カテゴリ:ワイン
高いワインと安くてうまいワインは、それでも違うと思います。微妙な差異ですが。いわば、ヨーロッパ車と日本車の違いみたいなものです。最近のトヨタ車やホンダ車は大変グレードが高くて、いわゆる外車との間にたいした違いはありませんよね。でも、微妙な差異は厳然としてあるでしょう。仮にそれが、ある人にとっては、心理的差異に過ぎないとしても、それが差異であることに、実は変わりはありません。
まったく同じことが時計にも、洋服のブランド品にも、靴にも、ありとあらゆる商品に言えるでしょう。ワインも例外ではありません。その微妙な差異が、ある意味では、その商品そのものを成立させている厳然たる差異でもあるのですね。 ロマネ・コンティがそのいい例です。たかだかピノ・ノワールでできたワインと言えばそうでしょう。そうには違いありません。しかし、おそらく私たちは、それを飲むときは、ただピノ・ノワールでできたワインを飲むわけではない、そんな気がします。ロマネ・コンティという何か彼岸にも似た、究極の記号を飲むのでしょうね。飲んだことがないので、なんともいえませんが、でもなんか、飲んじゃったら世界が終わってしまうような、そんな気がどこかにあります。 昔、ロマネ・コンティのプリムールが60,000円で売りに出されたことがありました。どうしようか、ずいぶん悩みましたが、やめました。でも、思い直して、次の年に出たら買おうと決心しましたが、以後二度とそのセールはありませんでした。Rokku は、「買うな」というご託宣なのだと思っています。究極を手に入れてしまったら、その後、することがありませんから。究極は、究極のときに手に入れればいいと思いませんか。死ぬときということになりますが……。 さて、話が逸れてしまいましたが、いずれにせよ、高いワインは微妙な差異に値段の差が付けられているということです。買う方にしてみれば、その微細こそが価値なのですから、それに高いお金を払っていることになります。その記号性についてはもう説明しました。 しかし、よほどのことでもない限り、その微細だけを味わうには、いわゆる「高いワイン」は高すぎるでしょうね。もちろん、これは Rokku の考えです。正しいかどうかはわかりません。でも、せっかくのお金だから生かさなきゃ、Rokku はそう思います。 だから、「高いワイン」はあくまでレファランス(参考基準)なのです。その役割にある程度のお金を払ったら、その味をしっかり舌に秘めておいて、本丸はそれより安いワインを探すことです。たとえばレファランスが20,000円だったら、10,000円ぐらいのワインで同じぐらいのものを見つける楽しみ、という具合ですね。自分の舌に聞いてみて10,000円相当の5,000円ぐらいのワインや、5,000円相当の2,000円のワインを見つける、のです。1,000円以下でうまいワインを見つける楽しみも、なかなか捨てがたいです。安売りの酒屋にも、ときどき、とんでもない掘り出し物がありますしね。やめられませんよ、コレはコレで。 そのために絶対怠ってはならないこと。 それは、銘柄と買った値段を書き留めることです。すぐ忘れてしまいますから。細かいことなんかわからなくても構いません。点数はつけてもいいし、どちらでもいいです。ですが、後で読み返すときに、点がついていると思い出しやすいですし、何よりも記憶に残りやすくなり、結構覚えられるようになります、銘柄はもちろんのこと、味までも。だまされたと思って、ワープロでファイルを作ってみてください。それが一番のオススメです。 3,000円で10,000円相当の白ワインを見つけたことがあります。ただのリージョナル・ワインでしたから安かったのだと思いますが、コルクの状態は抜群で、すばらしい熟成感でした。よかったです。コクのあるブルゴーニュ白ワイン。いいでしょ? もっと買っときゃよかったと、本気で悔しがったワインの一例です。ものは何かですって? 言えません。また見つけて、数本自分の分を確保したら、それからお教えします。すみません、ケチで。 その代わり、ベルトラン・アンブロワーズ ブルゴーニュ・アリゴテ 2001年 (Bertrand Ambroise Bourgogne Aligoté 2001)をご紹介しましょう。アリゴテというのはブドウの種類で、最近は安い白ワインを出すためでしょうか、有名ドメーヌがこぞってこのブドウのワインを出しています。しかし、こんな安いのは見たことがありません。半額セールならではでしょう。1,250円ですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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