カテゴリ:◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ
↓前回です♪
第六十六段 ~レッド・プラネット10~ ★☆★☆ 第六十七段 ジョンにとってミックは任務を離れると友人だった。 彼は、休暇にはミックを必ずともなって、あちこち遊んで回った。 ジョンは、家族も友達も持たないミックを気遣っているようだった。 そして時々、むしろ家族などいないほうが気が楽だと思えるよ。 と言っていた。 彼は、アンナやポールにもミックを紹介したし、 彼等にジョンを庇って出来たミックのおでこの傷を まるで自分の傷のように自慢したりしたが、 ふと気がつくと彼は後ろに身を引いていて、 家族たちとは違う世界の空気を こっそり吸っているように見えたりしたものだった。 ミックは彼の孤独の種類を簡単に嗅ぎわけることができた。 彼を愛しく思い、自分だけが彼を理解できていると思っていた。 ところがある時シアンが現れ、 シアンが彼に触れ、シアンが彼を泣かせた時、 ミックはひどく落ち込んだ。 ジョンは誘われれば、そしてある一定の条件を満たしている相手ならば 大抵は一夜を共にする。 男であるときも女である時もあったが そのいずれとも、長続きする関係は結ばなかった。 二度目を求められても、任務を口実に必ず断っていた。 ミックは安心していた。 結局彼は、誰とも深い絆を結ぶつもりはないのだと思って。 一晩限りの関係で終わるのならば、その関係は諦めて友人として 長く一緒に居られる方が増しだった。 だが、シアンが捨て身でジョンにしがみついて行った時、 彼は当直でモニターを睨んでいた。 とうとうやったか、と思った。 シアンがジョンの気を引き続けているのに気がつかない者は いなかったのだ。 ジョンだけが気がついていなかった。 シアンは望むものは何でも手にできる身分だ。 だからジョンがきっぱりと拒絶した時には、 心からほっとした。 最近になって急にシアンに関して、 ジョンにごたごたが持ち上がったという噂が立った時も 心配はしなかった。 ジョンの窮地を救いたい思いだけが募っていた。 シアンの強引な求愛は、昔話だったし、 誰かが今になって咎めだてしたところで、 シアンのプライドに泥を塗るだけだと思えたから、 いずれ、そう遠くない将来には、もみ消されて 忘れられるスキャンダルのはずだった。 だが所詮ミックは身分違いの、 同情されているだけの部下にすぎなかった。 彼の知らない最上位カーストの世界では、 ジョンとお姫さまの関係はこっそり進んでいたのだ。 お姫様は、ついに想い人を手に入れようとしていた。 手練手管をインプットされた人形。 権力者たちの快楽のためだけに作りだされた人造人間。 シアンはジョンの心を捉える為に特別な仕様でつくられた 人の肉を持った ロボットだ。 ミックにはそう思えた。 彼の胸は憎しみで膨れ上がり、 激しい頭痛とともに 身体は硬直して呼吸もできないほどだった。 その彼の額の傷にシアンが触れていた。 『この傷は君の愛の証だね。』 シアンはミックの傷を撫でながら優しく言った。 でも、言葉にしなければ、伝わらない愛もあるよ。 その言葉を耳にしたとたん、 ミックの両の瞳からぽろぽろっと 幾粒もの大粒の涙がこぼれ落ちた。 そして次から次へとこぼれ落ち尽きることがないようだった。 その涙とともに不思議なことに彼の頭の痛みが薄れて来て、 さらに驚くべきことにはシアンの穏やかな眼差しを 素直に受け止めていた。 憔悴しきった様子で床に座り込んでいるミックの背中を ジョンが支えていた。 シアンはミックの前にかがみこんでいる。 シアンの手はまだ彼の顔に触れている。 『サンゾウ』 ミックはシアンのその手を自分の顔から穏やかにどけて 彼に呼び掛けた。お前を大昔から大嫌いだった。 彼は続けた。『思い出したよ。 俺がどうしてここに居るのかを、思い出した。』 つづく ↓次回です♪ 第六十八段 ~レッド・プラネット12 『乳房を求める赤子のように』~ 最初からお読みになりたいごキトクな方は (たぶんいらっしゃらないと思うけど) 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪ ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン 以上全部同じ人(笑) 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.10 08:57:51
[◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ] カテゴリの最新記事
|
|