カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
携帯電話が繋がらない、というのもベオグラードでの私を一層落ち込ませた。
知らずと自分の先入観が作り上げた緊張の中に、隔離されてしまったような気がした。 助けを呼ぶ声は届かない。 大袈裟ではなく、そこまで私を追い詰めたのだった。 ノヴィ・サドへ行こう! 張り詰めた空気にこらえきれなくなった私の心が、ベオグラードからの脱出を試みた。 ベオグラードから鉄道を使うと、ノヴィ・サドへはブダペスト(ハンガリー)行きに乗るのだが、地理的にはベオグラードより僅かながらクロアチア寄りにある。 もしかしたら、そこなら電波が届くかも、期待もあった。 列車は、ハンガリーから南下するドナウ河とその支流を跨ぐ橋をいくつも越える。 汚れた窓ガラスの向こうには、黄色いトウモロコシ畑がどこまでも続き、その広大さがより侘しさを感じさせた。 ゴトン、ゴトン。 列車の揺れに身をまかせながら、ただ漠然と流れる黄色い景色を見つめていた。 30分くらい経ったろうか、携帯が電波をキャッチした。 これを逃してはいけない、私はすぐさま日本の母と、トルコからドイツへ向かっているはずのムラトさんにメールをした。 「しばらく電波の届かない場所にいますが、心配しないでください。」 これは母へ。 そして、「どこまで帰って来ているの? 私はベオグラードに居ます」、そうムラトさんに送った時、列車はトンネルへと突っ込んだ。 かろうじて送信完了、でも彼からの返事は届かないかもな。 だが、そこから先は電波に支障がなかった。 ひとつ安堵した瞬間。 「次がノヴィ・サド?」 車内のアナウンスがない為に、列車が名も知らぬ駅に停車する度、私は同じ車両の誰かに尋ねまくった。 その誰もが地元の人であることは分かった。 あまりよそ者は この路線を利用しないのだろうか? 「僕たちもノヴィ・サドで降りるよ。^^」 2人の子供連れの若いお父さんが声を掛けてくれた。 もう一つ安堵した瞬間だった。 写真は、どちらもセルビア第2の都市、ノヴィ・サド。 ノヴィ・サドを流れるドナウ河と、市の中心部にあるカトリック大聖堂。 Google map<2012.09.15 Beograd - Novi Sad> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.08 17:43:21
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