カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
「さぁ、案内してくれ。」
朝食を終えて 荷持を車に詰めた後、ムラトさんは私に言った。 「え? 私が案内すんの?」 「さっき、一人で見て回ったんだろ? ガイドブックを持ってるのも君だし。」 ということで、たった今見たばかりのサラエボ旧市街を、私は再び巡ることとなる。 まぁ簡単な道なので もう地図は要らないが、私に任すという彼の度胸は感心だ。(笑) スタートはここ、カトリック大聖堂。 この国は、旧ユーゴの中でも特に民族が入り乱れた地域であり、 ボシュニャク人(イスラム教)が48%、セルビア人(セルビア正教会)が37%、クロアチア人(カトリック)が14%、と主要民族を持たないことが、民族間のもめごとを一層 複雑にしたようだ。 だが、おかげで各々の個性を知れる宗教施設が、限られた場所に目白押しというのは面白い。 カトリックの大聖堂から東に100メートルもないところにシナゴーグがあり、その隣りにイスラム関連施設がある。 そのイスラム施設の斜め前が、セルビア正教会という具合。 目を引くのは塔の高いイスラム教のモスクばかりだが、僅か500メートル四方にシナゴーグも正教会も一つだけじゃない。 その中で、私とムラト氏おススメの教会をご紹介しよう。 あ、仮面仏教徒と、豚肉も食べちゃう なんちゃってイスラム教徒の二人だから、そこに宗教的意味はない。 見た目の好みということで予め願いたい。(笑) それは、知らなければ素通りしてしまいそうな、古い小さなセルビア正教会だった。 なんとなく 雰囲気が気に入った。 ご存知 セルビア正教会は、セルビアを中心にセルビア人の間で信仰されているキリスト教で、ロシア正教と同じく東方正教会の一つ。 この壁中に描かれた、イコンと呼ばれる聖画が印象的だ。 モスクワで見たロシア正教のそれよりは圧迫感もなく、異次元に連れていかれる錯覚もないが、日本では滅多に見れない空間だけに、私にとっては興味深い。 私は、そのイコンの、頭に輪っかのついた平面的な聖人たちを眺めながら、つい今しがた訪れたカトリック大聖堂のイエス・キリスト像を思い出した。 十字架に手足を大きな釘で打ち付けられ、しな垂れたイエス・キリストのその姿。 赤い血を流す体が、いやに白く浮かびあがって見えたのだった。 イコン画に比べると 彫像はリアルである。 特に、サラエボのカトリック大聖堂の彫像はリアルすぎた。 よく考えれば、あんな痛々しい姿はむごいじゃないかと思い始めた。 イエス・キリストを処刑に掛けた十字架をシンボルにするのも、信者じゃない私には残酷この上ない。 そうそう、同じ十字でも正教会の形は、なんだか足置きがあるみたいで(笑)、意味を知らない私には優しく見える。 ああ~、さっきのカトリックのイエス様、あれは可哀想だったな~、何度もそう思った。 ま、地元の人は宗派の違う教会を梯子するはずないだろうが、正教会の穏やかな聖人たちとちょっと見比べてしまった。 それ以来、十字架のイエス像を見る度に、一刻も早く降ろしてあげたくなるpicchukoである。 で、ちなみにムラト氏は、、、そんなこと気にもしてない。 Google map<2012.09.19 Sarajevo> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.03.13 11:19:47
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