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テーマ:介護・看護・喪失(5172)
カテゴリ:高齢者・介護
県立病院に運ばれると、若い女性医師が担当ということだった。
その先生は私が今まで会った先生の中で一番の先生であった。 先生は母の既往症、現在の症状、事細かに聞き取り、手帳にメモしたり、パソコンに打ち込んだりしていた。相当な時間を使ったと思う。 淡々とした印象だが、頭が柔らかいというか、「あらゆる方面から原因を探し出す」という意思が感じられた。今まで会った「年寄りだからとりあえず対処療法で」というのとは違った。 この先生にすべてを託そうと思った。 しばらく、色々な検査をしましょうということで、その日はタクシーで自宅に戻った。 家に着いたのは朝の4時。タクシー代8000円。痛い~。 次の日から母は検査。 てんかんを疑っていたが、脳波に異常なし。てんかんではなかった。 パーキンソンの検査もしたが違った。 入院中も一度発作が起きた。 先生が当直で、発作の様子を見たという。 その後も何度も先生と話した。私が思った原因についても、素直に聞き入れてくれて、可能性を探ってくれたりもした。 血液検査もたくさんの項目で調べたがどれも異常なし。 原因がわからない。 しかし、先生は「向精神薬の副作用」ではないかと思っているようであった。 多分そうなのだと思う。誤診で10年間てんかんの薬を飲んだこともあった。 そういう副作用による病気は治療や、原因の特定は困難なのだと思う。 とにかく、今はこの発作を起こさせないようにしなければいけない。 脳にダメージをくらってしまう。 「この薬とこの薬を少し試してみてもいいですか?副作用が出ないか様子を見ながら。」 「はい。お願いします。先生にお任せします。」 てんかんとパーキンソンのお薬だった。 ごく少量。痙攣を震えを止めるため。 その薬が劇的に効いた。 母は別人のように元気になった。 震えがほぼない。目をつぶることもない。 一日の半分は目をつぶり、がたがたと震えていたのに。 20年前の母に戻ったようだった。 13日入院して母は退院した。 「また発作が起きるようなら、大学病院で詳しく検査しましょう。」と先生は言ってくださった。 先生はとある国立の大学病院の先生だったらしい。知らなかった。 退院するとき、先生にお礼を言った。 「ありがとうございました。先生でなければここまでよくなりませんでした。本当にありがとうございました。」そう言って深々と頭を下げた。 先生は、恥ずかしそうな、驚いたような顔をしていた。 (この間の先生と同じ顔・・・。) 看護師さん、同じ病室の方々、本当に皆によくしていただいた。 毎日リハビリもしてもらい、母の足も弱ることがなかった。 皆に感謝の言葉を述べて退院した。 本当にいい病院。こんな病院初めてだった。 つぎへ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.22 06:03:40
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