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Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2024/02/28
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WEBマガジン「リカル(LIQUL)」連載
   【カクテル・ヒストリア第27回】
 「知られざる」カクテルを知る愉しみ

 ◆「日本ではあまり見かけない」カクテルに人気が…
この連載の第19回で、私は「日本と世界、人気カクテルはなぜ違う」というテーマで執筆した。記事は、日本のバーでの人気カクテル・ランキングには、この40~50年ほど、ほとんど変化がないのに対して、欧米の人気ランキングは2000年以降、その顔ぶれがかなり変わってきていること、その理由・背景は何かを解説したものだった。

その記事の中でも触れたが、海外では2000年以降、なぜか「クラシック・カクテル」に再び光が当てられ、再評価されるようになっている(上の画像は、欧米の専門サイト「Drink International」による、最近4年間<2019~2022年>の欧米のバーでの人気カクテルランキング)。欧米の大都市のカクテルバーでは、古いクラシック・カクテルを発掘し、21世紀のアレンジ(ツイスト)を少し加えて、蘇らせる試みが盛んだ。

この傾向は、欧米の人気カクテル・ランキングでも同様で、近年では、日本のバーでは注文されることが少ないネグローニ、オールド・ファッションド、サゼラックなどというクラシック・カクテルが上位に目立つという現象が続いている。とくに興味を惹かれるのは、日本のバーではほとんど提供されない、聞いたこともないようなカクテルがランクインしていることだ。

 ◆「斬新さ」「複雑さ」を競い合うことへのアンチテーゼ?
なぜ、欧米で「クラシック・カクテル」が再評価されるようになったのか。一つには近年、材料や手法が斬新な「モダン・カクテル」が増えて、味わいが複雑になりすぎたことへの「アンチテーゼ」とも言われている。欧米では現在、100年ほど前に出版された古いカクテルブックの復刻版刊行が盛んだ。古い文献の中から「現代に生かせるヒント」を探そうというバーテンダーが増えているのかもしれない。

 先日のこと。私は、ある日本人バーテンダーの方から、「海外のバーでよく注文されるカクテル、あるいは近年注目されているカクテルで、日本のバーの現場でも知っておいた方がいいものは何ですか?」という質問を受けた。そこで、長年カクテル史を研究してきた立場もあり、僭越ながら、「(日本での)知名度は低いけれども、プロとして知っておくべきカクテル」を、独自?の視点で選んでみた(写真右=今や「モダン・クラシック」の代表格となったエスプレッソ・マティーニ)。

選考するにあたって重視したのは、最近の欧米でのトレンドである。近年の人気カクテル・ランキング調査だけでなく、WEBのカクテル専門サイト、有名バーでの提供メニュー、近年のカクテルブックでの収録内容等々、可能な限りのデータを丁寧に集めてみた。なかには、「エスプレッソ・マティーニ」のように、1980年代以降に登場して人気が定着し、「モダン・クラシック」としての地位を確立したものも少なくない。

 ◆「とくに覚えておいてほしい」12のカクテル
選んだ約70個のカクテルは、日本のバーではほとんど注文されることがないものが多く、バーテンダーでも知らない人が多いかもしれない。すべてのレシピをここで紹介することは出来ないが、この中で、近年欧米のバー・シーンに頻繁に登場する「(私が)とくに覚えておいてほしいと思う12のカクテル」を、標準的なレシピとともに、以下に紹介しておきたい。()内は誕生年または年代。

1.ブランデー・クラスタ(Brandy Crusta)(1850年代)=ブランデー 30ml、コアントロー 10ml、マラスキーノ10ml、レモンジュース20ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、シロップ少々(シェイク)、オレンジ&レモン・ツイスト

2.ラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz)=写真左。 (1888年)=オールドトム・ジン 60ml、レモンジュース15ml、ライムジュース15ml、シロップ23ml、生クリーム23ml、卵白(シェイク)。タンブラーに注ぎ、ソーダで満たす。

3.アペロール・スプリッツ(Aperol Spritz) (1920年代)=アペロール60ml、スパークリング・ワイン60ml、オレンジ・スライス(ビルド)

4.コープス・リバイバー#2 (Corpse Reviver #2) (1920年代)=ドライ・ジン、コアントロー、リレ・ブラン、レモンジュース各15ml、シロップ5ml、アブサン2dash(シェイク)

5.ブールヴァルディア(Boulevaldier) (1927年)=バーボン・ウイスキー 40ml、カンパリ25ml、スイート・ベルモット25ml(シェイク)

6.ヴュ・カレ(Vieux Carre)=写真右。 (1937年)=ブランデー、ライ・ウイスキー、スイート・ベルモット各20ml、ベネディクティン1tsp、アンゴスチュラ・ビターズ3dash、レモン・ピール(ステアまたはシェイク)

7. ペイン・キラー(Pain Killer) (1970年代初め)=ダーク・ラム(パッサーズ・ネイビー・ラム) 30ml、パイナップルジュース60ml、オレンジジュース15ml、ココナツミルク(またはココナツ・リキュール)15ml、クラッシュド・アイス、ナツメグ・パウダー(シェイク)

8. アマレット・サワー(Amaretto Sour) (1974年)=アマレット45ml、レモンジュース23ml、シロップ1tsp、卵白(シェイク)、レモン・ツイスト、マラスキーノチェリー

9. エスプレッソ・マティーニ(Espresso Martini) (1983年)=ウオッカ40ml、エスプレッソ・コーヒー20ml、コーヒー・リキュール10ml、シロップ1tsp(シェイク)、コーヒー豆2~3粒を浮かべる

10. ブランブル(Bramble) (1980年代半ば)=ジン40ml、レモンジュース15ml、シロップ10ml、ブラックベリー・リキュール10ml(シェイク)、クラッシュド・アイスを入れたロック・グラスに注ぐ。レモン・スライス

11. ペニシリン(Penicillin) (2005年)=ウイスキー 50ml、レモンジュース15ml、ハチミツ10ml、ジンジャー・シロップ1tsp、アイラ・シングルモルト1tsp(シェイク)

12. メスカル・ミュール(Mescal Mule) (2008年)=メスカル45ml、ジンジャー・ビア30ml、ライムジュース23ml、パッションフルーツ・ピュレ23ml、アガヴェ・シロップ15ml(シェイク)。キュウリのスライス、砂糖漬けの生姜(写真左=欧米では近年、「モダン・クラシック」をテーマにしたカクテルブックが出版されることが多い。これもその一つRobert Simonson著『Modern Classic Cocktails』=2022年刊)。

 ◆日本では無名でも、知っておけば得をする
以上のカクテルは、日本でのいわゆる「スタンダード100選」や日本発のカクテルブックに、登場することはほとんどなく、従来の日本のバーなら、店側が知らなくてもそう困ることはなかった。
しかし、インバウンドの外国人客が日本にバーにもどんどん姿を見せる昨今、プロのバーテンダーなら、「知っておいて絶対に損はしない」、いや「むしろ得をする」カクテルだと思う。とくに、これから海外のコンペなどに挑戦したい、または海外のバーで働いてみたいというバーテンダーには、この12を含む70のカクテルは、ぜひ知っておいてほしいと強く願う。

※私が選んだ全70個のカクテルは、筆者の個人Blog「酒とピアノとエトセトラ」(Bar UK公式HPも兼ねる)内の案内ページで、標準的なレシピや考案者や誕生の経緯・由来などを可能な限り紹介しているので、ぜひご覧頂ければ幸いである。


・WEBマガジン「リカル(LIQUL)」上での連載をご覧になりたい方は、こちらへ

・連載「カクテル・ヒストリア」過去分は、こちらへ







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Last updated  2024/02/28 12:13:53 PM
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うらんかんろ

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汪(ワン)@ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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