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カテゴリ:陸上競技
北京五輪が終了し,昨日( 6日 )は北京パラリンピックの開会式が催されました。 今日( 7日 )から17日まで20種目の競技が実施されます。 ここでは,マスコミでもよく取り上げられた陸上競技の数選手,車椅子のマラソンおよび長距 離選手,テニス,柔道および水泳の選手について述べてみたいと思います。 外国の陸上競技の選手についてもよく知られていることですが,特徴を列記してみました。 パラリンピックは参加の資格が,各選手の障害の程度によって異なり,種目数が減少する傾向 になってきていますが,単なるリハビリに終わらず,社会体育の一環としても位置付けられよ うとしています。 1)車椅子テニス この種目の第1人者は,何といっても国枝慎吾選手 ( 24歳 )です。----身長173cm。 彼は,下半身のハンデを克服し,2000年のアテネ大会の斉田選手とのダブルスで優勝して います。 シングルスでは残念な成績でしたが,昨年からの急上昇で,今年は7戦7勝の成績で世界ラン キング1位となっています。 ご存知の方もおられるでしょうが,ここでのテニスはツーバウンドまでに返球すればよいとい うルールです。 それでも,国枝選手のチェアーワーク( 車椅子の操作方法 )がすばやく,回転や直進する速 さが飛びぬけてよいことです。 ウエイトトレーニングを取り入れ,見せるテニスを目指しているようです。 普通のテニスの4大トーナメントにも,車椅子テニスが取り入れられたのも,昨年のテニスの 最優秀選手に,あのフェデラー選手とともに選出されたことが大きいようです。 国枝選手のサーブ&ボレーのプレースタイル,バックハンドスピンでの返球も見ものです。 2)柔道競技のパラリンピックでの取り上げ方は特別なものがあります。 全盲の選手が互いに組み合ってから競技が開始されます。 日本の選手では,藤本聰選手が1996年のアトランタ大会以来の4連覇がかかっています。 彼は,得意の鋭い背負い投げを武器に,強敵を投げ倒しています。 この技は,切れのある動きの中で生まれた,彼独自のもののようです。 走り高跳びの鈴木徹選手 3)陸上競技では,数多くの選手が好成績を挙げられそうです。 走り高跳びの鈴木徹選手 ( 28歳 )---- 178 cm ,63 kg 彼は,高校時代のハンドボールでの好成績( 国体3位 )から,筑波大への推薦入学が決まっ ていたようです。 1999年2月に自動車事故に遭い,右足のひざから下が義足になりました。 大学を1年間休学している間に,リハビリで始めたのが走り高跳びだったといいます。 ハンドボールで培ったばねが大きく彼の跳躍に味方したと言えましょう。 2000年には1m81の日本記録を樹立,アテネでは1m80の記録で6位入賞でした。 あのアテネの走り高跳びの覇者-スウェーデンのステファン・ホルム選手に,競技場で練習を 見てもらい,「 高く飛びたい気持は同じ。壁は存在しない。 」といいます。 彼に力をもらい練習できたとも。具体的にも指摘がありましたが,とても褒めてもらったとの ことです。 彼のスパイク部分は,踏み切りの動作の際に傾きを考え,斜めにカットしたと実際の競技用の 義足を見せてくれました。 使い込んでいるのには驚かせられました。( 何足目?かは解りませんが,数年?変えていな いかもしれません 。) ピンの位置が8本のうち,3本が位置を換えて据え付けられています。 彼は,アテネで1m80の6位に終わり,日本代表選手を輩出した福間博樹コーチに教えを請 うことになります。 「 両足をしっかりとかみ締めて歩く 」ことが,コーチの練習の始まりでした。 左右の脚のバランスが改善され,2m00という世界で3人目の高さもクリアーしました。 今回の北京では,旗手も務め,日本選手団の先頭に立って堂々とした行進でした。 出発前の,8月31日 ( 日 ) ~ 日体大陸上競技場( 横浜 )~の記録会では,1m90を 3回目でクリアーし,健在振りを見せてくれました。 他にも,車椅子マラソンの高田稔浩選手 ( 42歳 )はアテネ大会で400m,5,000 m,マラソンで優勝されました。 彼は,手足の神経の衰えをカバーし,あきらめずにゴールを切る姿を見せたいとのことです。 女子の短距離の中西麻耶選手は右脚がブレード( メタル製の義足 )の100m,200mの 選手です。昨年は両種目の日本記録を更新され,「 私を代表に選んで良かったと言わせた い。」という選手でありたいと語っています。 オスカー・ピストリウス選手 4)最後に,南アメリカの両脚ブレードのランナー オスカー・ピストリウス選手( 21 歳 ) について紹介されています。 彼は,11ヶ月で両脚の膝下がなくなり,それにもかかわらず小さいときから色々なスポーツ に取り組んでいたといわれます。 彼は,陸上競技との出逢いで,鍛えた上半身と下腿のバランスがよく,健常者の選手とはスタ ートでは劣るものの,ラストの追い込みには目を見張るものがあるようです。 彼の上半身の発達振りは力強いストライドの源になっています。 また,ぶれのない直線での疾走は,迫力たっぷりで見応えがあります。 400mでの一般のレースで,あまりにもブレードの効果が強く出ている。 との指摘をした国際陸連(IAAF)は,ブレードがばねの働きや車輪としての効果をあげ ているとして,一般レースへの参加は禁止しました。 しかし,P選手側の国際スポーツ仲裁裁判所への提訴は勝訴となり,再び一般のレースへ参加 ができました。 7月のスイスのルツェルンでの最終選考レースでは標準記録へは達しませんでしたが,彼の持 ち味である追い込みのレースを見せてくれました。 3レーンのインからよく伸び4,5レーンの2選手に次いで3位でした。 上位の選手がもう少し( 1秒も ) 速い選手だったら北京五輪へとも考えられましたが,残念 なことでした。 彼は,「 走ることは私の人生であり,すべてのことがそこに繋がっている。 」と語ってい す。 「 何一つ,義足のせいでできなかったことはない。 」とも。 鈴木選手は,「 途中で止めるのは簡単なので,陸上ををなくしたら自分でなくなる。 」と 競技を続けた意味を語っています。 障害者の福祉を担当している方は,「 失った機能ではなく,残った機能をどう生かすか。ま た,何ができるかがもっとも大切。」と言われています。 本日の22時過ぎから,教育テレビで北京パラリンピックの模様が放送されます。 早速,前回のアテネの女子水泳で大活躍された,成田真由美選手( 7種目に優勝 )が今日を 含めて3種目に出場されます。 2年前に手術が3回もされ,去年の末からリハビリ~練習となってしまい,今回の参加はかな り厳しいものがあるようです。 8日には国枝選手が出場します。ぜひ活躍して,彼のベストを見たいものです。 その他の競技も注目し,日本の選手をはじめ参加全選手がベストを尽くされるよう願いたいも のです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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