カテゴリ:つぶやき
私が、丸山富洋選手の姿を初めて見たのが、昨年11月6日、灘崎町総合運動公園での紅白試合だった。あの日も、冷たい雨が降っていた。
地域リーグ決勝大会に向け、沖縄かりゆしFCからの補強選手だった。雨の中、彼の大きな声が響いていたのが印象に残った。 決して、器用な選手ではないけれど、おとなしい選手が多いファジアーノでは、異彩を放っていた。ゲームが劣勢になったとき、うつむいた選手達を、鼓舞し、奮い立たせてきた。地域リーグ決勝大会で、プロ選手を揃えたロッソ熊本、グルージャ盛岡をあと一歩のところに追いつめたのは、彼の力によるところも大きいと思う。 今シーズンになっても、寒風がふきすさぶプレシーズンマッチでは、半袖で、昨年以上にチームを熱く鼓舞していた。 今シーズンは、ファジアーノを一皮むけたたくましいチームに引っ張っていってくれると信じていた。 そんな彼は、今日、スーツ姿で試合を観戦していた。 FCガンジュ岩手への移籍が決まり、明日の17時から、盛岡で選手発表がある。 FCガンジュ岩手は、グルージャ盛岡の運営を巡って、ゴタゴタがあり、盛岡の監督だった武藤さんが率いるJを目指す生まれたばかりのクラブだ。 きっと、昨年の地域リーグ決勝大会で、武藤監督の目にとまったのでしょう。 試合終了後のミーティングでファジアーノの選手達へ別れの挨拶があった。 そして、そのあと、スタンドまで上がってきて、10数人残っていたサポーターに対して、傘もささずに、想いをトツトツと語ってくれた。 決して饒舌ではないが、一言一言かみしめるように語り、サポも一言も聞き逃さないように真剣に耳を傾けた。 丸山選手の話を要約すると、次の通り。 ---------------------------------- シーズン前にファジアーノでやると決心した直後に、岩手から話が来て悩んだ。 プロ契約選手として、こまかい条件を示してくれた。ファジーアーノでやっていきたい気持ちもあったが、より必要とされている岩手に行くことにした。サッカー選手として自分の可能性も試してみたい。 自分の最後のユニホーム姿を試合で、サポーターに見せたかったが、それはかなわず、心残りだ。 今日の試合内容には、本当の腹が立つ。自分が出ていないゲームを批判したくないけれど、勝利に対する執着心がなさすぎる。ファジーアーノはいい選手は多いが、もっと勝利に執着しないといけない。 サポーターも、消極的なミスには、大いに批判して欲しい。 岡山を離れることになるが、これからも応援して欲しい。 ---------------------------------- 話し終えると、サポーター一人ひとりと力強い握手をしてくれた。 サポーターとの挨拶が済み、立ち去る彼の背中に、サポーターから「マルヤマ マルヤマ」とコールが起こった。 彼は、サポーターの方を一度も振り返ることも立ち去った。きっと、彼の目は、涙で溢れて・・・・。 岡山でのプレーは本当に短い時間だったけれど、彼ほど、熱い男はいなかった。そして印象に残る選手はいなかった。 4月30日、満員の桃スタのピッチの上で、彼の勇姿を見たかった。 しかし、我々は、彼がサッカーに専念できる場所を準備することができなかった。 月並みの言葉だけど、これからの彼のサッカー人生にに幸多かれと祈るのみです。 ありがとう、丸山選手。 あなたのような選手が、特別な存在でなくなったとき、ファジーアーノは、Jの舞台に立っているでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年08月23日 11時39分09秒
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