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Romance夢紀行

Romance夢紀行

LOVER AVENGED あらすじBDB#7(後編)

第42章 ラスとベスはジェーンに目を診察してもらいましたが、ハヴァースの診療所で脳の画像を取りたいと話します。ラスがズバリ話してほしいと言い、ジェーンは腫瘍が視神経を圧迫している可能性があるが、画像をみないとなんとも言えないと話します。画像の診断結果は自分だけに話すようにとラスは命令します。またグライメラとの会合は、急に王が欠席すれば、このところの政情不安から王の弱さと取られるため、予定変更は難しいと言い、ベスは心配しますが、ジェーンは症状次第と言います。

リヴェンジは室内にエレーナを招き入れると、台所で並んでピザを食べます。彼女が職を失ったのは自分のせいだから、君が他の仕事につくまで君自身とお父さんの面倒を見させてくれと話します。二人の間で綱引きがあり、助けてもらう代わりにエレーナは何らかの仕事についたら、借りたお金は返す、ということを譲らず、その条件で決着します。

寝室に連れて行ってもいいかと聞かれ、いいわというエレーナですが、自分からリヴェンジに何もお返しできておらず、彼を利用しているように感じると話します。リヴェンジは、利用されることには慣れているし、このことについては話したくない。寝室では、君と私だけでいたい。それ以外の世界にはもう疲れてしまったよとリヴェンジは言います。リヴェンジがコートを脱ぐと、その下にはまた素晴らしい仕立てのスーツを着ていて、エレーナは気がひけますが、君が何を着ていたとしても、美しいと真剣なまなざしで告げ、その瞬間エレーナは激しく恋に落ちました。目の前の彼はどこか繊細にみえて、彼が自分自身の面倒をみれることは十分にわかっているけれど、もしも彼を傷つけるような人がいたら、殺してやるわ。

第43章 エレーナはリヴェンジに血を飲んでと差し出しますが、リヴェンジが出来ないというので、もう一人の女性からももらったばかりなの? それとも没落した家の娘だから血が弱いと思っているの? と怒ります。そんなわけがないとリヴェンジは言い返しますが、証明してと詰め寄られます。本当のことを話したい気持ちが高まりますが、もしシンパスということがばれたら、母との約束を守るための隠ぺい工作が吹き飛んでしまいます。彼女のことを考えるなら、この関係に深入りすべきではなかったのに。断るつもりが、口を開くと次の瞬間には激しく噛みついていて、ヴァンパイアの本能が燃え上がり、ベッドのほうへ彼女を押しやり、激しく愛を交わします。彼の症状が改善されたのかもと無邪気に喜ぶエレーナをみて、リヴェンジは内心激しい自己嫌悪に陥ります。

第44章 ハヴァースの診療所で、ジェーンが画像を撮影し、診断します。診たところ脳腫瘍ではなさそうだけれど、典型的なヴァンパイアの状態がわからないので、ハヴァースの意見を聞きたいと言い、ラスは許可します。画像をみて、二人は長く話し合いをしますが、問題はないので、また症状が出たときに検査をしましょうということになります。ラスは何かにせかされるような気分で診察室を出ます。まるで残された時間が短いかのように。

ゼロサムに戻ったジョンは、クインとブレイと合流します。ゼロサムで仕事をしているプロの女性の元締めのマリー・テレーズに狙いをつけたジョンはクインと二人を相手をしてもらったらいくらかと聞きますが、お酒を飲んでおいた方が身のためだよと断られます。彼女の同僚と関係を持つのは止めて、と言われますが、ジョンは止まらず、どうしてもというならジーナに聞いてみてと言われます。彼女は二人の肘に腕を絡ませて、個室へ向かいます。

第45章 ゼックスは個室にむかった3人の後姿をみて、セキュリティカメラの設置してある部屋へ向かい、彼らが関係を持つのを目撃します。部屋から出てきた彼らを見かけると、ジョンは無感動な様子で会釈をしてきます。彼女の以前の恋人の悲惨な最後を考えて、ジョンを破滅から救ったつもりでしたが、自分が彼を押しやったことで、彼をなかの貴重ななにかを、無垢さを壊してしまったのだとわかります。

ラッシュの元にいたグレイディが自分が殺したクリッシーの葬儀の告知を新聞でみたらしく姿を消してしまい、監視につけていたレッサー二人、ミスターDが追いかけていったようです。

第46章 評議会への出席のため兄弟団と王が集まると、そこにトールが現れました。ラスに今日は残るようにと命令されますが、身に着けていたシグをVに向かって撃って顎髭をそり落とします。自分が兄弟団のなかで銃の腕前は一番だ。今日のような機会にはこういう腕も必要だ、と主張するとラスが笑い出し、誰からともなく円陣を組みます。ラスは兄弟団が再び元の姿に戻ったと感じます。

ゼックスがクリッシーの墓のそばに実体化すると、近くにはセダンで張り込みをしているホセ刑事のほかにレッサーや新顔のギャング団が近づいてくるのが感じられます。グレイディがその場に現れました。

第47章 評議会リーダーのリヴェンジによって今回の会場は選定されました。サルヴァトーレという人気イタリアン店で、リヴェンジの所有ですが、実のところ護衛のイアンによって経営されていました。開場の個室にはラスと兄弟団が到着していて、入口とラスの間には兄弟団が隙間なく並んで、不審者の突然の襲撃に備えていました。ラスを守るため、評議員たちは店の前で実体化して、一名づつイアンにエスコートされて入室してくる段取りです。

第48章 ゼックスはホセ刑事の頭の中にここから立ち去るよう指示を書き込むと、グレイディがやってくるのを待ち受けます。ゼックスは手に持ったナイフで彼に切りつけ、傷を抑えた手をさけて足首を折り身動きできなくして腿を切り落とし、クリッシーのお墓のそばに引きずっていきます。私がこの場を離れる前にお前は死ぬ。

ラスの待つ部屋にサクソンという貴族的な風貌の若い男が案内されてきました。暗殺されたモントラーグからの手紙を預かっているということ、評議員の他のメンバーは今日は来ないと言います。Vがラスの指示で文章を読み、硬い表情で手紙をたたんで身に着けると、この内容はお前やお前を送り込んできた人物は見たか詰問します。嘘をついた気配や、騙している雰囲気もなく、誰も読んでいないと証言します。ラスは事態が良くなる前には悪くなる。お前は一度ライオンの口の中へ送り出されたのだから、同じところにいればまた繰り返されるぞ。転職しろと助言します。それでは、陛下が顧問弁護士がご入用の際はぜひ御申しつけください、と言って退出します。

第49章 ラッシュがクリッシーの墓へ向かうと、絶叫が聞こえてきます。現地に着くと血まみれで瀕死のグレイディとゼックスがいました。その場をみてゼックスがシンパスだとわかるラッシュ。ゼックスのやり口をみて彼女に魅了されるラッシュですが、ゼックスは非実体化してしまいます。

評議会に届けられた手紙の内容が外部に漏れたら、母との約束は叶わなくなってしまうため、手紙の原本をモントラーグの邸宅もしくはモントラーグの誰かわからない後継から取り戻すことをリヴェンジは固く決意します。

第50章 エレーナは誰かにつけられているような気がして、不安に駆られながらスーパーからタクシーで帰宅すると、長身の女性が現れました。ペントハウスにあなたたちが一緒にいるのをみたわ。私はリヴェンジの半身で、彼は私のもの。あなたは彼のことを何も知らないのよ。彼と私はシンパスなの。ゼロサムという店を知ってる? 彼は人間の女性や薬をそこで売っているの。店を訪ねていったら? エレーナはリヴェンジに電話をかけましたが、留守電に切り替わってしまいました。

ラスが兄弟団たちと帰宅するとベスが駆け寄ってきました。兄弟団たちは改めて王を囲んで忠誠を新たにしていました。ラスは書斎でベスと愛を交わした後、評議会であったことは自分自身ではなくリヴェンジに関係することだと話します。ベスにリヴェンジの秘密を話すとベラに秘密を持たなければならなくなるため、ラスは話したくありませんでしたが、ベスは知らなくていいと言い、ラスはほっとします。

ベスが食べ物を取りに行くと、入れ替わりにVがやってきて、24時間以内にリヴェンジをシンパスの居住地に連行するか、さもなければグライメラに彼の隠していたことを暴露するぞというメールがきたそうです。急いでリヴェンジに連絡して、メールを調査しろと指示します。

第51章 ゼックスは血まみれの両手をポケットに突っ込み、ゼロサムの裏口から入り、リヴの部屋のシャワールームに直行して鍵をかけ、刃物は水につけ、身体の血を洗い流しながら、霊安室でみた何時間も痛めつけられたクリッシーの顔を思い出し、報いは受けさせてやったと考え、彼女を悼んで涙します。身体を拭いていると、リヴが現れました。今夜の評議会は、メンバーは現れなかったが、育ての父のとんでもない書類が現れたから他にもないかモントラーグの家にいって確認してくると言います。その血はどうした、グレイディか。いいぞ。

リヴェンジが携帯の電源を切っていたことに気付き、着信をみて動揺します。ゼックスが注意を惹かれてリヴェンジに意識を向けると彼の匂いが変わっていることに気付きます。誰から血を飲んだの? 肩をすくめたリヴェンジをみて、真剣な相手なんだとゼックスはわかります。相手は誰なんだろう、それに彼のことをどれくらい知っているんだろう。

Vから脅迫について連絡があり、リヴェンジはいままでの人生は終わった、と感じます。自分が愛した人たちを守るために、物事を正さなくては。

第52章 トールがビリヤード室で体重を増やすためにミルクシェイクを飲み、ジョンを心配していると、クイン、ブレイ、ジョンが戻ってきました。ジョンは硬い表情で首筋に引っかき傷をつけ、ジャックダニエルと女の匂いがしました。何があったんだ、数日前にベッドに付き添ってくれた子が何百年も年を取ってしまったようだ。家に帰ってこないから心配していたんだぞとトールが声をかけると、ここは家庭じゃない、居場所が必要だからここにいる、と手話で話すと、返事も待たずに階段を登っていってしまいます。

ジョンを追いかけていく途中で書斎を通ると、中から攻撃を受けたような大きな音がしたため、トールは驚いて扉をあけるとラスが机の上の書類やその他のものすべてを押しやったような惨状で、「電気をつけろ!」と取り乱して叫びます。

ラッシュには資金が必要でした。ミスターDが現金を詰め込んだバッグを持ってきます。リヴェンジは俺が殺る。近々、借りを取り立てにゼロサムに行かねば。

第53章 ホセ刑事がクリッシーの墓地に着くと、黄色いテープが張り巡らされ、捜査員によって写真や証拠採取が行われていました。発見者は墓地の管理人だったそうです。切り口をみて、プロの仕事だなとホセ刑事は思います。そして現場の足跡の一つは間違いなく女性のものだ。

ラスは部屋でベスに付き添われていました。視界が真っ暗になってしまったようです。急いでハヴァーズをジェーンが迎えにいっていて、こちらに向かっているとトールが報告します。ラスはVに、これがお前がみた予知の場面じゃないか、と聞くとVはその通りだと認めます。ハヴァースが手元のライトでラスの目をチェックして、この検査は終わりましたと告げます。次は何をするんだ、と聞きますが沈黙が返ってきます。Vの予言は・・・外れない。

第54章 エレーナは心ここにあらずで父親の薬をつぶしジュースに混ぜます。リヴェンジからは9時に迎えの車を送る、申し訳ない。というボイスメッセージが送られてきただけでした。声が違う言語を話しているような感じで不安にかられます。

トレズがベントレーで迎えにきて、エレーナをゼロサムに連れて行きます。ここは彼が見せたくないと思っていた場所なんだわ。彼がシンパスだとすると、私はシンパスと交わってしまったの? 入りたくない、と思いますが、ゼックスやイアンが店から出てきて彼が待っていますと声をかけると、エレーナは今まで難しい事態に直面しても逃げ出したことはなかったと、エスコートされて店の奥に進みます。リヴェンジはいつも通り毛皮をまとって奥の部屋で待っていましたが、エレーナはゼックスにあなたが護衛なら私と一緒にいてほしいと頼み、リヴェンジのことを嫌悪の眼差しでみます。

リヴェンジの机の上には大量の現金とコカインが積まれていて、エレーナは何の仕事をしているのかを聞いた時に、事業が合法かどうかも確認すればよかったと言います。リヴェンジは彼女と会える最後の機会と思い、彼女の姿を心に焼き付けています。君に会いに行ったのは、私の半分血のつながった妹で、彼女が言ったことは本当だ。エレーナは、二度と私に連絡を取ったりしないで。家に帰るわといって部屋を出ていきます。

完全に俺は破滅した。母が亡くなって2日経っていないというのに、ベラはさらに兄を失うのか・・・。自分が墓に入るまえに、一つだけ確かなことがある。プリンセスは報いを受けてもらわないと。彼に対して行ったことに対してではなく、彼の大切な女にちょっかいを出した罪で。もし殺されたとしても、彼女の首は切り落としてやる。

第55章 エレーナはベントレーでトレズに自宅まで送ってもらいますが、リヴは理由なしには行動しないと助言されます。家に入ると、このことをどうやって乗り切ればいいのかわからないとエレーナは途方にくれます。

リヴェンジは事務所で何か書類を作っているようでしたが、ゼックスは話を聞くうちに、彼女を財政的に支援する作業をしているのではないかと思います。

ホセ刑事がゼロワンに事情聴取にやってきます。犯人が遺体で発見されました。切り取られた局部を口につっこまれた形で。私はあなたが手を下したと思っています。霊安室にいたときのあなたの表情を私は見ているんですよ。復讐心が見えました。我々に任せてくださいと言ったでしょう、早めに弁護士を雇うことをおすすめしますとゼックスにいって帰っていきました。

第56章 リヴェンジは手紙を何枚かかきあげ、サインをし、イアンを呼びます。16時までに店を空にしてほしいということ、特にゼックスは何をしてもいいから間違いなくこのことから引き離しておくように指示します。たぶんしばらくは荒れるはずだが、手が付けられなくなったら誓約を思い出せと言ってくれ。ゼックスは頼みがあると言われて、プリンセスの暗殺か、エレーナの保護かと思ったと思うが、彼女自身を守るようにとリヴの手紙には書かれているようです。イアンは手のひらを切り、リヴェンジと固い握手と抱擁を交わし、お前を誇りに思う、といって振り向かずに部屋を出ていきました。

リヴェンジはベラに電話をすると、愛しているよと告げます。優しいのね、私もお母さまが亡くなって寂しいわとベラが言うと、後ろでナーラが泣き始めたため、リヴェンジはお前が小さいころ歌ってあげた古い神話の歌を覚えているかい? と問いかけます。彼が電話越しにナーラに歌ってあげると、歌い終わるころにナーラは眠ってしまいました。ベラは何でいままでこの曲を思い出さなかったのかしら、これからはこの歌を歌ってあげることにするわと言います。ベラ、身体を大切に。ナーラや連れ合いを大切にするんだぞ、と言って電話を切ります。

リヴェンジはゼロワンを作りあげる際に、設計の段階で建物の土台に仕込んであったしかけがありました。そしてイアンしか知らないことですがリヴェンジのベッドの下には背格好の似た骨がずっと置かれていました。リヴェンジは17時になって店を確認してまわり、店のまわりの道路、裏口などを念入りにチェックし、気配がないことを確認して、店を爆破します。

第57章 エレーナの家に弁護士のサクソンが現れます。彼は、先日殺されたモントラーグが後継者や近親がなく、血統をさかのぼった結果、エレーナの父が一番近い血族ということになり、財産を受け継ぐことになったという知らせと、書類を持ってました。エレーナの父にお会いしたいと言われますが、彼は闘病中で、私が後見人として認可を受けていますといい、血統を証明する書類などをサクソンに確認してもらいます。失礼ですが、父上は遺言書を作成されていますか、と聞かれ母が亡くなって身内は私ひとりのため特段作っていませんというと、ぜひ私をご用命くださいとサクソンが申し出ます。あなたを雇う余裕などないというと、今後今回の継承について王の裁可が降りれば、父上が引き継がれる不動産やその他の資産などを後見人としてお父様のために使っていただけるようになりますので、そこから十二分にお支払いいただけると思いますと助言されます。

完全に失明したラスは、ごくうっすらとでも見えていた視力にどれだけ頼っていたのかと実感します。一人にしてくれ、といって書の聖母のところへ向かいます。自分が失明したのは勝手に戦闘に出た罰なのですかと聞くと、聖母は違います、聞きたいことがそれだけなら、私のことはそっとしておいてと、いなくなってしまいます。新しい気配がそばに来て、ラスは反射的にファイティングポーズをとりますが、ラスの子ラスよと呼びかける女性の声が聞こえ、君は誰だと聞くとパインという返事がきます。警戒を解くと、突然殴り倒されました。取っ組み合いのけんかになりますが、しまいには彼女の笑い声が聞こえてきて、相手は楽しんでいることがわかります。すぐにまた来る?と聞かれて、ラスはわからないと応えます。こんなに楽しかったことは…長い間なかったから、とパインが言います。君は誰なんだと改めてラスは聞きますが、彼女は私のことを持て余しているとだけ言っておきましょう、と言います。また来る、というとすぐにね、といって彼女は離れていきます。

彼はパインに痛めつけられた足や顔の痛みをどこか歓迎する気持ちになっていました。失明しても今までの自分がなくなるわけじゃない。死んだわけじゃない。館に戻り、みんなが集まる食堂へいくと、怪我に驚かれ心配されます。ラスは新しい友達が出来たんだと説明し、食事を持ってきてくれと頼みます。

第58章 ラッシュはマンハッタンでの散財と女遊びを数日楽しみ、シンパスの居留地へ向かいます。王と二人で話していると、そこにリヴェンジが現れ、「プリンセス、何を企んでいるんだ」と声をかけてきます。ラッシュは改めて相手をみると、今まで見えていた風景が違うように見え、男性だと思っていた相手が女性に見えてきました。もともとラッシュはリヴェンジを殺そうと考えていたので、すぐに銃を取り出して撃とうとしますが、殺してほしいのは彼じゃない!といってプリンセスがラッシュに飛びつきます。二人が武器をめぐってもみ合っている間、リヴェンジは冷めた気分で観戦していましたが、彼の中のシンパスの部分がそそのかしてきて、もみ合ってるプリンセスの後ろから彼女の首を羽交い絞めにして、彼の身体の前に弾避けとして置きます。

そこにシンパスの攻撃隊列を組んだ数人のグループが現れます。中心になっているのはシンパスの王であるリヴェンジの叔父で、護衛たちが囲んでいます。リヴェンジがしばらくぶりにみる王は少し老けたようでした。お帰り、わが甥よ、そしてようこそ客人。正式に紹介されていないが、彼がここで何をしようとしているかわかっている。大切な女子よ、お前が毎月兄をここに呼んで何をしていたか知らないとでも思ったか。何を企んでいるか、知らないとでも思ったか。レッサーに関する企みは一切看過できない。お前には失望させられたから、後継については再考することにする。お前への寵愛の気持ちは変わらないが、私への不敬と不服従の罰として、お前の望むものを奪うことにしよう。リヴェンジが気づいた瞬間には王の護衛がそばに音もなく近づいていて、剣で頭の右側をなぎ、次の瞬間なにもわからなくなっていました。

第59章 エレーナは眠る父の様子を何度も見にいって、モントラーグのこと、血統のこと聞きたいと思いつつ、必要なことはもうサクソンの書類にあったのだと思い、起こすのを思いとどまっています。職探しをしないとと思い、コードウェル・クーリエ・ジャーナルのサイトにアクセスすると、ゼロサムが火災というトップニュースが表示され、おそらく麻薬に関する闘争で、生存者はゼロだろうと報道されていて、ショックを受けます。確かにもう2度と会わないと決めた人だけど、一度は愛した人だから死んでほしいと思ったことはないと、呆然とします。その後ベッドに入りますが、幸せだった昔の家族の家のことを思い出しても、眠れる気がしません。彼が優しくしてくれたこと、絆の香りが思い出され、涙が止まらなくなりましたが、しばらくすると腹の底からリヴェンジは死んでいない、と不思議な確信がわきあがってきます。

ラスが書斎でデスクに座り、ペンを手探りで探すのを、ベスは忍耐強く見守っています。しまいにベスを膝に座らせ、必要な書類仕事を手伝ってもらいます。最後の書類はモントラーグの遺産相続の件でした。エレーナって、ハヴァースの診療所でフューリーの手術のときに親切にしてくれた看護婦さんだわ。彼らはモントラーグを100年以上交流がなく、貧困にあえいでいますという弁護士のサクソンの添え状もついてる。ラスは、本来は王の暗殺を企てた罪でモントラーグの遺産は王に没収されるところだが、悪い行いから良いことが生まれれば、悪人が墓の中で身もだえるだろう。承認しよう、と決断し、ベスはそんなあなたを愛しているわと伝えます。Vがやってきて「リヴェンジが死んだ」と報告します。彼がいたときにゼロサムが爆破されたらしい。ラスはベラは知っているのかと聞くと、まだだ、とVが言います。

第60章 ジョンが自室で目覚めると二日酔いで酷い気分でしたが、悲鳴が聞こえ、銃を片手に飛びおきると部屋を飛び出し途中でクインたちと合流します。声の方向へ向かうと、ザディストとベラの部屋の前で兄弟たちが集まって視界を遮っていますが、中からベラの「いや!」という叫びと嗚咽が聞こえてきます。ジョンはトールに何があったんですかと聞くと、リヴェンジが死んだ、と教えられます。ウェルシーが亡くなった時に、兄弟団たちがトールに妻の死を宣告したときの気持ちを思い出し、ベラに強い同情を感じます。トールに視線をやると後悔の籠ったまなざしでジョンのことを見ていましたが、ジョンは自分は子供じゃないんだからと自室に戻り、自分は何もしてあげられないが、ゼックスはさぞ心を痛めているだろうと思います。

ゼックスはイアン、トレズと一緒にハドソンリバー沿いの家にいましたが、お前が助けに来ようとしたら、どういう理由であっても、自分から居留地を出ることはないというリヴからの手紙によって身動きが取れないでいました。イアンはレストラン、トレズはプロの女性たちの派遣元、ゼックスはお金という具合にそれぞれ生活が立ちゆくように、彼の邸宅等はベラの娘ナーラが相続するようリヴは手配していました。

第61章 リヴェンジが両肩の燃えるような痛みに目覚めると、洞窟の壁から全裸で壁から両腕を吊られた状態でした。周囲にはサソリや蜘蛛などがうようよしています。ドーパミンは完全に切れていて、おそらく居留地内と思われますが、シンパスの力で人の気配を探しても外界とは遮断されているようです。しばらくすると王がやってきました。自分は兄が嫌いだったから、よく殺してくれた。お前を見習って、わたしも血族を減らすことにする。プリンセス? お前が生きて王の手元にいる、ということが彼女への一番の罰だと思うから、彼女はふさわしい場所へ送った。それがお前がまだ生きている理由だ。私の配下達がお前の面倒をよくみてくれるだろうと言って出ていくと、昆虫たちが鎖を伝って、足元からリヴの身体へ這い上がり、穴という穴に入り込もうとしてきます。リヴは身体をよじり、振り払おうとしますが・・・

プリンセスは、ラッシュの部屋のベッドに両手両足を大きく開かれた状態で裸で鎖でつながれていました。シンパスの王からラッシュへの贈り物でした。鎖から放してくれたら、もっとよい気持ちにさせてあげる、と言いますが、ラッシュはどちらにしてもお前はいい気持ちにさせてくれるとわかっていると取り合いません。プリンセスのことは壊すまでヤルが、飽きたらヴァンパイア探し器になってもらう。

第62章 ひと月後。エレーナは新しい邸宅で新生活を始めていました。ドゲンたちに申し訳ないほどよく世話をしてもらい、父の看護にはルーシーを泊まり込みでお願いすることになりました。父が新しい環境へ適応できるか心配しましたが、かえって以前よりも精神状態がよくなっています。邸宅内に開けることができない貸金庫があり、業者に開けてもらうよう依頼していますが、大がかりな工事になりそうです。鍵があればもっと楽になるということで、一緒にアンティークの机を探索してみると、隠し引き出しが見つかり、そこからまた鍵のない箱がでてきました。新しい生活は夢のようですが、もしかしたら間違いでした、と突然言われてしまうかもという不安から、必要最低限以上の金額を引き出す気になれず、エレーナは以前のままの服を着たりしています。コードウェル・クーリエ・ジャーナルでのゼロサムの爆破記事を眺めていて、あそこで会ったゼックスの別れ際の非難がぐるぐると頭のなかを周りはじめました。「彼は私のために、彼の母親のために、妹のために泥をかぶってきた。自分が彼に勿体ないって? そんなあんたは、どんな上等な人間なの? 」

病院のカルテにこっそりログインすると、リヴェンジの過去の医療記録は長年ドーパミンを処方されてきていますが、20数年前のことからでした。そして最近亡くなった母親については特段目立った記載はなく、過去をさかのぼると、手術の備考にフットボール選手など肉体を酷使するタイプの人にみられる慢性的疾患の記述があり、23年ほど前からあざ、骨折、脳震盪の記録が出てきました。これはドメスティックバイオレンスの典型例では。毎回リヴェンジが付き添って来院していたので、おそらく彼女の夫が。そして最後の診察記録をみると、その回だけが娘のベラが付き添ってきたとの記載があり、日付をみて符号が一致しました。母親の最後の怪我の日に、彼女の夫ランプーンの記録を確認すると同じ日に亡くなっていました。リヴェンジがドーパミンを必要とするようになったのはそのころからです。ゼックスの言葉から考えると、リヴェンジは虐待されていた母を守るため、父を殺したのかもしれない。

ベラは兄の死をなんとか乗り越えようとしていて、メンバーたちは彼女を一人にしないように気遣い、ザディストを少しの間だけでも休ませられるようにしているようです。ラスは脅迫のメールが入ってすぐに起こったタイミングとリヴェンジの護衛たちの力量を考え、ひょっとしたらリヴェンジは生きているのではないかと疑いを持っています。そこへメアリがジョージというレトリバーの盲導犬を連れてやってきました。とまどうラスに、しばらく相性を試してみたらどうかしら、と提案します。こんなことができるだろうか、盲人になれるか自信がないと尻込みするラスに、あなたは盲人なの、ときっぱりいうメアリ。ラスはジョージと一緒なら、自分自身で動き回れる範囲が広がるかもと思い、受け入れてみることにします。

第63章 エレーナが貸金庫を工事の末に開けてもらうと、たくさんの現金や財務諸表、調査書などがおさめられていて、モントラーグはゆすりやだったんだとエレーナは思います。そして資料を読み込んでいくと、なんと彼女をスキャンダルに陥れたのは、モントラーグの父とその息子だったことがわかります。カルマは廻る。鍵の閉まった箱にはおそらく汚い秘密が詰まってる。彼女が見つけた鍵で開けてみると、そこにはリヴェンジが父を殺した証拠書類が入っていました。メイドがお茶でもいかがですかと入ってきたので、モントラーグはどうやって死んだのとエレーナが尋ねると、昔の主で、死者を悪く言うことはできませんが、奥様はこのお屋敷の当主であられますので、といって話してくれます。

ゼックスはゼロサムで勤務していたときのように、アイロンマスクで護衛の任務についていました。ただしこの店は黒と深い青を使ったヴィクトリア朝の雰囲気でまとめられているようです。客層は違っていて少し居心地の悪さを感じています。グレイディの件でもう2回事情聴取に警察署に呼ばれていますが、当日の服は処分し、ナイフはどこでも買えるものののため、確実な証拠は得られないと踏んでいて、もしものときは違う地域に動いてもいいし、いっそ地下に潜ってもよい。でも今はリヴが心配でコードウェルを離れられない気持ちでいます。閉店時間になり、残っている客を追い出そうと男子トイレを見回ると、数人でお楽しみの最中です。閉店時間ですと声をかけると女の子、クイン、そしてジョンが出てきます。酒の匂いをただよわせていて、思わず、人生を無駄にするな。と声を掛けますが無感動に見返されただけです。ジョン、本当に申し訳なかった、とゼックスは言いますが、ジョンは中指を立てて出て行ってしまいます。ゼックスが持っていたリヴェンジの携帯あてにエレーナから連絡が入ります。リヴェンジは死んでいないんでしょう?

第64章 彼は死んでいないんでしょう? 彼の養父が母を虐待していたから彼は殺したけど、養父はリヴがシンパスだと知っていた。モントラーグと息子のレムも知っていたということを私は知っていて、モントラーグは自分の書斎で惨殺された。たぶんモントラーグが彼がシンパスだとバラそうとして殺すしかなくなったんじゃないかしらとゼックスにエレーナの推測をはなします。ゼックスは、モントラーグを殺したのは私。そして理由はリヴのことだけじゃなく、もっと深刻な事情があるけれど、それはそっとしておこうと言います。

エレーナは会って話し合いたいと提案すると、ゼックスがやってきます。この書斎で何があったか知っていて私を招き入れるなんて勇気があるね。ちなみに私もシンパスだから。エレーナはあなたの気性からして、どうしてリヴのもとに駆けつけていないのか不思議なんだけどというと、自分自身を守るという誓約をリヴとしてしまって、もしも自分が居留地に向かえば、リヴの親友の二人も私を守るために居留地へ来ることになり、道連れになってしまうから何もできないでいると話します。エレーナにリヴの手紙を見せてくれ、これまでリヴェンジがやったこと、プリンセスの脅迫、毎月の訪問などの事情をすべて話し、エレーナは静かに耳を傾けました。エレーナは、居留地にいって私が彼を助ける。私に付き添って居留地に行くという形なら誓約に抵触しないんじゃない? と提案します。もしも行くのであれば、私の指示にすべて従ってもらうよ、とゼックスに言われ、エレーナはわかったわといいます。

第65章 ラスが書斎でジョージといると、エレーナとゼックスがやってきます。人払いをして話を聞くと、リヴェンジが居留地に囚われているので助けてほしいという願いでした。ゼックスは遠回しに命の借りを返すように、と迫ります。ラスはシンパスは確かに王の委任のもとで居留地を支配しているが、暴力的な手段抜きでは助け出せないだろうと考え、兄弟団を呼び入れます。全体を2班に分け、ゼックスとV、Zが1班、レイジ、ブッチたちがバックアップです。エレーナはメンバーに入っていませんでしたが、私のシェランを助けるためですから、と主張し、ベラもリヴェンジと最後に話したときあなたのことを大切に感じているとわかったの。連れて行ってあげてと口添えしてくれ、奪還作戦に参加できることになります。

作戦は明日の夜実行、ということになり、エレーナとゼックスはそれまでこの屋敷で待機するようにと指示されます。ゼックスがベッドに横たわり眠れないでいると、ジョンが入ってきました。明日のあとお互い生きていられるかわからない、という気持ちで受け入れますが、思いやりのない行為で、彼だけが4回絶頂を得て、黙って去っていきました。ゼックスの目からは静かに涙が流れ、何時間も止まりませんでした。

第66章 ラッシュがねぐらに帰ってくると、監視につけていたレッサーたちが死体になっていてプリンセスは消えていました。俺の女はどこにいるんだ、逃げられると思うなよ。

第67章 エレーナたちは居留地近くに実体化すると、そこにはラッシュがいました。彼は死んだはずなのにと驚くVたち。計画を変更し、バックアップのメンバーも呼び寄せ、ゼックスとエレーナ、V、Zがこっそり潜入してリヴェンジを奪還し、残りのメンバーがラッシュとレッサー達を食い止める、という段取りになります。
 
ラッシュが兄弟団たちを攻撃すると、その場にドラゴンが出現します。ドラゴンは火を噴き、レッサーたちを燃やしますが、ラッシュだけはダメージを受けません。

第68~70章 地下に張り巡らされたシンパスの迷宮をゼックスは迷いなく進みます。途中三差路に行き当たり、ゼックスは左を選ぼうとしますが、エレーナは真ん中よ、ここからリヴェンジの気配がすると主張します。ゼックスは彼の気配を全く感じませんでしたが、エレーナが直近に彼に血を与えているので、そちらに進みます。その奥は洞窟になっていました。リヴェンジがいるわ!とエレーナが言い、ゼックス、Vが進んでいきますが、何もみえず、壁にはなにか蠢めいています。次第に蠢いているのはサソリや蜘蛛だということがわかり、リヴェンジにまとわりついているのだとわかります。Vが手袋を外し、手から光が放たれると、光の当たった部分には虫がいなくなりますが、リヴェンジを吊るしている鎖を伝って天井からどんどんと虫が降りてきてしまいます。エレーナがVからライター借り、スプレー式の薬とライター、そしてありったけの痛み止め、抗ウィルス薬を持って、リヴェンジに近づいていきます。リヴェンジのごく近くまでいくと、スプレーを噴射しながらライターに火をつけ、虫を焼き切り、なんとかゼックスとZがリヴェンジを下します。リヴェンジはエレーナの声が聞こえたような気がしましたが、今まで彼女との思い出にすがって生き延びてきたので夢が続いているのかもしれないと思っていました。

そこに青い血を身体にしたたらせたプリンセスがやってきました。夫でもあり叔父でもある王を殺して、リヴェンジを自分のものにするためにきたようです。お前は私のものよ! と宣言しますが、そこにラッシュもやってきて、自分の女が、リヴェンジのことを愛しむ目でみているのを目撃し、腐れアマ!と罵倒します。すると目の前でゼックスがプリンセスの胸に銃弾を4発打ち込みます。ラッシュは復讐のため混乱の中こっそりとゼックスをその場から連れ去ります。

洞窟にシンパスたちが集まってきました。リヴェンジはシンパスの王の命令で自分を殺しに来たのかと思いますが、プリンセスが王を殺したことで、王座が空席となり、リヴェンジがシンパスたちにより王に選ばれたようです。シンパスの精神は共同体のようで、その意思を王が司ります。事態を察したプリンセスが王座は私のものよ! 彼は私のものよ! と叫ぶと、リヴェンジは私の崇める女王はエレーナだと宣言します。ショックをうけたプリンセスは自分自身に剣を柄まで突き刺しますが、リヴェンジは洞窟にいた虫たちを操り、彼女を生きたまま喰わせます。シンパスたちが静かに去っていきます。

第71章 身を縮めて毛布を身体に巻きつけたリヴェンジを膝に抱き、エレーナは兄弟団の運転するエスカレードに乗っていました。レイジは気分が悪い様子で、何度か車を停めてもらって吐いており、ブッチは甘い匂いを漂わせていて、トールメントはもう一台を運転していました。

ゼックスが気が付くといなくなっていたことにエレーナは気が付き、心配しています。身じろぎしたリヴェンジはなんで助けにきたんだ、というとエレーナは私の心に従ったのよ、と言います。私は君に値しない男だ、というとエレーナは助けてもらうのに値しない人なんていないわ、あなたはお母様や妹を守ったように、私をこのゴタゴタから守りたかったんでしょう。と言い、リヴェンジは赤い涙を静かに流します。

リヴェンジの体温が下がり、薬の効きも悪く、体調に危うさを感じたエレーナは、私の血を飲んで欲しいといいます。リヴェンジは君の血に値しないと遠慮しようとしますが、それは私に判断させてといい、リヴェンジは身体の欲求に屈し、血をのむごとに回復していきました。

第72章 エレーナは寝室で目覚めるとリヴェンジが隣にいて、自然に愛を交わしました。リヴェンジは今後どこでどうやって生きていくのか考えないとなりませんが、エレナはずっと一緒だといい、リヴェンジも君と離れられそうにないと話します。身ぎれいにして、ベラに会いに行きます。

ベラは育児室にいて、泣いているナーラを抱っこして歩き回っていました。お兄様は知らない人みたいだわ。私は何も知らないままでいたのねと責めると、母上も私も口にしづらいことなんだ。リヴェンジは遠慮がちに距離をとって話しはじめます。私が生まれたことで母上にも、お前にも申し訳ないことをした、というと悪いのはお兄様じゃないわ、お母さまもあなたのことを愛していたわ。とベラが言ってくれ、抱きしめあいます。言葉にならない思いで、小さな声で古語の歌を口ずさんでいると、ナーラは家族に囲まれぐっすりと眠っていました。

第73章 ジョンはゼックスが使っていたベッドでここであったことを思い出していました。彼女の血を飲んでいれば、どこにいるかわかったし、生きているかどうかせめてわかったのにと悔やんでいます。ゼックスの行方がわからないと判明して、リヴェンジは今晩にでもコロニーに戻り、現地を捜索するつもりのようですが、ジョンはゼックスはおそらくラッシュに攫われたのだろうと考えています。

クインとブレイは放っておいてくれと頼んでもどうせついてくるだろうから、自分と兄弟たちでラッシュを狩りだしてやる。彼女がどう思おうが、彼女は俺の女だ。自分の伴侶が苦しんでいるかもしれないのに、座ってなんかいられない。彼女のために復讐する。彼女を家に連れてかえり、彼女を連れ去ったやつに報いをうけさせ、地獄へ送ってやる。

第74章 ラスは書斎に父の唯一の遺品である王座と、対になったデスクを兄弟たちに運び込んでもらいます。襲撃したレッサーたちに売り払われたものを、ダリウスが探し出して買い戻してくれていました。この椅子に腰かけ、この机で執務をしていた父の姿をラスは思い出すことができます。この椅子には、古語で一族を導くものの席と刻印がされていて、この席で執務することが正しいことに感じられます。

リヴェンジとエレーナが書斎にやってきて、ラスとベスを残して退出します。ラスもゼックスのことを心配して、兄弟団も全面的に協力すると申し出ます。リヴェンジはその件と後継の件も含め、一人で居留地に行くつもりだと話すと、ラスはリヴェンジにシンパスの王として登極してほしいと頼みます。ラッシュやレッサーたちが果たしてシンパスたちと何を企んでいたのか、お前なら信用できると話します。リヴェンジは今まで即位のことなど考えたこともなく、統治に興味もなかったので、戸惑います。ラスは自分自身が望んでの即位ではなかったため、彼の心中がよくわかります。傍らにシェランがいれば、しっかりと支えてくれると話し、リヴェンジもエレーナがいま心の支えになってくれているのを感じ、それを実感しています。リヴェンジは、居留地には君は今後も足を踏み入れないでほしい、それに統治については本当に醜い事態になるだろう、それでもいいだろうか、よく考えてほしいとエレーナに尋ねますが、エレーナはいいわと即答します。何があってもあなたは善良な男性で、そのうち証拠が積み重なってそれを証明してくれるはず。リヴェンジはエレーナを腕の中に抱きよせ、世界が幾分明るく感じられるようになったと思います。あとはゼックスさえ取り戻せれば・・・

エレーナがリヴの胸に顔を預けると、リヴはラスに視線を向け、ラスはベスの横でその視線を感じ取ったようにリヴをみました。ここにいる王たちと伴侶は、それぞれのことをお互いほとんど知らず、それぞれがほとんど違うにもかかわらず、この惑星の誰よりも、お互いに連帯を感じている瞬間でした。彼らは玉座に孤独に座す統治者でした。ラスが、人生は栄誉あるトラウマだなというと、リヴェンジは以前なら”栄誉”の部分を省いたかもしれないと思いますが、本当にその通りと同意します。(終) 

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