|
カテゴリ:弁理士試験
昨年、某受験機関に提出した文書を元に、余所には書けない本音を加えて、今日から3回にわたって私の口述試験の様子を再現しよう。
<順番がかなり後の方だったので、待ちくたびれたというか、ちょっとダレてきたが、名前を呼ばれエレベーターに乗ると、また気合が入る。エレベーターを降りると、前の人がまだ試験中だったので、廊下に置かれた椅子で1分ほど待つ。深呼吸をして気持ちを落ち着けた頃に、係官に促されて特実の試験部屋に入る。以下、斜体が試験官の問い、太字が私の答えである。> 受験番号1万○千○百番、ぱてんと@お兄です。よろしくお願いします。 はい、おかけ下さい。これが終われば後は合格発表を待つだけですからね。落ち着いて答えてください。 (おい、おい、まだ試験が始まってないのにもう合格発表の話かよ。落とす気ないのかな。ラッキーかも・・・) ぱてんと@お兄さんは、特許事務所にお勤めなのですね。弁理士になると給料が上がるでしょう。 (だったら嬉しいんだけれど、現実は)いいえ、弁理士手当てが少々つくだけで、あまり変わりません。 そうですか。そんなことはないでしょう。資格を取ったら仕事の内容も変わるのではないですか。 (何だかもう受かったことを前提にしたような話ばっかりだなぁ。)はい、現在は明細書の作成補助業務、いわゆる中間処理の素案作成業務をしており、最終的には上司の弁理士の方がチェックした上で庁に提出しておりますが、資格を取ればチェックを受けることなく、自分で手続きができるようになります。(実際には既にチェックを受けていないのだが。) そうですか。それでは合格後はますます活躍の場が増えますね。 (なんか、このまま終わりそうな会話だなぁ) では、試験に入ります。特許法・実用新案法では、実用新案権の行使についてお尋ねします。実用新案権の行使において、特許権の行使と異なる点を挙げてください。 (げぇ~、実案かよ~。実案が出るとは予想していなかった・・・。待て待て、あせるな。過去問に実案があったはずだ。それを思い出せば大丈夫)まず、実用新案技術評価書を提示して警告を行うことが必要となります。(記憶を呼び戻すために、ここで一旦切って、間合いを取ろう) はい。(もっと言って欲しそう。) (う~、やっぱりこれだけじゃダメか)次に、権利行使後に実用新案登録が無効となった場合には、原則として相手方に与えた損害を賠償する責任、いわゆる無過失賠償責任を負います。(まだ言って欲しそうだな。では)さらに、侵害訴訟が提起されている場合には、実用新案登録の無効審判が請求されると訴訟手続きが中止されます。 はい。(さらに答えを待っている。) (過去問の答えを思い出してきたぞ。大丈夫。いける)特許法には103条に過失の推定規定がありますが、実用新案法は、いわゆる無審査登録主義を採用したため、このような過失の推定規定がありません。 ちょっと不正確な答えがあったので訂正しておきますね。実用新案登録無効審判が請求され、そのことを理由に訴訟手続きの中止の申し立てがあったときは、訴訟手続きが中止されるのですね。 (あ、そう言うつもりだったのに、焦って端折ってしまった。まあ、これ位は致命傷ではないだろう。試験官の表情も穏やかだし) それでは、なぜ実用新案技術評価書を提示することを義務付けたのですか。 (これも過去問にあったな。やっぱり口述の7割は過去問の焼き直しかな)先程申し上げた無審査登録主義を採用したため、瑕疵のある実用新案権に基づいた権利行使がされないように、実用新案権者が権利行使を行う際に慎重を期させるためです。 実用新案技術評価書とはどのよう性格のものですか。 専門技術官庁たる特許庁としての、権利の有効性に関する客観的な見解であり、鑑定的な性格を有するものです。(何分くらい過ぎたかな。そろそろ終わって欲しいなぁ) 先程、実用新案登録が無効となった場合には、権利行使をした者に損害賠償の責任があると言いましたが、その要件をもう一度言ってください。 (あれ、また間違えたこと言ったかなぁ。でも、もうさっきの答え以上のことは思い出せないよぉ)権利行使後に実用新案登録が無効となった場合には、原則として相手方に与えた損害を賠償する責任を負います。 条文を見て結構ですから、もう少し正確に答えてください。 (ついに法文集を見ることになってしまったか)権利行使をした後に実用新案登録が無効となったときは、権利行使をした者は、そのことにより相手方に与えた損害を賠償する責めに任ぜられます。ただし、肯定的な実用新案技術評価書に基づき、その他相当の注意をもって権利行使をしたときは免責されます。(あ、1回目のチャイムが鳴ってしまった) そうですね。 (なんだ、但書のところを聞きたかったのか。頭では分かってたけど言葉にならなかったんだよ~) では、相当の注意とはどういうものですか。 (この辺も過去問にあったような気がするな)実用新案技術評価書の調査範囲は限られていますので、それ以外の部分について自己調査をしたり、弁理士に鑑定を依頼したりすることです。 なぜ、そのような規定をしたのでしょうか。 実用新案技術評価書の調査範囲外にも無効理由が存在する場合があるからです。 うーん、そうではなくて、実用新案権者にどのようなことを求めたのでしょうか。 (うわっ、やばい。試験官の要求する答えと違うみたい。え~、でも実案は出ないと思っていたから、あんまりチェックしてないよ~。もう他に答えは思いつかない。同じ答えの繰り返しになるけど仕方ない)無効理由のある実用新案権に基づいて権利行使することのないよう、慎重を期させるためです。 いや、どの程度の注意を払わせようとしたのですか。 (え゛~、先生、これじゃダメですか。2回目のチャイムが鳴りそうで焦るよぉ~)相当の・・・。 そういう抽象的なのではなくて、高いとか低いとか・・・ (キターーー!噂の助け舟!!ってか、答えそのものぢゃん)高度の注意義務を課したものです。 そうですね。これで特許法・実用新案法を終わります。 (ほっ。2回目のチャイムが鳴る前に終わった。一応、最後の問いまで辿り着いたということは、最悪でもBはあるだろう。でも、論文試験の話が出なかったなぁ。成績がいいと「論文の成績が良かったですよ」と言われるという噂なのに。) <ということで、何とか特実を終了し、意匠に進む。> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.26 00:58:55
[弁理士試験] カテゴリの最新記事
|