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2010年03月08日
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カテゴリ:旅日記
ボルゲーゼ美術館はローマにある名門貴族のプライベートコレクションです。

初めてローマを訪れた時に足を運んだのですが完全予約制の上入場制限があり
2時間ごとに入館者の入れ替えがあるためあまりゆっくり観られませんでした。
あれだけ質が高く量も豊富な絵画・彫刻を時計を気にしながら観て回るのは厳しい。
何しろ気に入った作品の前では30分ぐらい平気で足を止めてしまうので。

というわけで現在東京都美術館で開催されているボルゲーゼ美術館展
時間を気にせずに作品を見られるだけでも十分訪れる価値があるものでした。
この手の展覧会は現地で実際に行ってしまったものは原則行かないのですが
(「これしか来てないの?」とがっかりするので)今回は特別です。

私は美術を専門的に学んだわけではないのであくまでも素人としての感想です。


本展のメインは何と言ってもラファエッロの「一角獣を抱く貴婦人」。

一角獣を抱く貴婦人

ローマでは観たことすら覚えてないのですが
(他にティツィアーノやベルニーニ、カラヴァッジョの重要な作品が目白押しだった)
この絵を観てまず思ったのは「とても透明感のある絵だな」ということ。
写真ではちょっと冷たい感じの女性にも見えますが
実際の絵を観ると全くそんな感じはありません。
瞳がとても綺麗なブルーでしたが写真では黒くつぶれてしまってますね。 写真は嘘をつくのよね。

次に思ったのは「レオナルド(ダ・ヴィンチ)の影響が大きいな。
さては『白貂を抱く貴婦人』あたりをリスペクトしたのかな」でした。
そしたらオーディオガイドで全く同じことを言っていて
主人に「ROSAすごいわ。見る目あるな」と驚かれました。 フッ、今頃気づいたか。

実は「白貂・・・」の方も観たことがあるので何となくそんな気がしたのです。
ポーランドの美術館にある絵なのですが以前たまたま別の用事で東京に行った時に
その美術館の展覧会が開催されていて目玉だった絵が「白貂・・・」でした。

2枚を見比べると絵画としての出来はおそらくレオナルドの方が上ですが
私の心に響くのはラファエッロの方です。
レオナルドの絵は時に完璧すぎて
「わかった、あなたが絵が上手だってのはよくわかったから」という気分になります。
しかも「白貂・・・」はパトロンに愛人の絵を描くよう依頼されて描いたいわば「やっつけ仕事」。
(やっつけでこのレベルってのがすごいですが)
一方ラファエッロの絵には「やっつけ」は存在しません。
彼は画家としてはとても謙虚で素直な性格で
同時代の巨匠レオナルド、ミケランジェロらを心から尊敬していました。
ラファエッロの絵を観ていると誰の影響か明らかなものが結構あって面白いです。
誰かをリスペクトして描く時に筆に力がこもるのは当然。
そしてそこにラファエッロ自身の特色である優しい画風が加わって
実に「ラファエッロらしい」作品に仕上がります。

この作品はいわゆる「空気遠近法」(遠くの方ほど青みがかった色に仕上げて遠近感を出す)で
描かれているのでそれも静謐な透明感を醸し出している理由かもしれません。
(「モナ・リザ」でも用いられている手法です。とするとこれもレオナルドの影響?)
モデルが誰なのか謎ってところもミステリアスで面白い。


もう一枚今回の目玉になっているのがカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネ」。

洗礼者ヨハネ

この絵はローマで観た記憶がありますがやはり時間が足りず
他の作品に時間を割いたのでただ「見ただけ」でした。

写真を見るだけでも気だるげなおよそ聖人らしからぬ雰囲気は伝わりますが
実際にこの絵を観ると「うわ・・・病んでる」といたたまれない気持ちになりました。

カラヴァッジョはイタリアバロック絵画の巨匠ですが激しい性格の持ち主でもあり
ある時口論の末に相手を殺してしまいました。
そのため彼はローマから逃れてナポリ、シチリアなどを転々とします。
この絵は恩赦のとりなしを期待して描かれたものとの説明でした。
実際に恩赦は成ったらしいのですがこの絵がパトロンのボルゲーゼ枢機卿の手に渡った時には
カラヴァッジョは既に38年の波乱に富んだ短い生涯を閉じていました。
どうりで「病んだ」絵な訳です。

ローマの教会でカラヴァッジョの絵を何点も観ました。
サン・ルイージ・デイ・フランチェーズィ教会の「聖マタイ」の3連作。
サンタゴスティーノ教会の「巡礼の聖母」。
どれも光と影の劇的なコントラストで聖書の物語を活写したものでした。

それらを知っているだけに光と影の劇的なコントラストという点では同じでも
決して「活写」とは言えないこの病人のような聖ヨハネに
画家自身の姿が重なって見えてしまいます。

決して許されない殺人の罪。わずか38年の生涯。その間に生み出した絵画の数々。
「生々しすぎる」と生前は批判も多かった画風。早すぎた近代画家。
この作品がほぼ絶筆だったであろうことを考えると・・・重い。

ラファエッロも37歳で亡くなっているけれど
ヴァティカンで観た彼の絶筆「キリストの昇天」を観て感じたことは
「画家として成すことは全うしたのだろう」ということ。
果たしてカラヴァッジョは「全うして」死んだのだろうか?・・・いろいろ考えさせられます。


このほかにもボッティチェッリやベルニーニの作品が出展されていますが
ボッティチェッリはやはりウッフィーツィ美術館の「春」と「ヴィーナス誕生」が最高傑作であり
ベルニーニにしても今回出展されていない「アポロとダフネ」「プロセルピナ」や
ローマの教会に残る数々の彫刻(サン・ピエトロ教会の「聖ロンギヌス」など)を観なければ
彼の彫刻のダイナミズムがわからないので言及しません。

大々的に名前が上がってない中で「おっ、これは」と思ったのは
グエルチーノの「放蕩息子」。
大袈裟でない表現がかえってドラマを感じさせて秀逸。
「きっと画家の円熟期の作品だな」などと想像するとちょっとした宝物を見つけた気分です。


ボルゲーゼ美術館展は4月4日までの開催です。

ちなみに「ボルゲーゼ」と聞いて「ファンゴパック」を真っ先に思い浮かべた方がいらしたら(多分)同年代です。





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Last updated  2010年03月09日 02時00分22秒
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