儲かる企業の経営哲学(1)褒めると笑顔になり意識が変わる
誰でも心から褒めてくれると嬉しいもの。昨今は褒める光景が少なくなった。厳しい会社ほど少ないものだ。世界的高収益企業トヨタの、生産方式生みの親、大野耐一氏の教え子で、箕浦輝幸ダイハツ工業副社長は「一度たりとも褒めてもらったことが無い」という。工場の改善ができても「そうか」で終わり。常に現状否定。「『俺が改善したから絶対改善余地が無い』と思ったら成長はそこで止まってしまう。だから、日々改善なんだ」の教えが今日の高収益体質を作り上げたという.今では神様のような存在だ。 毎月亡き父の命日には、お墓まいりを欠かしたことがないという熊本市の政財界ご婦人ご用達の1品ものファッションメーカー、I社初代深川社長も「父には一度たりとも褒めてもらったことがないけど、後になって厳しくも熱い教えだった」と目を潤ませられる。 今日では人間叱りもしなければ褒めもしないでは人は育たない。働く者にとっては人生の半分以上が仕事時間だ。意識時間でもある。意識を揺さぶるものは「喜怒哀楽」。喜ばせて、怒らせて、悲しませて、楽しませる。すると何らかの意識に変化が生まれる。人生ドラマの縮図かもしれない。それぞれが織り成し人生に味が、人間に魅力が備わるのではないか。人生は思うようにいかないという。会社しかり。それは欲があるからともいう。姿勢が間違っているからとも言う。十年に一度は大きな危機に見舞われる。だから色々と考え相談し、策を練る。 落ち込みを少なくし維持できるということはそれなりの努力の賜物。 一方で「四十三年間一度たりとも赤字を出したことが無い」と福岡市のO社井出社長は控えめに言われる。今期も記録更新。この快挙たるやは博士号の授与どころか、いくら褒めても褒めきれない。正に経営者としての勲章ものだ。こつこつ努力をしている社員は褒めてあげる。褒めると人間笑顔になり 胸のうちを明かして周りも明るくなる。意識の変化に火が点く。新しいやり方や知恵が共鳴しあってくる。これが大きな輪になって空気が変わってゆく。そんな社員が貴社にもおられるでしょう。人間は叱られたがり、褒められたがる動物。当たり前のことでも気をつけて褒めてあげて下さい。喜びますよ。