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2023年11月30日
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カテゴリ:記録
​ 昨夜23時37分頃フィリピンでMG7.7の地震があったそうで。その津波が本邦の西南諸島から九州、四国に到着した。番組は一部、改編された。
 地震がなくとも津波に見舞われる。その教訓は1960年5月24日のチリ沖地震津波。
 釧路川に架橋の国鉄・根室本線鉄橋がずれて、バス代行輸送に。市民は「地震を体感せずとも津波被害の教訓」を体験した。

 北海道内のアイヌ民族に伝わる津波伝説を収録した本がある。それを読んでみると、<津波を体感していないのに、婆が津波とわめきだした>の話がある。
 この伝承は『続 佐藤直太郎郷土研究論文集』のなかで芦沢ヨシ媼の談話を収録している。
 そこに伝わる意を、次に紹介してみることに。

 「(地震来たわけではないが)津波来る!!」、 アイヌ民族の津波伝説=「(白糠郡)コイトイ沼の神岩」

2節 津波伝承と減災伝えるアイヌ語地名
 1.アイヌ民族伝説にみる津波伝承と地名
 ―略―
「コイトイ沼の神岩」 論点をもどして図-2-1でを検討する。口承伝説の景勝地は白糠郡を対象とする。実在性の高いとされるアイヌ民族津波伝承の第4話にあたる。庶路川に近いコイトイ=現恋問で、庶路・神の沢というところに住む芦名ヨシの話を佐藤直太郎氏が採録した26)。(シラヌカ生活圏)太平洋-コイトイ沼の神岩‐白糠・恋問-庶路川-阿寒・ウエンペツ川(阿寒川生活圏)の枠組みに位置する。例によりポイントを三点示す。
 (A)食資源豊富で他者がうらやむ住みよいコタンに突然、「津波来る」と占いをする婆がコタン中に触れまわった。
 (B)住民は従い山に逃げ込むと間もなく、海面が盛り上がり山のような大波が押し寄せて「すべてをさらっていった」。
(C)住民は喜ぶも婆さんの姿は見えなくなり、気がつくと沼の奥に大岩が立っていた。占いの婆が岩に変じたのだと住民はイナウ=木幣をあげ「神岩」と呼んだ。
 高清水氏はコイトイ沼の標高、太平洋の水際からの距離から「津波に襲われた可能性はある」(前掲書)とする。この伝承の話はある意味、津波の予眺・前眺のひらめきが、家屋・家財を失っても命をまもった例ということ。地震があってから被災をさけて避難とは異なる次元の行動ということになる。本人の談話がえられると「ひらめき」の根拠がいずれであったか、関心のよせられる点である。現代においても「大地震の前触れ」なるものに話題がゆくことがあるが26)。
 恋問は庶路川に近く中庶路からウエンペツ川を経て阿寒川に通じていた。シラヌカアイヌの生活圏は庶路川-ウエンペツ川‐阿寒川を通じるルートをもつ。クスリ生活圏とは独立したエリアで伝承した海岸線の津波伝承となる。
 ―略―
(佐藤宥紹「章 補論 伝承・記録で地域の災害」 酒井多加志監修『釧路の自然災害と防災・減災』 釧路市 2022年)





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最終更新日  2023年12月03日 10時00分26秒
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