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カテゴリ:言語・文化・コミュニケーション
来年はNHK大河ドラマ「龍馬伝」で、高知出身の坂本龍馬ブームだそうだ。
「龍馬伝」には、「はちきん」や「いごっそう」がたくさん出てくるのだろう。 「はちきん」とは、気が強くて可愛い「高知県の女性」のことである。 「いごっそう」とは、自分の信念に忠実で、 言い出したら絶対に引かない「高知県の男性」のことである。 遥か昔、高知県出身の私は、 寮や学校のクラスメートの帰国子女やアメリカ人の女の子たちから、 「あなたは日本人らしくない」と散々言われた。 しかし、高知県では私は「レッキとした日本人」で、 日本人らしくないと言われたことなどなかった。 高知では、静かでおとなしいほうだった。 東京で態度が変わったこともなかった。 あくまで自分流、ある意味では高知流でやっていた。 しかし、「日本人らしくない」というのは、明らかに彼女達の誉め言葉らしかったので、 「誉め言葉はありがたく聞くものだ・・・」と思い、全く気にしていなかった。 しかし、帰国子女やアメリカ人に囲まれていた私の状況はまだマシで、 横浜国大に行った「はちきん」は「言うことが、きつい」、 そう日本人のクラスメートに言われ続けて、遂に失語症になったそうだ。 しかし、彼女は高知県の基準では、決して「きつく」なかった。 ある時、私の目の前で、この「横浜国大はちきん」は、 失恋した日本人男性と話していた。 彼は、ある日本人女性に見るも無残に振られていた。 この日本人男性はこの日本人女性に「ひたすら尽くしていた」が、 この日本人女性はケニア人が大好きで、 ハンサム・ボーイの日本人の彼を振って、国連開発プログラムでケニアに行った。 日本人女性のことを 「sick(もううんざり、気持ち悪い)」と言ったり、 米国と違って日本女性が訴えないと思って、 「お前まだ子供産めるのか」と日本で40代の女性に何回も言ったりする (←セクハラ発言のうえ、ストーカー!!!) ケニア人男性やアフリカ系男性に、 不甲斐なくも、彼は完敗したのである。 タイガー・ウッズのように、「理想という建前」を振りかざして、 表面上、「良い子ぶりっ子」して好感度を上げるのが超得意な彼らに、 この日本男児は、ボロ負けに負けたのだ・・・ 「横浜国大はちきん」は、慰めようとして、はっきり彼にこう言った。 「次はもっとマシな子を選びなさいね・・・」 彼は落ち込んだ。 しかし、私に言わせれば、彼女は論理的に当たり前のことを言っただけである。 「ああ、そうだ。次にはもっとマシな子を選ぼう・・・ 自分を散々振り回した挙句、情け容赦なく自分を振った彼女。 そんな酷い彼女より、もっと素敵な子を選ぼう」と思えばよいではないか。 彼の反応は違った。ますます落ち込んだ。彼はもっと別の慰め言葉を期待していたのだ。 何と繊細な。 これでは生きて行くのが大変だろう。 こんな繊細な男性は高知県に放り込んで、たくましく鍛えなおせば良いのだ・・・ きっと「いごっそう」が鍛えなおしてくれるだろう。 「おんしゃぁ、アホウかよ。そんな女らぁさっさと忘れて、 もっと えいがを(=もっと良い女を)選べや」*注 そう、彼にスパーンと言うに違いない。 (*注: 土佐弁:「えい」=「良い」、「もっとえいがを」=「もっと良いのを」) ある東京出身の編集者の知り合いの京都人は、高知県女性を「アマゾネス」と呼んだそうだ。 もし高知に行くなら、アマゾネスに気をつけろ・・・と言ったそうだ。 この京都人は、「はちきん」女性で、きっと苦い経験があるに違いない。 しかも、京都は女性的な文化で、高知は男性的な文化。 きっと男性として、はちきんの女性パワーに負けたのだろう。 しかし、アマゾネスとは・・・ 美しい女戦士・・・という意味だろうか? (・・・決して良い意味で言ってるんじゃない気がするんだけど・・・・ 気のせい? 負けた腹いせ?) そういえば、幼稚園の時から米国で育ったある帰国子女(上智外英の後輩)と 日本語で「はちきん」の話をしていた時、彼女はこう言った。 「私の母も高知県出身でしたけど、やっぱりエキセントリック(eccentric)でしたよ」 絶句した。 エキセントリック・・・・ (この意味がわからない人は辞書を引いてください・・・) 高知県人の私にとって、高知県人の性格は当たり前で、 エキセントリックだと思ったことはない。 高知県では当たり前で、他県では当たり前ではない。 そういえば、人は他人を判断する時、皆、自分自身を基準に判断するのだった・・・ でも、他県の人が他県の基準で「はちきん」につけたニックネームだけど、 はちきん達は、「美しい女戦士」を名乗ってみるのも悪くないかもしれない。 自分は自分。 達観の域に達した今日この頃である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.24 22:30:32
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