カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
予定では3泊することになっていた、セルビアはベオグラードの『12 Monkeys Hostel』。
チェックアウト時間は10時だが、夜行に乗ると決めたのが2日目の夕方だったので、バタバタと慌ただしく帰り支度をすることとなった。 「マルコ、今夜の列車は21:30発だから、余裕を持って ここを20:45に出るよ。」 「分かった。何時にチェックアウトするかは君の自由だ。でも、その時 宿泊証明書に出発日を記入するから、それだけは覚えてて。」 昨今、セルビアでも宿泊証明書の提示を求められることは稀になっているそうだが、もし滞在先の証明が必要な時に持っていなければ面倒なことになる。 それは、宿泊先が発行元の警察に代行して取得してくれる。 個人宅に滞在する場合、その家主に義務が生じるのだとか。 大きな図体の割に結構几帳面なマルコは、こんな面倒な国でのホステル管理に向いているかも、そう思った。 携帯を充電し、シャワーを浴び、ベオグラードからザルツブルクへの行程をムラトさんにメールする。 次の日に、ムラトさんとザルツブルクで落ち合う約束を先ほどしていた。 「良かったら、向こうでお喋りしない?」 振り返ると、英国人の若いお兄ちゃんだった。 すでに宴会が始まっているのに、その輪に入らず 無言で荷持を整理する私に気を遣ってくれたのだろう。 「ありがとう。でも私、もうすぐチェックアウトするから。」 20:30。 マルコを呼んだ。 マルコは宿泊証明書に日付とサインを記入し、スタンプを押す。 「この先も気を付けて。」 そう言って、握手を交わした。 玄関の扉まできちんとお見送りしてくれた彼は、別れ際にも早口で喋り続ける。 「僕の友達は日本人と結婚したんだ。日本人は本当にいい人ばかりだと言ってたよ。僕もそう思う。君にも会えて良かったし。」 私が時計を気にしなければ、たぶん もっと喋り続けただろう。 「ありがとう、、、じゃぁ。」 もう一度握手をし、エレベーターに乗った。 ビルの5階(欧州式に言えば、4階)に『12 Monkeys』はある。 古いエレベーターは2重扉になっていて、外側のドアを引くと内側が自動で開くようになっていた。 降りる時は、その逆。 のろいエレベーターが2階まで降りた時、あれ? 携帯をどこに入れたんだろう。 はたと気が付いた。 いつも入れている鞄のポケットに携帯がない。 充電した後、どこに置いたか記憶を辿るも、どうしても思い出せない。 もしかしたら、ホステルのベッドの枕元に忘れて来たのかも。 私は1階ではエレベーターを降りず、ボタンを5階に押し直した。 ぐい~ん。どこまでものろいエレベーターだ。 余裕の時間を見ていて良かった。 ぶちぶち言いながら、5階で扉を開けようとした。 しかし、これが開かない。 内側のドアは開いたのに、外側の扉が頑固として動かない。 うそ。。。 顔面蒼白だ。 ドンドンと叩いてみる。 どうかホステルにいる誰かに聞こえて欲しい。 「マルコ、助けて!」 叫んでもみた。 ドンドン! ドンドン! ドンドンドンドン!!! ホステルの扉もまた、頑丈で分厚いものだ。 少々の外の音など聞こえるはずもない。 しかも、今日の宴会開始はいつになく早く、すでに大音響で盛り上がっていたのだった。 Google map<2012.09.14~15 Beograd> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.05 09:33:13
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