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2008/05/03
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カテゴリ:政治
揮発油税暫定税率が復活して、日本経済にもいよいよ暗雲が漂ってきました。
何と言っても、景気刺激策を打たなければ行けないときに、減税どころか大幅増税をやるというのですから、日本史史上まれに見る経済悪政なのではないかと、私は思います。

そもそもの失敗は、米国のイラク開戦を小泉政権が支持したことにあると私は思います。何としてでも、小泉政権は、イラク開戦しても日本は米国に着いて行かない、と、言って、米国単独でのイラク開戦を思いとどまらせるべきだったのです。
米国産出の石油はあと20年で枯渇するのだそうで、米国は石油調達に必死になっています。
イラクの石油埋蔵量は、世界第2位とも第3位とも言われています。
イラクの石油利権独占を米国ブッシュが狙うのも無理はなかったのかも知れません。
小泉政権が、英国労働党ブレアとともに、イラク石油の一端を狙ったのも仕方がなかったのかも知れません。
ですが、今、どう見ても、イラクの状況は米国が石油利権を独占できるような雰囲気にありません。
米国の一国覇権主義は破綻し、中国やロシアも虎視眈々とイラク石油利権を狙っています。
サダム・フセインを打倒して、イラクに民主政権を打ち立てることが目標ならば、米国単独で開戦せずに、国際協調の枠組みで、周辺アラブ国を交えながらやっていくべきだったのです。
少なくとも私は、当初からそう思っていました。

イラク開戦により、原油価格が高騰を始めました。
当時は、日銀金利が実質ゼロで、米国も含めて海外投資家はほぼ無利子で日本から資金を調達できました。
その結果、ダブつくグローバル・マネーが漂流を始め、新興国の株式市場や、原油や、レアメタル等の鉱産物、食料などへの投機に回り始めました。
米国では、サブプライム・ローンに回り始めました。
円キャリー・トレードを通じて直接日本からサブプライム・ローンに回った分は少なかったようで、日本は直接的な被害は受けずにすみましたが、米国景気減速に伴い、原油や穀物の高騰という形に迂回して、過剰流動性は、日本経済に大きなダメージを与えつつあります。
日本が、「強い円」政策をとって、一昨年頃から景気上昇局面のうちにどんどん日銀金利を上げていれば、円はドル暴落の影響を受けずに、原油価格も穀物価格も円ベースでは安定していたと思いますが、自民党政権の米国追随外交政策により円がドルにペッグして動いてしまい、原油や穀物価格の高騰の影響が増幅されてしまいました。
最近は、日本政府が為替介入をせず、円高を放置したので若干緩和されましたが、それでも、石油をほぼ全量輸入に頼り、食糧自給率の低い日本経済の受けるダメージは、今後、想像もつかないようなことになってくるのではないか、と、思われます。

日本がどんどん市場開放し、「強い円」政策を取っていれば、オイル・マネーなどが日本企業の投資になだれ込み、外資に乗っ取られたり、株式の過半数を海外投資家に握られてしまうような企業も出てきたかも知れませんが、それはそれで、日本人の努力が高く評価されている、と、プラス面に考えるべきでした。
しかしながら、この点においても、日本政府は、市場を閉鎖して外資を追い払うようなことを始めたのです。
昨年来の株価急落は、民主党が参院選で勝利したからではなく、日本政府が、ソース会社へのTOBを仕掛けた投資ファンドを、裁判所と一体となってグリーン・メーラーと決めつけ、日本市場から海外投資家を追い払うようなことをしたからです。

日銀が高金利へ移行し「強い円」政策を取ろうにも、日銀前総裁が村上ファンド・スキャンダルで発言力を落としてしまい、自民党や財務省から出てくる、金利を上げるな大合唱の前に、日銀は機動的な金利政策が取れなかった、という不運な面があったかも知れません。
あるいは、そこまで深読みした財務省の思惑で、村上ファンドが叩き潰された、ということかも知れません。
とにかく、日銀金利は0.5%までしか上がらず、これでは、海外投資家が日本に投資しようという気を起こすはずもありません。
しかも、せっかく日本株を買ってくれた投資ファンドを足蹴りするようなことまでやるのでは、海外投資家は日本から逃げてしまいます。
また、景気減速の流れが明らかになっても、金利に下げる余地が無く、日銀は金利引き下げによって景気刺激を図ることができないのです。

手足を縛られた日銀が景気刺激策を打てない以上、景気を刺激するのには、減税以外にはあり得ません。
小渕政権のときにいろいろな景気刺激策が出されましたが、公共事業によるケインズ政策をいくら打っても、日本人のマインドは活性化せず、しかも、公共投資のカネが限られたところで滞留して、国民一般にまで回ってこないのです。
従って、揮発油暫定税率を復活させて、道路建設関連のところにだけ富が行くような考え方は誤りです(しかも、道路に投資しても、道路は何も産出しない)。
国民全体に広くあまねくお金が行き渡り、実消費につながるようなことを考えなければ、日本の国内消費が伸びるはずがないのです。
とすれば、減税こそが、今、日本政府がとるべき景気刺激策なのであり、地方経済により恩恵が大きい揮発油税暫定税率廃止こそが、まさに、その景気刺激策として最も望ましい方策だったのに、自民党は、4月30日に潰してしまう、という暴挙に出てきました。

せっかく日経平均も戻りつつありましたが、今後、国内消費の低迷、原油その他の諸原料コスト増大により、腰折れしてしまう可能性が出てきたと思います。
省エネ技術か、砂漠緑地化のような環境技術か、エコ自動車か、日本国内から新たなビジネス・モデル、海外投資家の注目を集めるような企業プランが出てこないと、日本経済が沈没してしまいかねません。
森永卓郎さんのコラムでは、「年収崩壊、庶民の生き残り策を考える」そうですが、私は、こうやって、日本経済を縮小させていく発想も間違いだと思います。
もちろん、森永さんのような生き方が、景気減速下の日本で生き抜く賢い知恵なのかも知れませんが、少子高齢化問題を抱え、今後、医療費や福祉費の増大が予想される日本では、景気拡大策以外にはあり得ないのです。
今後10年間、まだまだ、高速道路を造るそうなので、私の完全な負けですが、私が潰れて済むなら、それでも良いのですけれどもね。

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最終更新日  2008/05/03 06:37:41 PM



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