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2007/03/27
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『鈍太郎』  びわ湖ホール

           鈍太郎   野村 万之介
           下京の女  深田 博冶
           上京の女  高野 和憲
                         後見 月崎晴夫



【あらすじ】
 3年も西国に下っていた鈍太郎が久しぶりに都に戻り、まず下京の妻を訪ねた。
 ところが、全く音信の無かった鈍太郎が帰ってくる訳がないと、戸も開けてもらえず
 棒使いを夫にしたと追い払われる。
 怒った鈍太郎は、次に上京の女を訪ねるが、やはり本人と信じてもらえず、
 留守を待てなかったので長刀使いを夫にしたと言われてしまう。
 2人の女に見限られたとすっかり落胆した鈍太郎は出家を決意する。
 一夜明けて、鈍太郎が出家したという噂を聞いた妻と女は、訪ねてきたのが本物だった
 ことに気付き、出家を思いとどまらせようと心を合わせる。
 女たちがわびたので、鈍太郎はひと月の上半分を上京の女、下半月を下京の妻の家に居る
 約束をとりつけ、その上に・・・



【解説】
 当時は太陰暦なので、大の月(30日)と小の月(29日)があった。
 月の前半を上京の家に行くということは、小の月は妻の家より一日多く上京の
 女の家にいるということになり、ご愛嬌である。
 鈍太郎が二人の女から大事にされ、手車に乗って得意気に囃すのが特徴的で、
 手車は当時の子どもの遊びだったと言われている



真っ暗の会場にほんのり明かりが射すと、今度は3本の桜の木が中央にありました。

万之介さん演じる鈍太郎が左前方の花道から登場し、久々に都に帰って来ました。

一時、万之介さんは体調を崩されて舞台をお休みされる事がありましたが、とてもお元気そうで安心しましたわ。

鈍太郎の本妻は深田さん。舞台の左袖に待機。
主人の鈍太郎が門前にいるのに、別人だと思って「棒使いを夫にした。帰れ~。帰らぬと棒でやっつけてもらうぞーーー!」と、脅す始末。。

仕方なしに、上京の愛人宅(こちらは右袖に待機)に出向いた鈍太郎でしたが、こちらも「長刀使いを夫に持った。帰らぬと、長刀で滅多斬りにしてもらうぞ~~!」と脅します。

そりゃあねぇ~。3年も音沙汰なしだったら、信用してもらえないのは当たり前ですわよね。

鈍太郎は嘆き、髻を切って出家する決意をします。
そして、一旦、退出。

ここからは、下京の妻と上京の愛人の絡みです。
町衆の噂で、先ほどの男は真の鈍太郎で、出家をしてしまうというのをお互い耳にし、妻は愛人に、愛人は妻に事の真意を確かめに行こうとします。

そして、ちょうど舞台の中央で肩袖をぶつけ合う二人。
本来なら、妻と愛人。憎みあうべき相手ですが、鈍太郎の出家を何とか止めなくちゃ!と結託するんですねぇ。
そのためには何でもするとの意気込みで!

そこに僧の衣装を身に纏い、鐘を鳴らしながら歩いてくる鈍太郎。
妻が止めますが、聞き入れてくれません。
とても、つっけんどんです。

次は、愛人が止めに入ります。
「可愛いそこもとだけど、他に男がいるのは許せない」と相好を崩しながらも聞き入れません。

妻と愛人。。二人に対しての態度が全然違うので、とても面白かったです。

二人が一生懸命に言い訳をし、謝ったので、鈍太郎は出家を思いとどまってもいいと言いました。

おまけに二人が何でもする、何でも言う事を聞くといったので、鈍太郎は「それじゃ、月の5日は下京の家(妻)。残り25日は上京の家(愛人)に行くとしよう~」ととんでもない事を言い出す始末。

これにはいくら妻でも納得がいかず、怒ります。
「それではあまりにもヒドイ! 上の月(15日間)は私(妻)の家、下の月は上京の家にしてくだされば、よいのでは?」

鈍太郎は
「はは~~~~ん。月によって大の月(30日)か小の月(29日)に分かれる。お前は下の月であれば、一日少ない月があるのを知って小ざかしい事を言いよるのだな!」
「それならば、上の月を上京(愛人)に、下の月を下京に行くとしよう!」
と、断言!

この間、愛人さんは一切口を挟みません。挟まなくても愛人にとっては良い方向に進むのを知っているのかも。。
それほど、鈍太郎の態度が如実に違うのです~。

調子に乗った鈍太郎は、二人の手車に乗って帰りたいな~などと言う( ̄▽ ̄;)
出家されるよりはマシと考える二人は鈍太郎の意のまま。

二人で向かい合って腕を絡み合わせ、手車を作ります。

鈍太郎は
「こ~れは、だ~れの 手~車ぁ~?」
と謡いながら聞きます。

すると二人が
「ど~~んたろ~う~~の 手~車ぁ~~」
と答えます。

ですが、これでも気に入らない鈍太郎
「俺は今まで、殿(でん)文字を付けて呼ばれた事がない。殿の字を付けて謡え!」
「こ~れは、だ~れの 手~車ぁ~?」


二人の女は
「ど~~んたろう~どのの 手~車ぁ~」
と謡を変えました。

この掛け合いの謡いが暫く続くのですが、妻の傍に来た時は妻の頭上で鐘を激しく鳴らしながら。。
それに引き換え、愛人の傍に来た時は小さく鐘を鳴らし、にっこり笑顔を作りながら謡う鈍太郎。

その違いに一層拍車がかかり、何故にそんなに妻が小憎たらしいのかと思ってしまうほど、妻が可哀想でしたわ。

そして、ついに二人の作る手車に鈍太郎が乗り込み、謡いを掛け合いながらちょっとずつ進んで花道から退出~。

いつまでも、3人の楽しげ(妻は心外だったかも)な謡いの声が響いて、軽やかな終わり方でした。


鈍太郎が手車に乗るところは見所ですね。
載せている二人も大変ですが、乗っている万之介さんもバランス取るのが大変だと思いました。
「手車に乗る」という型があるのかと思うくらい、両の足裏がピッタリと合わされていて、腹筋も腿の筋肉も使うだろうな~って思いました。


見るからに、愛人大好き♪の鈍太郎だけど、都に帰って先に帰ったのは妻の元なんですよねぇ。
とりあえず、妻の元に先に帰っているっていうのが、鈍太郎は本妻に頭が上がらないのかなとも思いましたね。
だから、相手が下手に出てるのをいいことに、愛人だけ可愛がり、妻にはヒドイ仕打ちをしたのかも。

それにしても、妻も愛人も鈍太郎が好きなんですね☆(≧∀≦)☆
万之介さんが演じてるからかもしれないですけど、確かに憎めないキャラなんだよねぇ。
万之介さんが取る、絶妙な「間」が好きです。

この「鈍太郎」では笑うシーンも多くて、会場もリラックスして苦笑あり、爆笑ありの和やかな雰囲気の鑑賞となりました。

桜が3本。
鈍太郎を中心に左に妻、右に愛人。。って、設定だったのかな。






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最終更新日  2007/03/27 04:12:56 PM
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