい た。なんと中には入ってはいけなかったのだ。写真も禁止ということは知っていた が。 外に出ると抜けるように青い空があった。しかしブルーはあくまでも青であって藍で はなかった。 (単純に青いのでなく、群青色という蒼や藍である。) その2につづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月11日 20時54分05秒
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