カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
ノヴィ・サド(セルビア)もドナウ河沿いに発展した街だ。
市の中心部を挟んで突き出た対岸の陸地部分は、ベオグラードの旧市街と地形的によく似ている。 そして、ここまた堅固な要塞に守られた街だ。 ベオグラードと同じく、あらゆる民族が奪い合ってきたこの土地は、10~12世紀にはハンガリー王国の支配下となり、たぶん その時代 ハンガリーにとっての重要な戦略拠点であったと思われる。 この時計、一体何時を示していると思う? そのペトロヴァラディン要塞に立つ、街のシンボルとされる時計なのだが。 「何言ってんの、時計の見方も分かんないの!」と、少々馬鹿にされた気分になった人もおられるかもしれないが、 これは、3時52分ではなく、10時20分を表している。 この時計、ドナウ河を行き来する船から見ても分かりやすいようにと、長針が時針に、短針が分針になっているとガイドブックに書いてあった。 いかにも良心的に思えるその配慮、 しかし それを知らずに見た者は、きっと素直に短針を時針と思うに違いない。 そう勘違いさせるのも、何かひとつの戦略か? 気になる。 そんなどうでもいいことを考えながら、 要塞にある この街一番の高級ホテルのレストランの、その一番安いホットサンドをつまみながらドナウ河を見下ろしていると、 だんだん気分が晴れてきた。 たぶん、それほど裕福な街ではないのだろう。 駅から要塞までに利用したタクシードライバーのおじさんだって、そう言っていた。 「私はベオグラードよりノヴィ・サドの方が好きかも。」 そういう私に、 「確かに、一見 ノヴィ・サドは美しい街に見えるだろうが、よく見てみるがいい、結構寂れた建物も多く、ベオグラードに比べると貧しい街さ。」 「ここも民族間で色々あるし。」 クロアチア人をあまりよく言わないおじさんは、やはりセルビア人だった。 それにしても、セルビアにしては珍しく(?)中欧チックな街並みだ。 実際のところは別として、セルビアを知って日の浅い私には、表面だけを見れば実に嬉しくなる街だった。 この後に訪れたサラエボでもそうであったが、 ここには、カトリックの大聖堂、セルビア正教会、シナゴーグなど、あらゆる宗教施設が目と鼻の先にある。 街並みは中欧、でも一歩踏み込めば、あらゆる宗教や文化がカラフルに混ざり合い、私の興味をぐいぐいとひいた。 調和さえすれば、こんな素敵な景色に変身する。 どうしようもない民族間のいざこざはあるが、 ピタゴラスの定理のような、意外とシンプルな命題はないものか。 だって、セルビア人もクロアチア人もボスニア人も、韓国人も中国人もその他の人も、一対一で接するといい人ばかりじゃないか。 長い歴史に絡み合った糸を解くのは人間では不可能にも見えるけど、いっそ私が解いてみる?(笑) 日本人しか知らない守られた環境で育った私に言えることではないが、そんな冗談を考えていたら、本当に気分が晴れてきた。 だが、それは万民の心からの願いだったりする。 写真は、どれもノヴィ・サドにて。 下から二枚目はセルビア正教会内部、最後の写真はユダヤ教のシナゴーグ。 Google map<2012.09.15 Beograd - Novi Sad> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.09 18:32:21
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