実はえ~かげんなコンピュータ
今や世界中の人々が恩恵にあずかってるコンピュータ。炊飯器からエアコンまでコンピュータで手間いらず。アフリカやモンゴルなど辺境の地でもスマホが活躍してますが、これも内部に潜んでるコンピュータがあればこそ。スーパーコンピュータ「富岳」は1秒間に約44京2,010兆回計算ができます。富岳が1秒間に行える計算を人間がひとりで行おうとすると140億年かかるらしい。それで空気中の物質の動きを計算し、シミュレーションして天気予報なんかに活用してるのですね。富岳が設置されているのは神戸の人工島「ポートアイランド」です。ポートライナー駅のその名も「計算科学センター駅」から徒歩3分くらいのとこです。一応、見学も受け付けてるらしいですが、学校や企業対象で、個人はダメらしい。そんなスーパーコンピュータ富岳と、私たちが日常使ってる家庭用コンピュータとにある共通点があるのですね。それはどんなに計算しても限界があると云うこと。もちろん富岳と家庭用コンピュータでは積んでるメモリーも段違いですが、どっちにしたって計算能力に限界はあるのです。それはメモリー容量に上限があるから。つまり無限は計算できないと云うこと。簡単な例で云うと「円周率(π)」があります。円周率ってのは「3.14」ですが、この下に数字が続きますね。円周率=3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288...円周率をもっとも桁数多く計算したのは2022年のGoogle技術者、岩尾エマはるかが157日23時間かけて100兆桁を計算したのが最新です。それでも100兆桁の最後の数字の下にまだ数があるのか無いのか分からない。簡単なことです。「有限なもの(コンピュータ)」で「無限か無限でないか分からん」ものは計算できない。そんなん云うたかて、「3.14」でなんの支障もないやん!確かにそうですが、これは地球規模で考えてるから。現在宇宙で最も大きい星とされている「スティーブンソン 2-18」と云う恒星は、太陽の約2,150倍にものぼるとされています。ことさら左様に、宇宙規模で考えると桁数ってのはとんでもないことになるのですね。では、コンピュータは限界以上の桁数処理をどうしてるのでしょう?簡単に云うと四捨五入して誤魔化してるのです。ちょうどアナログの音とデジタルの音の違いと同んなじ。CDなどのデジタル音は、「間引き」と云って、ホントウはなだらかな曲線のハズの音楽を階段状にして収録してるのですね。デジタルは「1=電圧がある」か「0=電圧がない」と云う白黒はっきりしないと処理できないからです。そこいくと、アナログ音は収録した音をそのまま情報として保持してます。つまりデジタルのように端折った音ではないと云うことです。云い換えれば、グレーゾーンがいっぱい散りばめられてると云うこと。昔のステレオがCDに負けたのは、単に再生装置が未熟だったからです。コンピュータでやってる限界以上の桁数処理は「丸め」と云われてます。四捨五入ですから、それが正しいのか、あるいは切り捨て、切り上げをした方がより近いのか誰にも分かりません。どっちにしても分かってるのは、その答えが正しい答えではないと云うこと。コンピュータ処理してる限り、それがスーパーコンピュータでも、家庭用コンピュータでも避けて通れない問題なのです。私の処理は絶対ですみたいな顔して乙に澄ましてるコンピュータですが、実はえ~げんな機械だったのですね。もうひとつ例を上げると「双子素数」があります。素数と云うのは「1」と「自分自身」だけしか割り切れない数ですね。もっとも小さい素数は「2」で、1と2でしか割り切れません。「4」は1と4以外に「2」でも割り切れるので素数でないワケです。「双子素数」は「隣り合う」奇数がともに素数である組のことです。例えば3と5、5と7、11と13、17と19...41と43、101と103...857と859。素数が無数に存在することは古代ギリシアで既に知られており、ユークリッドの「原論」に証明があります。これに対し、双子素数が無数に存在するかという問題、いわゆる「双子素数の予想」は、いまだに数学上の未解決問題なんです。2020年時点で知られている最大の双子素数は、388,342桁の2,996,863,034,895 × 21,290,000 ± 1です。それでもなを双子素数が無限に存在するかどうかは、まだ誰にも分かってません。どんなにスーパーコンピュータを駆使しても、まだ分からないのです。