カテゴリ:短歌
香川ヒサ「自選五十首」から、私の注目した歌にコメント。 人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター 枡目の中に鬱の字ほどに鬱という漢字がやたらと画数が多くて一カ所に詰め込まれているのと、エレヴェーターという狭い場所に詰め込まれて鬱になっている感じとが掛けられていて、面白かった。鬱という字を原稿用紙の枡目に書いていたのかもしれないが、エレヴェーターという四角い空間を枡目と表現したのも上手い。 かさはさか きゆはあはゆき くさはさく 循環バスは渋滞の中回文は前から読んでも後ろから読んでも同じ。そして、最初と最後が同じ文字だから循環もできる。「かさはさかさはさかさはさかさはか……」「きゆはあはゆきゆはあはゆきゆはあはゆき……」「くさはさくさはさくさはさく……」 さて、これを見てなんとなく頭の中が渋滞してませんかね。(^^ゞ もう一人そこにはをりき 永遠に記念写真に見えぬ写真屋記念となる思い出のなかで、写真屋は見事に忘れ去られるんだな。 この星が太陽のまはり回ること誰も見たことありはしないがネット上のやりとりを連想してしまった。(笑) 「……ありはしないが、何か?」という感じ。 一冊の未だ書かれざる本のためかくもあまたの書物はあめり本を書くとまでいかなくても、何かの文章を書こうとするとすごくたくさんの本やサイトなどを参照することになる。たしかに「かくもあまた」だわな。(^^; なにもかも危なくなつて本当に危ないものが見えず安けしなんだかなあ、マスコミがくだらないことに危機感を煽ってばかりいるから、本当に危ないものが見えなくなっている。ま、これは私の解釈であって、作者がどんな状況を歌にしたのか分からないが。 最後は巻頭秀歌から。 石だらけの地に立つ石の修道院 観念だけが生まれるところたしかに生命は決して生まれてこないような感じの場所で、神の観念だけがどんどん生産されていく。 《『NHK短歌』のホームページ》 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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