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  或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

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2013.01.22
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カテゴリ:カテゴリ未分類




ベッドに横たわり、仄暗く、無機質な天井を見ていた。

スポットライトの光源をしばらく見つめていると、
視線を外した時に、白い壁に子供の描いたりんごのような赤い丸が浮かぶ。

目で追うと、りんごは逃げてゆく。
視線の対象物を他へやると、りんごも付いてくる。

緊張感で少し胸が痛い。







・・・文明も医療も進歩した。

なのに、どうしてこんな拷問じみた事をせねばならぬのか。

私は口からチューブを差し込まれ、泣きながら嘔吐する。 
・・・我慢できない。 反射だもの。

『あぁ、もう』医師は、私がえづく度に、
『鼻から入れれば良かったのに』と、看護師さんを責めるような口調で言う。

ちげーよ!以前、鼻の骨がカメラを入れる仕様になってないと言われたから、
予め口からをお願いしたんだ。 
鼻の奥を突かれて、無駄な麻酔を施されるのは御免だからな。
何度も伝えたよチクショーめ。
でなきゃ、誰が好き好んで、こんな目に遭いたいか!

心の中は、診てくれる医師に対する罵詈雑言で一杯。
しかし髪を振り乱して嘔吐を堪えるのに精一杯。


逆流性食道炎。


私に下された診断だった。

なるほど、ファイバースコープの胃カメラが映した私の食道は、シロート目にも真っ赤。
しかし、潰瘍が無いと知った医師は、面白くなかったらしい(そう、見えた)。

吐き気で眠れなかったり、胃痛で目覚めるほど辛かったのに、
病名が下されたら、そんなもんか、と言う感じだった。

人間の内臓という奴は、思っているより頑健なもんだ。
有難く思わなければならない。

・・・
いやいやいや、

昨日の晩まで、
『あたしが入院なんかしたら、りっちゃんを見てくれる人がいない!』
と、恐れおののいた気持ちを忘れるな!





取り敢えず、週末のプチ同窓会には大手を振って参加出来る!

万歳。

・・・出来れば、お酒も飲みたいなーっと。(医師には内緒)




『若い人はねえ、お薬貰っちゃうと(胃カメラ)逃げちゃうからね』と、年配の看護師さん。
『だから、逃げないうちに捕まえて、カメラ予約入れるの。』

なるほど・・・なるほど。 でも、あんな拷問、普通は逃げますわな。

『ポリープ持ちなら、一年に一度くらい(胃カメラ)飲まなきゃ。これをきっかけにヨロシクね』

前もそんなこと言われたなぁ・・・。
胃カメラは苦手だ、と正直に伝えると、

『得意な人なんか居ません!』

・・・大外狩り一本。 返す言葉も無い。



そして、財布は確実に軽くなった・・・(涙)






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最終更新日  2013.01.22 18:46:23
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