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柳田理科雄さんの『理科雄は本名です』という本の広告が載っていました
こんなコラムが150本載っています 曾祖母とヤマモモ 仕事場からの帰り道、ヤマモモの実がたくさん落ちていた。子供の頃、その赤紫の実 は初夏のまたとないおやつだった。 小学1年のとき、家に曾祖母が遊びに来た。お土産は袋いっぱいのヤマモモである。跳 び上がって喜んだ。僕の喜びようがよほど嬉しかったのか、曾祖母は袋から一掴み取って、 母が皿を持ってくるのも待ちきれず、手近な紙にバラッと広げた。 ところがそれは、やり終えたばかりの国語の宿題だった。一面に紫色の斑点がついた。 僕は泣いて怒った。おぼろげな記憶だが「字を覚えるのは大事なのに」と叫んだ気がする。 曾祖母は、ごめんね、ごめんねと何度も謝りながら帰っていった。 あとで母が言った。「ひいばあちゃんは学校に行かなかったから、字が読めないのよ」。 あれだけのヤマモモを集めるのに、曾祖母はどれほど苦労したのだろう。日に何本もな いバスを、あれから何時間待ったのか。ヤマモモの季節が来るたびに、この記憶がよみが える。思い出し続ければ、曾祖母はゆるしてくれるだろうか。 ~~~2010年9月16日読売新聞掲載~~~ 今日はとても秋らしい涼しい一日でした どうしてでしょう秋って涙もろくなります
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