会えば映画や美術舘の話で盛り上がる骨董屋の女性オーナーのお気に入り監督の本作DVDをお借りした。カウリスマキ監督はフィンランド人で小津監督のファンのせいか映画の終わりには日本語の歌が流れ日本酒と寿司が出てきてびっくり。「ウィスキー」という映画ももう若くない人々が主人公で苦い人生の中での希望が見えてくるものだったがこれも似た雰囲気で好きになった。
この映画の男は暴漢に襲われ全ての記憶を失ってしまう。病院が死んだとさじ投げたのに彼は病院を抜け出しコンテナで暮らす貧しいが親切な人の看病を受け回復する。とんでもなく悪い奴も出てくるのだが助けてくれた女性の夫が「人生は前にしか進まない」と言うのを聞く。過去の事をくよくよしていても始まらない。前進あるのみ。「今、ここにある幸せを」
主役の俳優はなかなか渋くていい。彼が出会った女性は恋を知らない地味な人だったがドンドン綺麗になっていく。この人カティ・オウティネンは2002年、カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞。映画自体もグランプリ受賞。パルムドック賞受賞!?アカデミー賞<外国語映画賞>ノミネート作品。こういう大人の映画っていいですね。ハリウッドの女優がよく若い役しかないと嘆くが誰だって若い時はほんの一瞬。
男は汚いコンテナを法外な家賃で生活を始める。綺麗に掃除する。仲間も手伝ってくれて女性を招くまでになる。じゃがイモを植える。職安に行くが名前ないのでは駄目だと断られる。人間は名前や肩書き頼って生きてる場合がある。とんでもない事件が又起こる。この男優さんもカンヌで主演男優賞取ってもいいのに。この監督の新作が公開される。