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南の島物語

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2014.11.01
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カテゴリ:釣りのエッセイ
先日、東京都の海面利用協議会があり、その会議に出席した。

会議は名前の通り、漁業者と、
遊漁、ダイビング、サーフィンなどマリンレジャーを含めた
海のレクレーションとの円滑なルール作りである。

会議内容を話す事は憚るが、
その中で少しばかり、水産庁からのマグロの捕獲制限の話が出て、
一部委員から
「捕獲制限が言われる中で、遊漁でのマグロ捕獲のデータ、
例えば年間でどのぐらい釣られているものか?」
と云う意見(質問)があったので、
その事から私なりに水産庁のデータを元に、私見を述べたい。

勿論、マグロの捕獲制限が、直ぐに始まるというものではない。

ただ、水産庁の発表は、中西部太平洋 まぐろ類委員会(WCPFC)で、
幼魚(重さ30キロ未満) の漁獲枠を2015年から、
過去実績の半分にすることで合意したことを踏まえたものだろうか。

確かに、近年では大島近海から、
相模湾周辺でのキハダマグロやクロマグロをターゲットにした遊漁が盛んである。

他にも沖縄周辺や、四国や和歌山沖、北九州、山口県見島周辺、
石川県輪島沖や山形県の飛島、そして青森県の九六島や小泊沖、竜飛沖などなど。

マグロの遊漁が盛んな場所は日本中にあるだろう。

先に述べた規制の話は、今のところ遊漁が対象になっていないこともあり、
其処は職業漁師に言わせれば気になるところだろうか。

個人的にも、やはり規制が成されるのであれば、
遊漁の漁獲データを調査し、其処にも網をかけるのは一般的な考えだろう。

ただ以前だが、水産庁に問い合わせたところでは、
巻き網船などはその規制対象にはなってないという。

やはり、魚の個体に関係なく網で巻いてしまう、
巻き網漁が規制対象から外れている事には、大きな違和感もある。

その事を水産課の方に聞いたところ、2015年からの漁獲枠の制限から、
巻き網船も対象になると云う話なのだ。


マグロの資源減少の話では、以前、北九州、山口県などの漁協からの話で、
狭くて浅い対馬海峡から壱岐海域から山陰沖は
時期では必ずマグロが通過する海域であり、
そこに網目規制が無い巻き網船が入る事で、
1~2年の幼魚である3~5キロのヨコワ(産卵能力を持たない)も
構わず網ですくい取ってしまい、それが近年の漁獲減少に繋がっているのでは?
という疑問。
また、私の住む八丈島でも、春季のカツオ漁盛期が始まる前、
魚の着き始めた6基あるパヤオに巻き網船が入り、
パヤオに着く小魚からカツオ、マグロ類まで一網打尽で、
その巻き網船が入った後は小魚一匹いない不毛の漁場と化してしまう現状。

おそらく、日本全国で同じような話は数多い。

勿論、これだけが資源減少の要因ではないが、
これだけ問題視されていた漁法が規制から外れていた訳で、
今回の規制も、それは遅きに失した感もあったろうか。

ただ、ここでマグロの漁業規制が、2015年からの制限で合意したと言っても、
これで資源の減少に歯止めがかかるかと云うと、まだまだ気の遠くなる先の話だ。


まず考えなければいけないのは、マグロの資源は、
マグロ漁そのものだけではなく、そのエサとなる
イワシ、サバ、イカ、カツオの資源と大きくリンクする。

まして太平洋のマグロは、赤道付近にある島嶼国の漁業と大きく関わりを持つ。
そこで、此処で日本の大型巻き網船の規模と数を考えて見よう。

水産庁は「漁業構造改革」「大中巻き網船の合理化」と称して、
各地の漁民が乱獲を促進するとして反対しているにもかかわらず、
現在135トンを上限としている大中型巻き網船を
200トンとか300トンに大型化する事業に補助金を交付し、
促進した経緯がある。

しかし、その後は隻数を35隻にとどめ抑制しているのが現状のようだ。

しかし世界の現状はまるで違う。
その太平洋上の島嶼国、パプアニューギニアや
バヌアツやマーシャルなどと漁業交渉し、
そこを船籍とした台湾・華僑資本の大型巻網漁船は
大幅に席数を増やしている。

そして、アメリカが持っていた南太平洋で操業の隻数枠も買い取り、
現在、この数十年で数倍増する勢いだ。

更に、2000年まで巻網船を持っていなかった中国が、
その後、台湾などの古い船を輸入して中国籍として巻網操業を開始し、
その中国船団や韓国の巻き網船を加えると
100隻近い船がこの海域を操業していることになる。

これは、今まで貧しかった島嶼国の産業振興にはなるのだが、
その国のEEZ(排他的経済水域)だけではなく、
その海域の公海での操業が大規模に行われると云う事だ。

そして、これらの大型船は日本の200トンや300トンの巻き網船に比べて
1200トンから2000トンと云う驚くべき大型である。

これは、一隻当たり年間で7000トン型10000トンの漁獲であるから、
それは想像すると気が遠くなる数字の漁獲量だ。

更に更に、この中西部太平洋 まぐろ類委員会(WCPFC)では、
韓国は規制対象にはなっておらず、他にも主要参加国委員の欠席があったり、
虫食い状態で足並みはそろっていない。

その上、アメリカや欧州がメバチマグロの規制に同意していないので、
その規制効果は大いに疑問があるだろうか。

もっとも、足並みの揃わない背景に、
中国内陸や欧州のカツオ、ツナの缶詰の需要が大幅に伸びている事がある
(欧米や中国は生魚より缶詰の需要が大きい)。

それに、マグロ、カツオ以外の小魚までの乱獲は、
ペットブームによる猫缶などの需要が大幅に増えたこと、
更に大西洋や地中海のマグロ養殖に使う、大量のミンチ需要なのだ。


要するに、これらの乱獲には世界的な食品流通の進化があり、
其処には日本の商社、欧米の商社、中国華僑など
世界各国の資本におけるワールドワイドな商業主義を垣間見る事が出来る。

しかし、こう云った事を考えると、このマグロ問題は、
遙か彼方の遠い世界のようにも思え、
我々釣り人の「年に1~2本の近海マグロを釣りた~い」、
そんな小市民的願望は、如何にササヤカなものだろうか。

しかし、遊漁の釣りも、この大事な地球環境には、
多かれ少なかれ負荷をかけている。

その辺りはレジャーとは云え、大いに配慮が要ることで、
その辺りはアングラーの間でも啓蒙していかなければならないだろう。

マグロ釣りのステータスは高い。

だからと言って、釣りの頂点が其処にある訳では無い。

どんな釣りでも、其々に楽しさがあって、それは自然の中の遊びだ。

高々の釣りではあるが、されど多くの思慮、配慮が欠かせないのも釣りだ。


papua






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最終更新日  2014.11.01 17:05:45
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