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「ある女流作家の罪と罰」(原題:Can You Ever Forgive Me?)は、2018年公開のアメリカの伝記ドラマ&コメディ映画です。伝記作家のリー・イスラエルが2008年に発表した自伝「Can You Ever Forgive Me? 」を原作に、マリエル・ヘラーが監督、メリッサ・マッカーシー、リチャード・E・グラントら出演で、リー・イスラエルが有名人の手紙を捏造、販売した事件を描いてます。第91回アカデミー賞で主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネートされた作品です。
「ある女流作家の罪と罰」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:マリエル・ヘラー 脚本:ニコール・ホロフセナー/ジェフ・ウィッティ 原作:リー・イスラエル著「Can You Ever Forgive Me? 」 出演:メリッサ・マッカーシー(レオノア・キャロル・イスラエル) リチャード・E・グラント(ジャック・ホック) ドリー・ウェルズ(アンナ) ジェーン・カーティン(マージョリー) アンナ・ディーヴァー・スミス(エレイン) スティーヴン・スピネラ(ポール) ベン・ファルコーン (アラン・シュミット) シェー・ドリン(ネル) マイケル・シリル・クレイトン(ハリー) ケヴィン・キャロラン(トム・クランシー) マーク・エヴァン・ジャクソン(ロイド) ティム・カミングス(クレイグ) クリスチャン・ナヴァロ(カート) ジョアンナ・P・アドラー(アーリーン) ほか 【あらすじ】
【レビュー・解説】 実話に基づき、生活費を稼ぐために著名人の手紙を捏造、販売したアクの強い女流作家とその相棒をメリッサ・マッカーシーとリチャード・E・グラントが好演、犯罪を描きながらも程よく共感を誘う良質の伝記ドラマ&コメディです。 著名人の手紙を捏造した女流作家を描いた、実話に基づく伝記ドラマ&コメディ 贋作や詐欺を描いた映画の不思議な魅力 贋作や詐欺を題材にした映画には、不思議な魅力があります。クライム・アクションが動的な部分で見せるとしたら、贋作や詐欺を描いた映画は知的な部分で見せると言って良いでしょう。贋作や詐欺は犯罪ですが、被害者が富裕者や好事家であることが多く、また被害者に肉体的な危害を加えるわけではない為か、見る側の抵抗感もさして大きくありません。ここ10年余りの間に公開された贋作や詐欺を描いた作品から、印象深いものをいくつか挙げてみると、
贋作に手を染めた女性作家の人物像を描く 他の贋作や詐欺を描いた映画と本作が異なる点は、主人公が女性であることです。リー・イスラエルは思ったことを正直に言う女性で、逆に彼女に対して人々がどのように反応しようが彼女は気にしない、そんなタイプの女性です。見てくれより知性を重んじ、物を書くことは自分の一部であり、自分の反映であると考えています。自身が劇作家・脚本家で、自分の脚本を他の監督に委ねられないという一心で監督を務めた経験のあるマリエル・ヘラー監督は、物を書くことでしか自分の存在意義を感じることができないリー・イスラエルに強い共感を覚えたと言います。 劇中のリー・イスラエルは、裁判の最終陳述で次のように述べます。 <ネタバレ> リー;何ヶ月もの間、私は大きな罪悪感と不安の中で暮らしていました。これは大げさです。何か悪いことをしていると感じるよりは、いつも発覚することだけを恐れていました。自分のいかなる行いについても後悔していると言えません。本当です。というのも、いろいろな意味で人生の最良の時期だったのです。ここ何年かのうちで、唯一、自分の作品に自信が持てたのです。(後略) <ネタバレ終わり> 彼女と贋作の関係を端的に表す一言です。 一般に女性は周囲の人に自分がどう見られているか鋭く察すると言われていますが、リー・イスラエルの関心は見てくれよりも知的であることでした。もし、彼女が周囲の目を気にし、多少なりとも周囲に同化し、物書き以外の仕事を受け入れることができれば、こうした犯罪に手を染める不幸を避けることができたかもしれません。類まれなる文才を持つ彼女ですが、こうした面ではあまり賢くなかったとも言えます。作家で、賢く、見てくれよりも知性を重んじる、50過ぎで、社会に無視され、生涯未婚で、子供もおらず、レズビアンで、人よりも飼い猫を気にかける、本作はそんなリー・イスラエルを描いています。一般にこうした女性には共感を得にくく、また下手に美化すれば犯罪礼賛と捉えられかねなり難しさがありますが、本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたメリッサ・マッカーシーは、リー・イスラエルの人間味をじわりと滲み出ささせることにより観客の感情移入を巧みに誘い出しています。 因みに、リー・イスラエルが捏造した手紙を買い取る怪しげな書店主アラン・シュミットを演じているのが、メリッサ・マッカーシーの実生活の夫で俳優、コメディアン、脚本家のベン・ファルコーンです。二人は「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年)でも共演、ベンはメリッサに言い寄られるまさかの航空警察官を演じていますが、本作では終いにはメリッサを脅迫する怪しげな書店主と、いかにもコメディ・カップルらしい、お楽しみのキャスティングです。本作を纏めたマリエル・ヘラーは、演劇畑出身の作家、俳優、監督で、監督デビュー作の「ミニー・ゲッツの秘密」(2015年)、本作、「A Beautiful Day in the Neighborhood」(2019年)と、質の高い作品を着実に作り続けています。 メリッサ・マッカーシー(レオノア・キャロル・イスラエル) メリッサ・マッカーシー(1970年〜)は、イリノイ州出身のアメリカの女優、コメディアン、脚本家、プロデューサー。1997年からテレビのコメディ・シリーズに出演、2000年から脇役としてコメディ映画に出演している。「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年)で大ブレイク、アカデミー助演女優賞にノミネート、本作では同主演女優賞にノミネートされている。夫は、俳優、コメディアン、脚本家のベン・ファルコーン。 リチャード・E・グラント(ジャック・ホック) リチャード・E・グラント(1957年〜)は、スワジランド出身のイギリスの俳優。南アフリカのケープタウン大学で演技を学び、卒業後にロンドンに移り、舞台やテレビに出演するようになる。1987年に映画デビュー、「ザ・プレイヤー」(1992年)、「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」(1993年)、「 ゴスフォード・パーク」(2001年)、「人生はシネマティック!」(2016年)、「LOGAN/ローガン」(2017年)などに出演している。本作で、アカデミー助演男優賞にノミネートされている。 ドリー・ウェルズ(アンナ) ドリー・ウェルズ(1971年〜)は、ロンドン出身のイギリスの女優、脚本家。「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)、「モーヴァン」(2002年)、「さざなみ」(2015年)、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」(2016年)などに出演している。 ベン・ファルコーン (アラン・シュミット) ベン・ファルコーン(1973年〜)はイリノイ州出身のアメリカの俳優、コメディアン、脚本家、映画監督。「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年)、「おとなの恋には嘘がある」(2013年)などに出演している。妻は、本作の主演を務める女優、コメディアン、脚本家、プロデューサーのメリッサ・マッカーシー。 【撮影地(グーグルマップ)】
【関連作品】 「ある女流作家の罪と罰」の原作本(楽天市場) リー・イスラエル著「Can You Ever Forgive Me? 」 マリエル・ヘラー監督作品のDVD(楽天市場) 「ミニー・ゲッツの秘密」(2015年) 「A Beautiful Day in the Neighborhood」(2019年) メリッサ・マッカーシー出演作品のDVD(楽天市場) 「SPY/スパイ」(2015年) 「ゴースト・バスターズ」(2016年) メリッサ・マッカーシー出演作品のDVD(楽天市場) 「Go」(1999年) 「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」(2011年) 「ヴィンセントが教えてくれたこと」(2014年) 「SPY/スパイ」(2015年) 「ゴースト・バスターズ」(2016年) 贋作や詐欺を描いた映画のDVDの(楽天市場) 「スティング」(1973年) 「オーソン・ウェルズのフェイク」(1973年) 「グリフターズ/詐欺師たち」(1990年) 「ユージュアル・サスペクツ」(1995年) 「スパニッシュ・プリズナー」(1997年) :輸入盤、日本語なし 「オーシャンズ11」(2001年) 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002年) 「マッチスティック・メン」(2003年) 「ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男」(2006年) 「トスカーナの贋作」(2010年) 「コンプライアンス 服従の心理」(2012年) 「アメリカン・ハッスル」(2013年) 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年) 「お嬢さん」(2016年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年11月02日 05時00分07秒
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