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I love Salzburg

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2012.10.20
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いきなり旅のクライマックスから書くのもどうかと思ったが、興奮冷めやらぬうち、したためておこう。


この旅で、私は信じられない幸運に恵まれた。

本物のジェントルマンというものに間近で接したのだ。 しかも、VIP待遇で?!


Picture102012_051108.jpg

「さて、30日ですが、実は私、ミュンヘンに行く用事があるのです。
大好きな、マックス・ラーベさんのソロリサイタルで、コンサート前にCDを持って会場の裏口で待機する予定です(照)。」

これは、私のブロ友第1号であるsuhさんから戴いた9月21日付けのメールだ。


ドイツ在住の彼女に、私はクロアチアのスプリットからメールを送っていた。

同じヨーロッパ、ましてミュンヘン近郊滞在を考えていた その時の私は、彼女に会いたい、そう思ったのだった。
ちなみに、今年5月にもお会いしている。


「観光はpicchukoさん お一人でも大丈夫だと思いますが、ワイマールの栄光時代の歌を艶やかなバリトンで歌い上げる紳士なマックス・ラーベさんを一緒に待ちませんか…。」


そのラーベさんをご存知だろうか?

私は彼女の以前のブログで知っていた。
モノクロで写し出された彼から、どこからとなく古き良き時代の品格と色気(笑)が漂っていたのを覚えていた。

ワイマールの栄光時代。

艶やかなバリトン。

上質なワインの酔いを連想させる彼のステージを頭に浮かべ、そのラーベさんをまちぶせするという 彼女の誘いに飛び乗った。


*


9月30日、午後2時。
ミュンヘン中央駅で待ち合わせた私達は、その足で地下鉄に乗り、コンサート会場へと向かう。

「その会場もちょっと素敵なの。^^」
suhさんは冷静に見えてはいたが、きっと胸弾んでいたに違いない。
ちょうどミュンヘンはオクトーバーフェストの真っただ中で、年下の私が言うのは失礼かもしれないが、バイエルンの民族衣装に身を包む彼女はなんとも可愛らしかった。



会場の右奥手にある関係者入口で、ラーベさんの到着がまだであること、ここから入って来るという確実な情報を得たsuhさんと共に、2時間ほど待ったであろうか。

背の高い細身の男性が、颯爽と目の前を横切った。
小さなスーツケースを引きながら、まるで鼻歌でも歌っているかのような風情で。

「ラーベさん!」
suhさんが声をあげた。

彼女の声で、私も「あっ!」と思う。
たった一人で あまりにもさりげなく目の前を通ったものだから、私は普通に見過ごすところだった。(笑)


彼は「荷物を置いてくるから」と会場に入り、再び現れた時には手にサイン用のカードを持参していた。

3人揃って石段にしゃがみ込み、「綴りはこう」と私達それぞれの名前を手持ちのレジ袋に書いて示す。
彼はそれを見ながら写真にサインをし、同じくsuhさんが準備していたCDにもさらさらっと記入した。


まちぶせのファンは私達だけ。 完全に彼を独占だ。

suhさんは流暢なドイツ語で彼と話し、私も何か一言をと「今度、広島か大阪にも来てください。」とお願いしてみた。
当然のこと四国は無理であろうと この2都市をあげた。

「大阪と東京には行ったことあるよ。」
そうなのである。 彼はすでに2回の来日公演を果たしていたのである。


握手をし、一緒に写真を撮った後、

「コンサートには来てくれるの?」とラーベさん。
「もちろん行きます。 あ、彼女はザルツブルクに帰らなくてはならないので、コンサートには出ません。」

suhさんの返事もドイツ語なので、たぶんそんなことを言っているのだろうと想像して聞いていた。
CDに書かれたサインのインクが早く渇くよう、サイン入りカードでパタパタと扇ぎながら。(笑)



「ちょっと信じられない出来事だったね。」



興奮する二人を前に、もう一度姿を現したラーベさんが私に問う。
「コンサート、聴きたい?」

「後ろの方の、あまりよくない席だけど。」

一瞬、脳裏に帰りの列車が気になったが、思わず「Yes!」と答えてしまった。


だって、例えファンであろうとも、見ず知らずの私達にこんなにも親切に接してくれた彼の歌声、
チャンスがあるのなら、是非ともと思うのは当然であろう。
(ちなみに この時点まで、私は彼の歌声すら知らないエセファンである。)

「ちょっと待ってて。」そう言って、またも会場に戻るラーベ氏。

次は手にナプキンを持って来た。

pikoで席を取っているから。 当日券引き換えの場所で名前を言えばいい。」


piko? 
picchukoと覚えられずに、彼の中にはpikoとインプットされていたらしい。(笑)


「あ、お金は要らないから。」と彼。


そう言って、来た時と同じ、颯爽と会場を去って行った。

数十メートル先で振り返った彼に、大きく手を振る。

彼もそれに応えて手を振る。



あ、この写真の信号待ちしている男性がラーベさん。(写真はクリックで大きくなる)
617.JPG

さて、こんな素敵な劇場がコンサート会場であった。

後でガイドブックを見て知ったが、ここはプリンツレーゲンテン劇場(Prinzregententheater)といって、ミュンヘンでも指折りの劇場だ。

白亜の外観、そして それこそワイマール時代を彷彿させてもおかしくない趣きある内観である。

639.JPG

コンサートを前に会場についた私は、ふと思った。

まさか これはラーベさんによる上質のジョークで、実は席など用意されていないのではなかろうか?

いやいや、もしかしたらステージの袖に罰ゲームのような席が設けられているとか?


想像して笑いの止まらない私に、
「もしかしたら、座った瞬間、ブーッって大きな音が鳴ったりしてね。(笑)」と、suhさんも負けてはいない。^^


640.JPG

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「pikoね。聞いてるわ。」

本当に席はあった。しかも、本当にpikoの名で。


しかも その席は、なんと前から3列目のほぼ中央であった。

Picture101812_183202.jpg

これまた後で知ったことだが、

実はマックス・ラーベ氏は、ドイツでは知らない人はいないと言い切ってもいいほどの大スターであった。



改めて、suhさんに大大大感謝の気持ちを贈りたい。 

もちろん、マックス・ラーベ氏にも。



Google map<2012.09.30 Salzburg - München >





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Last updated  2012.10.21 09:06:38
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