カテゴリ:酒
「誰も飲んだことのないモルト」だと、その本(「改訂版・モルトウイスキー大全」=土屋守著、2002年春刊=写真左下)にはあった。そう言われると飲みたくなるのが酒飲みの常だ。
大手のウイリアム・グラント&サンズ社によって建てられた第5のウイスキー蒸留所という。その名は「キニンヴィ(Kininvie)」という。だが、紹介されているページには、いつ頃発売になりそうとかとかは記されておらず、「瓶詰めを待つしかないのかもしれない」と結ばれていた。 それから約4年、「キニンヴィ」のことも忘れかけていたある日、大阪キタのあるBARで、バーテンダーから「こんなん入りましたけど、どうですか?」と勧められたボトル(写真右下)。その名は「Monkey Shoulder」とあった。 「Monkey…って?」といぶかる僕に、「知りません? キニンヴィっていう、いまだオフィシャルが出荷されていなかった蒸留所のこと…」とそのバーテンダー氏。 そこで、初めてあの土屋さんの本に出ていた幻のボトルのことを思い出した。でも、ラベルには「Kininvie Distellery」の文字はない。何年物のボトリングだという表記もない。 ただ、ラベルの説明をよく読めば、スペイサイドの3つ蒸留所の27種のカスクからヴァッティドされたとあり、「From Kininvie」という文字も見えた。そして、「Willam Grant’s」の名前も。 客観的にみて、これがキニンヴィのモルトを使って生み出された初のオフィシャル・ボトルであることには間違いないだろう。だが、残念ながら、シングルモルトではなかった。 しかも3つの蒸留所というから、他の2つはおそらくはグラント社が持つグレンフィディックとバルヴェニーだろう。バーテンダー氏の見方では、「おそらくは、まだ若いモルト同士のバッティングではないか…」とも。 確かに、バニラや花のような香りが心地よく、パワフルさもあるが、まろやかさや奥行きは、まだ決して十分とは言えない。そういう意味では物足りない(ちなみに「Monkey Shoulder」とは木製スコップを使ったフロアモルティング作業で疲れて痛めたウイスキー職人たちの肩のこととか)。 1990年に創業の蒸留所。だから14~15年熟成のモルトがあってもおかしくはない。初の製品にシングル・モルトを選ばなかったのは、今の段階ではまだ自信を持って出せるカスクが見出せなかった証(あかし)かもしれない。 とは言え、ウィリアム・グラント社は、スコッチ・ウイスキーの雄。このままで終わるはずはないだろう。いずれ満を持して、「キニンヴィ」ブランドの自信のシングル・モルトが市場に出る日が来ると、僕は信じる。その日はそう遠くないだろう。 人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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