突入せよ!「あさま山荘」事件
2002年【日】The Choice of Hercules原田眞人監督佐々淳行原作『1972年2月、連合赤軍のメンバー5人がひとりの女性を人質に雪に閉ざされた山荘に立てこもる事件が発生。10日間におよぶ攻防の末、警察が強行突入、運良く人質を無事救出、犯人全員の逮捕に成功するが、3人の死者(うち一人は民間人)と多数の負傷者を出す悲劇となった。この日本犯罪史上に残る大事件を、当時指揮官の一人だった佐々淳行の原作を基に「金融腐食列島〔呪縛〕」の原田眞人監督が映画化。』(allcinema onlineより)コドモ時代に、リアルタイムのニュース映像を驚きとともに見つめた記憶があります。現地長野県警と東京警視庁からの派遣チームとの確執によって、指揮系統がうまくいかずに揉めたり、犯人側から雨あられと飛んでくる銃弾の中での大混乱の様相とか、興味深く観た。けれども、いったい何が伝えたいのか? と疑問にも思ってしまった。原作は決してそんなことない、らしいのだが、まるで東京チームの長だった佐々(役所広司)だけが有能で立派で人格者だったことを強調したいだけ、みたいに見えてしまった。この映画がそのまま原作通りだったとしたら、あの佐々さんてイヤミなやつ、と思ったことだろう。テレビのコメンテイターなんかたくさんやってさ、今作にもエキストラ出演して、いい気なもんだ、とかって。ということは、かなりの部分監督(脚本も)のせいだと思うのだが、長野県警側の名誉が著しく傷つけられていないか?笑うだけでフォローがない。自慢話なんか観たくない。それだったら、ドキュメンタリーとして犯人側の様子とか醜い内幕とか、事件の背景とか、やるならもっと警察側のどたばたへの批判とか、殉職した人や巻き込まれた一般人への情とか、描いた方がよいものがたくさんないか?一方に偏らない実録話を聞きたい。「硫黄島」「星条旗」のスタンスを見習ってほしいものだ。『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文藝春秋刊)