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2023年02月12日
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カテゴリ:音楽
月に10本まで、という日経電子版の無料会員である亭主、先月に続いて昨年12月の「私の履歴書」コーナーに登場したリッカルド・ムーティ氏の記事10本分をまとめて拝読。今回も「指揮者ムーティ」というフィルターを通して、クラシック音楽界について色々と考えさせられました。

10本の中で、特に気になったのがマリア・カラスを取り上げた第25回の記事。マリア・カラスと言えば20世紀を代表するオペラ歌手として、亭主の親の世代(昭和初期以前の生まれ)に強烈な印象を残したようです。この記事でもそうですが、今でも折りに触れて「伝説の歌姫(ディーバ)」として回想され、年配者に熱烈な崇拝者がいるクラシック音楽界のスーパースター。(ちなみに、彼女は1923年生まれとのことで、今年はちょうど生誕100年の記念の年に当たっています。)

亭主の親世代よりは大分遅れて来たムーティさん、記事の中で1974年、もう何年もオペラの舞台からは遠ざかっていた彼女に、ヴェルディの「マクベス夫人」の主役を演じてもらおうと連絡を試みたエピソードを紹介しています。彼曰く、「ヴェルディが言ったように『魂を込めて演じる女優』カラスの姿を見たかったのだ。」

調べてみると、マリア・カラスが歌手として活躍した期間は1950-60年代の10年ほどと短い上に、1977年にまだ53歳という若さで亡くなっており、このエピソードはその3年前と、彼女の晩年にあたります。レコード会社の知人を通してムーティの思いを伝え聴いたカラスは、彼に直接丁寧なお断りの電話を入れてきた、という予想通りの展開になってしまうわけですが、このエピソードに続けて、ムーティ氏は彼女が体現する「歌手としての姿勢」についての持論を展開しています。
彼女はオペラのリハーサル全てに立ち会ったという。自分の出番がないときでも劇場に顔を出し、オーケストラだけの練習も聴きに来ていた。スター性のある歌手には多忙のあまり、自分が歌うシーンがない稽古には来ない人が多い。「時代が変わった」「喉の負担は最小限にすべき」「だからマリア・カラスは歌手寿命が短かった」。そうかもしれない。だが、カラスはこうだったということを私は知ってほしい。
歌手への負担に対し、今ではさまざまな対策がとられている。長大な宗教曲、例えばヴェルディの「レクイエム」でペットボトルを持って舞台に上がるソリストがいる。私はそれがダメとはいわない。しかし、ほんの数十年前の歌手たちはペットボトルなしで見事に歌い切ったことも事実だ。民主主義が重視されるなら、ソリストだけでなく合唱団員も、さらにはオーケストラの楽員にもペットボトルをということにならないか。(日経電子版、2022年12月26日掲載)
これを読んで、何とも古めかしい精神主義を感じるのは亭主だけではないでしょう。それにしても、「民主主義」に敵意を持っていることまでカミングアウトしてしまったムーティさん、もう「怖いものなし」ということでしょうか(老害の典型?)。

そのような感覚の根っこには、いまだにクラシック音楽界に支配的な「芸術至上主義」、あるいはクラシック音楽(正典)の演奏を何か宗教儀礼のような神聖なものと考える権威主義(エリート主義)があるように見えます。

また、こうして記事を読み返してみると、ムーティ氏がなぜ日本をこよなく愛するかもよくわかります。日本で彼を取り囲むクラシック音楽界がまさにそのような世界だからなのでしょう。そして、このような内容の連鎖コラムを掲載している日本経済新聞も、やはり「オヤジ(おっさん)」が大好きな昭和レトロの世界観を共有するプロパガンダメディアであることを如実に示してしまった感があります。

興味深いことに、同種のコラムであるA新聞の「人生の贈りもの」で、同じ頃(11月)に連載された記事では、指揮者・井上道義さんがご自身のことを「古臭い芸術至上主義者」であると自覚した上で、自分はもう生き方を変えられないかからこのままで行く、と語っていました。同じクラシック音楽界の住人とはいえ、この自覚のあるなしには天と地ほどの違いがあると思われます。









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最終更新日  2023年02月12日 14時12分01秒
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