カテゴリ:山とスキーの道具
2023年シーズン用に、いくつか新しいテレマーク道具とBCクロカン道具を購入しました。
1つは、22デザインズのNTNビンディング、LYNXです。 2020年の3月にオグナで試乗させてもらった時は、板バネの反発が好みではなく、買うつもりはなかったのですが、今年の春にモリちゃんからLYNXの分解の仕方を教えてもらっているうちに構造に興味を持ち、買わないわけにはいかなくなってしまいました。 多くのテレマークビンディングで踵を上げる際に足上げ抵抗を発生させているのはコイルスプリングですが、LYNXの場合はグラスファイバー製の2枚の板バネと滑走モード時にブーツを固定するコイルスプリングで、コイルスプリングの方はブーツを固定するのが主な役割なので、足上げ抵抗の大半は2枚の板バネによって作られているようです。そこが画期的なように思えました。 過去に同じように板バネの反発を使ったテレマークビンディングはあったのかもしれませんが、現行のビンディングでは、OUTLAWのように補助的に使っているものしか思い当たりません。 LYNXの板バネは、アルミ製のベースプレートの溝に嵌めるだけの簡単な構造で、材質はラジコンのシャーシのようなグラスファイバー製なので、自分で加工することもできます。 40年前のラジコンでもカーボン製のシャーシがありましたが、LYNXの板バネも2018年のベータ版は黒いものだったような気がします。 純正のフレックスプレートの長さやメインプレートの幅を自分で加工してバネ抵抗を変化させられるので、LYNXは素人にもいじり易いビンディングのように思いました。 (加工によってメインプレートの破損を招く恐れもあるようですが。) また、片足500グラム(Lサイズ)という軽さも魅力です。重量的にはゲタを履いた3ピンビンディングと大差ありません。 ツアー時に予備として持つパーツとしても、LYNXの板バネはワイヤースプリングと比べて軽量で嵩張りません。 しかも、テックピンを使ったNTNですから登高もしやすく、軽量な板との組み合わせで、テレマークも山スキーに匹敵する軽さと歩行・滑走性能を手にできそうな、夢のあるビンディングです。 私が購入したのは、メインプレート(フレックスプレート)などのセカンドヒールパーツが2022年モデルのパーツに改装された2021年モデルで、値段は2022年モデルより1万円ほど安かったです。 秀岳荘の店員さんによると、2021年モデルと22年モデルの違いは、フロントピースのスプリング強化やセカンドヒールを構成するグレーのパーツ、フレックスプレート、メインプレートなどで、ヒールピースを除くほとんど全てのパーツが改良されているそうです。見た目では、テックピンのスプリングの色の変化程度しか違いがわかりませんが。 なお、メインプレートの硬さも変化しているようで、2021年モデルより2022年モデルの方が柔らかいそうです。 その違いを比較したかったので、2021年モデルのメインプレートとフレックスプレートも一緒に入手しました。(秀岳荘で購入時におまけで付けてくれました。) 年式が異なる二枚のプレートに見た目の違いはなさそうですが、マイクロメーターで測ってみると、21年モデルのプレートの厚さは、フレックスプレートが2.38ミリ、メインプレートが2.45ミリでした。 それに対して22年モデルの方は、フレックスプレートが2.30ミリ、メインプレートが2.27ミリと、メインプレートの方は2021年モデルと比べて10分の1ミリ以上薄くなっています。 左右の差は100分の2から3ミリ程度なので、モデルごとの違いは誤差の範囲というわけではないようです。 実際に手で曲げてみてもフレックスプレートの方は違いがわかりませんが、メインプレートは22年モデルの方が柔らかいのがわかります。 それ以前のモデルはどうなのでしょうか? モリちゃんが2019年モデルのLYNXを持っているので比較させてもらいました。 2022年モデルのプレートをつけたLYNXを板に取り付けた後、ビンディングにブーツを装着し、モリちゃんが持っている2019年モデルのメインプレートをつけたLYNXを並べて比較させてもらったところ、2019年モデルのメインプレートの方が少し柔らかいようでした。(モリちゃんのLYNXは2シーズン使い込んでいるのでスプリングのヘタリも影響していたかもしれません。) モリちゃんは2020年モデルのメインプレートも持っていたので違いを訊くと、20年モデルは19モデルよりかなり固いということでした。 確認のため、プレートの厚さをマイクロメーターで測らせてもらうと、2019モデルのメインプレートが2.28から2.32ミリ、フレックスプレートが2.28ミリと、2022年モデルと大差がないようでした。 一方、2020年モデルのメインプレートは2.44ミリから2.47と、こちらは2021年モデルに近い値でした。 材質の変化は分かりませんが、単純にメインプレートの厚さだけを比較すると、2020年モデルと2021年モデルはほぼ同じで、2022年モデルは2019年モデルの厚さに戻ったということのようです。 (2019年モデルのメインプレートは、メインプレートにはめるグレーのパーツとの接触面の加工形状が悪く、破損を招いたという噂を聞きました。) ![]() プレートが固いモデルを持っている場合、最も簡単に足上げを柔らかくする方法はフレックスプレートを短くカットすることらしいです。 構造的にフレックスプレートの端がメインプレートの第二の屈曲点になるので、スリックピンの位置とは別に、フレックスプレートを短くするとメインプレートの屈曲部が前寄りになり、足上げが柔らかくなるようです。 私のLYNXはサイズLですが、SとLでフレックスプレートの長さが5ミリほど違うので、サイズSのフレックスプレートをサイズLで使うことでも若干足上げを柔らかくできそうです。(もちろん、これだけでもメーカー保証の対象外になると思いますが) 本来なら、他のビンディングと同じようにメーカーがスティッフ、ミドル、ソフトど3種類くらいは硬さの違う板バネを販売してくれると良いのですが、今の所はないようで、ユーザーは古いモデルのプレートを仕入れたり、カットしたり、それぞれ工夫して自分に合った硬さで使っているようです。 (2023年モデルではソフトの板バネの販売が予定されているようです。) なお、冒頭でふれたように足上げ抵抗に影響するは板バネだけでなく、コイルスプリングも関係しています。 コイルスプリングの主な役割は滑降モード時のブーツの固定ですが、2021年モデル以前のLYNXでは、誤解放防止対策のために、コイルスプリングにプレロードをかけるパワースペーサー(プラスチック製5ミリ厚)の装着が推奨されていたようです。ただ、プレロードをかけると足上げ抵抗も増す(バネレートが増すわけではありせんが、作動点が上がるため硬く感じる)ため、柔らかい足上げが好みの人には不評だったようです。 秀岳荘の店員さんによると、誤解放対策が施された2022モデル以降のセカンドヒールパーツが組み込まれたLYNXの場合、付属のパワースペーサーは、新品時はつけない方が良いそうです。 新品時から付けるとスプリングのヘタリを早めるからで、パワースペーサーを入れるのは、スプリングがヘタってきてからが良いそうです。 なお、もっと細かくプレロード調整できるように、1.5ミリ厚の樹脂製ワッシャーがメルカリなどで売られていましたが、そのへんのホームセンターで売っている内径8ミリ、外径12ミリのワッシャーでも代用できそうです。 ![]() LYNXを取り付けたのは、RMUのウィスコという板です。ファイブポイントロッカーで、しかもトップとテールの形状が全く同じ形をした珍しい板です。 モリちゃんによると、重いパウダーでも抜けの良い板とのことで、形状を見ると、その理由を想像してしまいます。(ロッカーは低いです) トップの反りも形状もテール側と全く同じなので、どっち向きにビンディングを付けても良さそうですが、私が買ったロッドはブーツセンターマークが入っているので、一応前後が指定されているようです。 モリちゃんが持っているのは初期の限定生産モデルで、こちらはブーツセンターマークもなく、ソールのRMUマークも対称に入っているので、勝手に前後を決めても差し支えなさそうでした。 この板を使いたい雪の状況を想像すると、足上げ抵抗の重いLYNXだとトップの浮きに影響しそうで、モリちゃんの意見では、この板にLYNXは合わないのでは、とのことでした。 モリちゃんは、最初はハンマーヘッド、その後はアクセルで使っているそうです。 そんなわけで、ハンマーヘッドを使ってみてはどうかと譲って頂いたのですが、LYNXは戻りが早く追従性が良いらしいので、悪雪でのコントロール性は良さそうです。昨シーズンパウダーで乗って感触が良かったボレーTTSやNTNフリーダムと同様、パウダーでも有利な点があると思い、まずは滑ってみてからビンディングの変更を検討することにします。 なお、ビンディングの取り付け位置に関しては、前オーナーがアクセルで使っていたので、とりあえず元穴にセットしました。ぱっと見、後ろ過ぎるような気がします。、 モリちゃんのウィスコより2センチほどセットバックになりました。 合わなければワンピッチ前に出すかハンマーヘッドかアクセルに付け替えて、当初の目的通り、重めのパウダーやモナカ雪で楽しめればと思います。 そしてLYNXは、現在OUTLAWが乗っているG3のディスクリクト・カーボン・ハイブリッドに付け替えるか、モリちゃんが現在LYNXを付けているのと同様、もう少し長くて太い板(k2ピナクル191センチ、センター118)で、パウダーに使いたいと思います。 あるいは、今シーズン発売されると噂されているソフトなフレックスプレート&メインプレートを使えば、いろいろな板に付けて楽しめそうな気がします。 軽さとテックピンでの歩行性能は大きな利点ですから、このプレート次第で、3ピンの代わりのような使い方もできそうです。 となれば、ターミーネーターXの利点も生きて、春の長距離ツーリングなどに活用する機会も増えそうです。 実際、長距離ツーリングに行くかどうかは別として、想像するだけで楽しくなります。 とにかく、試乗が楽しみです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.11.18 09:51:50
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