関東から会社の同僚や友人が来阪し、大阪の街を案内することが時々ある。晩飯をひとしきり、一緒に食べた後、「じゃぁ、どこか大阪らしいBARに連れてってよ」と頼まれることも多い。
「う~ん、大阪らしいBARねぇ…」と僕は迷う。彼が期待している「大阪らしいBAR」のイメージとは何だろうか、と。店内の雰囲気が派手で、ごちゃごちゃしているBARか? それとも新世界のような下町の雰囲気を残した庶民的なBARか? はたまた、バーテンダーが大阪的なノリのBARか?
「大阪らしいBARって、どんなイメージ?」とあえて尋ねても、「だからぁ…、『大阪らしい』ってのはー、にぎやかで、ホンワカした感じのBARだよー」くらいしか、答えは返ってこない。「じゃぁ、任せてくれる?」と言ったものの、僕はそのたびに悩む。オモロイBARは、大阪でもいろんな地域にある。一カ所に絞るのは至難だ。
だから、相手がBAR好きで、時間にも余裕があれば、キタやミナミ、それ以外の地域と、2~3軒くらい案内するが、1軒しか行く時間がないとなれば、僕はたいてい、ミナミの道頓堀の「EVE」(イブ)というBARに連れて行く。
「EVE」は道頓堀・松竹座の向かい、路地の奥に入ったビルの、細い急な階段を上がった2、3階にある。オープンしたのは定かではないが、1960年代後半か70年代の初めだと思う(写真左=1階のドアを開けるといきなり階段です)。
いわゆる、正統派のオーセンティックBARではない。室内の壁という壁には、訪れた国内外の客が名詞を貼りまくり、独特のはちゃめちゃな世界(空気)を創り出す。外国の紙幣や記念写真なんかも、あちこちに壁に貼り付いている。こんなカオス(混沌)が、いかにもミナミ的(大阪的?)で、僕は好きだ。
客層は場所柄、若いサラリーマンやOL、フリーター(?)なんかが多い。バーテンダーは気さくで、客同士も隣に座って気が付けば、みんな友だち。もう一つ、「EVE」が昔から有名なのは、ここが、関西のミュージシャンやアーティストの、たまり場的なBARだったから(かつては、上田正樹や憂歌団、黒田征太郎らが常連だった…)。
「おもちゃ箱」みたいなイブ・ワールドに感動するか、それとも単にごちゃごちゃした、汚いBARと映るかは、訪れる貴方の感性次第。でも、僕にとっては、20年以上経った今も、とても居心地のいい空間…。
法善寺横丁にも近く、有名なグリコの巨大ネオン看板は目と鼻の先。近くには、たこ焼き屋さん、お好み焼屋さんもいっぱいある。大阪観光の名所を案内した後に立ち寄るには、最高のロケーション(ついでに言えば、お値段も非常に良心的!)。
決して僕は、「EVE」の回し者ではないが、もし、大阪へ来られる機会があれば、ぜひミナミまで足を伸ばし、勇気を出して扉を開けてほしい。大阪「てんこ盛り」ワールドに浸れば、きっと得した気分になるだろう。 |
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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Free Space
▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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