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Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/01/23
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カテゴリ:BAR
 ウイスキーに氷はつきもの。オン・ザ・ロックや水割りも、氷一つで味がかなり変わる。
だから、いいBAR(バーテンダー)は氷にこだわる。

 最近は、コンビニでもボール状の氷や、板状の氷も比較的簡単に手に入るようになったが、
やはり、プロがこつこつと削ってくれた氷で飲むウイスキーの方が、断然旨い。

 氷と言えば、やはりいまは無き神戸のBAR「ルル」のマスター長原さんの
「氷切り」のパフォーマンスを思い出す。客の目の前で、縦横が30cm×50cmくらい、
厚みが20cmくらいの大きな氷を、包丁で切れ目を入れ、均等にどんどん割っていく。

 最終的にはタンブラーやロックグラス1個にちょうどおさまるくらいの氷に仕上げる。
その手つきの鮮やかさと言ったら、絶品の技だった。
あの氷切りのショーが見たくて、「ルル」に通う常連客も多かった。

 氷一つとっても、そのBARの個性が出るから面白い。オン・ザ・ロックの氷も、
あるBARは、アイスピックで削ってボール状にした氷を使う。
別のBARでは、四角い大きなサイコロ状の氷を使う。あるいは、
不均等な大きさのブロック状の氷を、何個か入れるBARもある。

 形はともあれ、ウイスキーを注いだ瞬間に起こる、
あのシャキーンという氷に亀裂が入る音は、なんとも言えないくらいいい音だ。
アイスピックで丸くボール状に仕上げるのは、修業中の若いバーテンダーにとっては必須科目。
何個も何個も作り上げていくのは、手が冷たくなって大変だろうが、
僕はいつも、心の中で「頑張れー!」と応援している。

 水割りやジン・リッキーなどのときの氷は、やはりタンブラーの内径ぎりぎりの、
直方体のものがいい。「氷が大きい分、酒が減るんじゃないか」と昔は思っていたが、
あるバーテンダーが「量は同じですよ、ほらっ」とメジャーできちんと
計って見せてくれて、大きな誤解であることがわかった。

 氷も、ある地域の水で凍らせた氷でと、とことんこだわるBARもある。
「阿蘇の伏流水で作った氷なんです」と言われると、確かに、
同じ水割りでも、なんとなく美味しいような気分になる。

 ただ、申し訳ないけれど、僕自身のなかでの最高のオン・ザ・ロックの氷は、
プロがつくった氷ではなかった。徳島のBARでのこと。マスターが、
冷凍庫の保冷箱から大事そうに取り出した四角い氷を、グラスに入れ、ウイスキーを注いだ。

 そして、「**さん、氷に耳を近づけてごらん、面白いから」と言う。
僕は、ウイスキーに浮かぶ氷にそっと耳を寄せた。するとどうだろう! 聞こえる!
シンセザイザーの電子音楽のような美しい調べが…! 何なんだこの氷は?

 その氷は、南極大陸の地下深くから切り出されたもの。そのBARの常連さんに、
観測船「しらせ」の関係者がいた。その方が徳島・小松島港に寄港した際、店に寄って、
マスターに「これ、お土産」と持ってきてくれたのだという。
(南極の氷を、日本国内に持ち込んでいいのかな?)。

 氷から聞こえた音は、長い間、氷の中に閉じこめられていた大気が、
眠りから覚め、はじける神秘的な音…。その日、僕も含めた幸運な客は、
その何千年(何万年?)かの眠りについていた貴重な氷で、ウイスキーをしみじみ味わった。

 プロの氷屋さんも、最高のバーテンダーも、南極の氷にはちょっと降参だろう。
そんな至福の瞬間もただし、氷が溶けるまでの約1時間くらいで終わってしまった。
あーっ、残念!(と波田陽区風に…)。





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Last updated  2005/01/23 04:14:17 PM
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うらんかんろ

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kopn0822@ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン)@ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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