「80分」しか記憶がもたない。
事故で脳を損傷し、着古した背広には、
メモが、葉っぱのように、貼り付けてある。
過去に貯蔵した「数式」に関しての記憶のみが、
博士の財産だ。
老年の数学者と家政婦から見た「過ごした時間」の物語。
家政婦の子供につけた博士のあだ名は「ルート」。
頭のテッペンが、平らで、「√」記号みたいだから。
擬似家族が、「80分限定の記憶」と「数式」を介して、
家族になってゆく。
「素数」
「1」と自分でしか、割り切れない完全な数。
全ての数字を保護する記号「√」など。
数学が「詩」になり、
「博士との時間」が、淡々と語られてゆく。
素敵な物語だった。
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Last updated
April 17, 2005 11:03:22 PM