年末だか年始だかにテレビ朝日で放映された
スペシャルドラマ『白虎隊』を見ました。常日頃から武士らしく死ぬことばかり
次男にたたき込んでいる母親の屈折した愛情は
異様で不気味。
さすがに幕末の会津でも
ここまで極端ではなかったでしょう。
その母親を演じる薬師丸ひろ子、
息子を突き放す病弱な役柄の合わないこと。
阿川佐和子氏原作のドラマ『ウメ子』の母親役は
あんなに良かったのに。
彼女を語り部として描かれたドラマだったので
まずそこがとても残念です。
内館牧子の脚本もイマイチ。
時代背景を知らない人が見ても話を分かるようにするのが
歴史ドラマの一つの課題ではありますが、
いちいち登場人物のセリフに
幕末史の説明をくだくだと特に前編に盛り込んでいたのが
とても気になりました。
それを気にならない程度に
さりげなくセリフに入れるのが作り手の技だろうに。
同じテーマを扱った過去のドラマと
見た人なら比較してしまったことと思います。
確かわたしが小学生の時に放映された日テレの『白虎隊』。
白虎隊士だけでなく松平容保や西郷頼母、山本八重子など
脇役の描かれ方がもっと生き生きしていたと思います。
古い記憶なので今見たらどう思うかは分かりませんが。
それに西郷頼母の妻、娘、妹ら親戚の女たち、
一同の死に様には白虎隊士の切腹以上に衝撃を受けました。
小学生だったわたしは歴史ドラマの
ああいった無惨な死のシーンにショックを受け、
それを見た晩にはよく眠れなくなったことを覚えています。
テレビ東京12時間ドラマ『忠臣蔵』の大石主税の切腹シーン
(実際切腹のシーンはなく、
死を告げる役目の者の声が響き、
それを内蔵助が目をつむって聞く、というシーン。
内蔵助を松本幸四郎、主税を市川染五朗、
実際の親子が演じた)
あの時も眠れなかったなあ。
わたしが中学・高校時代にこういったドラマを見て
幕末をはじめとした日本史への情熱を抱いたように、
たとえ今回の『白虎隊』が駄作であったとしても、
山Pや田中聖くん目当てにこのドラマを見て、
白虎隊に興味を持ってくれる子供達がいたなら、
このドラマの意義は十二分にあったと思うのです。
だから今回のように
多少仕上がりが軽くなってしまったとしても、
こういった歴史ドラマは
いつまでも作り続けて欲しいと思います。
しかし會津士魂にはいつの時代になっても
敬意を表さねばなりません。
保科正之の時代から、藩をして常に将軍を守る地位にあると
200年もの間徹底的に教育され、
それを守り抜いたに過ぎない会津の民が、
賊軍であったはずは決してないと思うのです。