モウさんの社長指南「見栄、体裁、恥、外分を捨てる」(平成の松下村塾)実行力不足病の処方箋(139)
昨年9月に御嶽山が噴火し、箱根山周辺でも弱震が絶え間なく、4日朝4時過ぎも北海道で震度4の地震がありました。また、口永良部島では噴火が続き、地震大国ぶりをニュースは伝えています。昨今は30度超の真夏日が常態化し、筆者はこの高温続きが大地を物理的に膨張させ、いつ噴火が起きても不思議ではないと考えますが読者諸氏は如何でしょうか。東日本大震災以来価値観が変わり、経済や経営の潮目が変わりつつあります。その対応策を以前この欄でも述べましたが、その先頭に立つのが社長・後継者です。 株式会社カンサイ様のお得意様のご繁栄を願った、コラボレーションによる後継者スクールは、この4月で12年目となり、ちょうど100名の卒業生を輩出しました。関係者に深く感謝致しますと共に厚くお礼を申し上げます。卒業生から毎年数名が社長に就任し、すでに延べ27名が社長として活躍中です。毎回開会時に全員で当番リーダーのもと元気よく「目的」「受講心得」「スローガン」「後継者道」「求道心」の五つを唱和します。それぞれに項目がありこの「受講心得」の中にも五項目あります。その最初に「見栄、恥、体裁、外分(がいぶん)を捨てること」をうたっています。これまでの受講生の年齢は26歳から58歳までと幅広く、さらに企業規模や経験役職もそれぞれ異なります。共通しているのは12期生であるということだけです。後継者スクールは、経営原則、同族問題・マーケティング問題・労務問題・計数問題等について基本と事例から研鑽を積み、各自の悩みを解決する場です。肩書性別は一切関係ありません。受講生の呼び方も筆者とて講師として「○○さん」と呼んでいますし、受講生間でもそうなっています。この場は格好付けやうわべを飾ったり、実態以上に良く見せようとしたり、張りたいかもしれない見栄も不要です。見た目や様子、見られる感じを気にする必要もありません。面目や名誉も関係なく、大小の恥をかき合い認め合い学ぶ。「外分を捨てる」とは(外分=一つの線分の分点が、その線分内になくて、その延長上にあること=広辞苑)常識にとらわれることなく物事にも固執することなく、大きな視野と視点で考えよ、という意味です。この様なことを理解し、貪欲に学び合う。それぞれの立場で仕事の話をしながら問題提起や情報交換を通して、成長していきます。受講生が将来大きな決断をする時「見栄、体裁、恥、外分を捨てること」を思い出していただければ、道を拓く一助になると確信します。拡張は簡単なれども、撤退は大変という経営構造は変わりません。広大な用地の確保や最新鋭の設備機械の導入、矢継ぎ早な出店等で大量資金借り入れの返済が、同業の対抗策で収入が減少し思うにまかせなくなる。社員の大量退職や出店先の方針転換で撤退を余儀なくされ、返済の目途が立たなくなる。それだけに日頃の情報ルートや多様な人脈づくりが大事です。平成の松下村塾ではありませんが、その一助になれば幸いです。 学ぶとは、素になることであり、裸になることです。真似をすることであり、挑戦する事です。己の無知を知れば、得ることを知るのです。