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カテゴリ:弁理士試験
意匠の試験時間が短かったので、商標の部屋の前の椅子で1~2分待つこととなった。ここまでの手応えは上々。2科目ともBは付くからもう受かったようなものだと思う一方、いやいや、何があるか分からないから最後まで気を引き締めてと自分に言い聞かせた。
ふと気づくと、商標の部屋の中の話し声が聞こえてきた。試験委員の声で「3条2項の適用が受けられないと3条1項3号で拒絶になるんですよ」と言っているのがかすかに聞こえた。 その瞬間、3条1項3号と3条2項関連の口述過去問が頭の中をフラッシュバックした。中では総括質問が行われているらしく、まだ前の受験生が出てこない。手短に基本レジメの答案構成を思い浮べ、解答の方針を立てた。何が聞かれるかが分かっていると精神的にはかなり楽だ。 ようやく前の受験生が出てきた。少々手こずったので疲れた表情をしているが、しかしこれで全部終わったという安堵感も見える。10分後には自分もそんな顔をしているのかな、と思いつつ商標法の試験に向かう。 以下、前日までの再現と同じく斜体が試験官の問い、太字が私の答えである。 受験番号1万○千○百番、ぱてんと@お兄です。よろしくお願いします。 どうぞ 着席する。 これが最後の科目です。あとちょっとなので頑張って下さい。試験の前に、他の科目でも聞かれたかもしれませんが、論文試験の感想を聞かせてください。 (試験問題も予想できていたし、前の2科目が大丈夫そうだったので、ちょっと笑いを取りたくなった。というか、頭のネジが1本飛んでいたのかもしれない)はい、正直に申し上げまして、答案に画数の多い「舞茸餃子」という文字を何回も書かなくてはならず、間違えないように書くのが大変だったので、今思い出しても「舞茸餃子」という単語ばかりが思い出されて、自分が何を書いたのかあまりよく覚えていなくて・・・(※危険ですのでブログをご覧のよい子はマネをしないで下さい。) 試験官爆笑 (ウケたのがかなり嬉しい)一応必要な事項は検討したし、特許庁の公表論点は全て書けたとは思いますが・・・ ぱてんと@お兄さんは商標出願をしたことがありますか いいえ、特許専門で商標はやったことがありません。 そうなんですか。特許事務所勤務なので商標が専門なのかと思いました。論文試験はどの科目もよくできていましたが、特に商標の成績が良かったですよ。 (かなり意外。しかし、前年も商標だけが○だった。相対評価なので、商標を苦手にしている受験生が多く、結果的に自分の成績がいいのかなと思う)ありがとうございます。 では試験を始めます。論文の成績がいい人なので簡単だと思いますよ。商標法は立体商標についてお聞きします。 (ありゃ立体か。さっきの3条1項3号ってのは何だったんだ。でもいいや。立体も昨日まで出題されていなかったからヤマを張っていたテーマだ) 商品の立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は登録されますか。 (あ、やっぱり3条1項3号だ)いいえ、3条1項3号の規定に違反するものとして拒絶されます。 では、商品の立体的形状とその表面に付された識別力のある文字からなる結合商標は登録されますか。 (対象が立体に代わっているけど過去問通りだな)そのような場合には、結合商標全体として識別力がありますので、登録されます。 識別力のない立体商標が誤って登録された場合に、権利行使をすることはできますか。 いいえ、できません。 それはどこに規定されていますか。 26条で、商標権の及ばない範囲として規定されています。 商品の形状であって、その商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標は登録されますか。 (お、立体の過去問通り。さっき控え室でチェックしていたから楽勝だい)いいえ、4条1項18号により拒絶されます。 4条1項18号では、なぜそのように規定したのですか。 商標権は、更新登録により半永久的に存続するものであるので、このような商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみなからなる商標が登録されると、その商品について他人は半永久的に製造・販売できなくなるからです。(ここまでで十分だろうけど、余裕があるので、つい勉強してきたことをアピールしたくなる)また、商標法の保護対象は、商標に化体した業務上の信用であるのに、このような立体商標の登録を認めると、実質的に物自体を保護することとなるからです。(※口述では「答えは簡潔に」が原則です。よい子はマネしないように) (副査の先生は何か言いたげだったが、主査の先生は大変満足そうにうなずく)商品の包装の立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる立体商標は、どのような場合にも登録されませんか。 (きたきた、3条2項)使用により自他商品識別力を得た場合には、3条2項の適用を受けることにより登録され得ます。 3条2項の適用を受ける場合、指定商品と実際に商標を利用している商品とはどのような関係になければなりませんか。 (さっき廊下で答案構成した通りに出題してくれるなぁ)指定商品は、実際に商標を使用している商品と同一のものに限られます。 指定商品に類似商品が含まれていた場合にはどのようにすればよいですか。 補正により、類似の商品を削除します。 では、商品の包装の立体的形状の表面に文字が付された状態で使用されていることにより、識別力が生じた商標があります。この立体商標から文字を除いた立体的形状のみで3条2項の適用を受けて出願がされました。この出願は登録されますか。 (ヤクルト!と思ったが、ここは口述試験の解答の鉄則に従ってYes、Noで答えるべきと思い)いいえ、されません。 その理由を述べてください。 (聞いてくださるなら、勉強しているところをアピールしますよ)これは判例にもあったと思いますが(ヤクルトの瓶の形状に係る立体商標の審決取消訴訟。平成12年行ケ第474号のこと)、文字商標を付されていない状態で識別力を獲得していたとは言えないため、3条2項の適用を受けることができず、3条1項3号で拒絶されるからです。(どうだ~という感じ) はい、よくできました。これで試験は全て終了です。お疲れ様でした。参考までに聞かせて欲しいのですが、ぱてんと@お兄さんは、どのような勉強方法をされていましたか 他の受験生と同じで、いわゆる基本書と逐条解説を読み、予備校が出している参考書の類を勉強しました。あとは、東京高裁の裁判官だった牧野先生が監修された新裁判実務大系の知財法が非常に参考になったので、最近はこれを繰り返して読んでいました。 いや、今日既に何人も試験をしたけど、ぱてんと@お兄さんの答えが一番よかったので、どのような勉強をしているのかと思って。 (ヤマがずばり的中した上、何を質問されるのか廊下で聞いて準備していたので、そりゃ出来がいいはずですよ、先生。) ここでチャイムが鳴る。 商標もおもしろいですから、合格後は商標の仕事もしてみてくださいね。 はい、ありがとうございました。 外は台風が上陸したため大荒れであったが、私の心は晴れ晴れとしていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.28 00:45:43
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