ミケランジェロの詩はイタリア語の原詩を見ると、みごとに隠を踏んでいる。英語訳や日本語訳にするとどうしても原詩の韻を無視して意味だけを汲むことになる。元来、詩は読むのではなく口に出して音を楽しむものだ。それは欧米の詩にかぎらず日本の詩も同様である。
イタリア語の長い詩を翻訳することは私には無理であるが、四行詩ならばなんとかなるかもしれない。イタリア語の発音はほぼ「ローマ字読み」であるから、口に出してみるのもおもしろそうだ。イタリア民謡の「オー・ソレ・ミオ」や「帰れソレントへ」をイタリア語で歌うように・・・
ミケランジェロの四行詩
【イタリア語の原詩】
Sol io ardendo all'ombra mi rimango,
quand'el sol de'suo razzi el mondo spoglia;
ogni altro per piacere, e io per doglia,
prostrato in terra, mi lamento e piango.
ソル・イーオ・アルデンド・オロンブラ・ミ・リマンゴ、
クアンデル・ソル・デスオ・ラッツィ・エル・モンド・スポリア。
オーニ・アルトロ・ペル・プラチェレ、エ・イーオ・ペル・ドリア、
プロストラート・イン・テラ、ミ・ラメント・エ・ピアンゴ。
【英語訳】
Only I remain burning in the shade,
when the sun despoils the world with its flares;
everyone else for pleasure, and I for pain,
prostrate on the earth, I lament and cry.
(translated by Tadami Yamada)
太陽が世界からその輝きを取り除くとき、
私だけが日陰で燃えつづけている
人々はみな快楽のために、私は痛みのために
地面にひれ伏し、私は嘆きそして泣く
(日本語訳;山田維史)